ロンドン2泊は短い。あっという間に最終日だ。足りない。
今日のメイン・イヴェントはバッキンガム宮殿での衛兵の交代だ。
観光シーズンはほぼ毎朝行われるが、冬は隔日。今月は奇数日に
行われる。始まるのは11:30から。先にチェックアウトを済ませる。
最寄り駅のグロスター・ロードへ。
まずはハロッズへ。前日に取り置きを頼んでおいた商品を取りに
出かける。開店時間と同時に入店したいシニア世代の母。私を
急かせる。最終日の焦りなのか。年齢のせいで、せっかちなのか。
確かに私はマイペースだが、パリやロンドンの時間の流れ方には
合っている。のろま呼ばわれされる筋合いはない。
ヨーロッパでは朝一番に入店しても、まだ準備中のことが多々ある。
丁重な接客を受けたいなら、開店からせめて1時間くらい後に店に
入った方がいい。私の助言を聞こうとせず、先を急ぎたがる母。
10:40頃に入店すると、担当者の店長は不在。フード・ホールなどを
見て回り、20分後に再訪。彼女も戻ってきたところだった。
ハロッズでは全店舗の店長が毎朝集まり、前日の報告などの
申し送りをしているとのこと。ご苦労様です。
ゆったりと時間をかけて商品の長所や使い方などの説明を聞き
会計を済ませ、プレゼント用にラッピングを頼んだ。通常はギフト
ラップは専用のカウンターに行き、手数料を払って包んでもらう。
買い物をした店内には器用なスタッフがいたため、その場で包んで
もらった。包み方が違う。結び方が違う。文化が違う。
そして、ゆっくり。
衛兵の交代を見たい母は、イライラ。「リボンを二重にしますか?」
どこかで見た光景。
『ラブ・アクチュアリー』のアラン・リックマンと
ローワン・アトキンソンだ。面白いので、二重リボンを頼んだ。
目立たないよう、フード・ホールの白いビニール袋に入れてもらう。
これでスリ対策にもなり、安全だ。
ハロッズを出たのは12:10。衛兵の交代は約1時間かかる。ハイド・
パーク・コーナー周辺は道路が込む。(これは、『ノッティング・ヒルの
恋人』にも出てくる台詞だ)地下鉄で行くのが賢明だ。
グリーン・パークで下車し、公園を突き切る。
秋色の木々が美しい。
観光客らしき集団がこちらの方に歩いてくる。衛兵の交代は
終わってしまったようだ。せっかく来たのだから、せめて
バッキンガム宮殿だけでも見よう。
遠くから小太鼓の音が聞こえた。視力は悪いが、聴力はいい私。
すると。宮殿の方へ向かい、猛ダッシュした母。赤いミンクの
コートが、あっという間に小さくなった。私は追いつけない。
母は自己記録を更新する勢いの走りのお陰で、ザ・モルに向けて
帰る衛兵のパレードを見ることができた。母のあまりの俊足に
笑ってしまって走れなかった私も、何とか間に合った。
夏と違い、冬は灰色のコートを着ている衛兵達。
母の思い描いていたものとは多少ズレがあったが。全力疾走で
間に合ったこともあり、母、ご満悦であった。
リージェントに出て、Wedgwood へ。色々買い足そうと思っていたCountryware のシリーズは廃盤が決まり、店舗には置いていない。
工場の在庫一覧表をもらい、日本からオーダーすることに。
母はお土産に、ガラス製の写真立てを購入。しかも、5つも。重い。
まだ時間はあるので、後で取りに来よう。再び、土産店巡り。
ハロッズとフォートナム&メイソンとリージェントの往復だ。
ピカデリー周辺の同じ場所を何度も行き来し、母もだいぶ土地勘が
付いたようだ。どこを歩いているか、よく把握している。
パリでは広範囲を移動したため、街中をあちこち引き回されたと
思っている母。ロンドンでは地域限定で歩こうと決めていた。
今回はコヴェント・ガーデンのString Cigma Quartetもテート
美術館のターナーも見逃すことになる。母と一緒なので、仕方ない。
そろそろ残り時間わずかだ。フォートナム&メイソンでチョコレート。
チョコレートが美味しいのは、製造から3日間ほどだ。帰国する
直前に買うことにしている。しかし。お気に入りのキルシュがない。
はす向かいのメゾン・ドゥ・ショコラへ。パリでは行く時間がなかった
念願のショコラティエ。プラリネ入りではない、苦めのボンボン・
ショコラを購入。
ハロッズに戻り、免税の手配。フード・ホールで待っていた母。
土産品を買いたいものの、目移りして何も買えなかった。
ロンドン最後の締めはハロッズのオイスター・バーにしよう。
私はカニのサラダ、母はスモーク・サーモン。美味しい。
トイレを探していると、16:00近くに。タクシーの予約時間が迫る。
急いでホテルに戻ると、運転手が外で待っていた。ラッシュアワーに
差し掛かっていたが、空港までは30分で到着。外で待たせていた
お詫びも兼ねて、少し多めにチップを払う。
空港の免税店でも更に土産品の物色。手荷物が大量に増えた。
敏感肌の私。機内のトイレの水は手が荒れる。いつも手洗い専用に
ミネラル・ウォーターを買ってから搭乗している。空気が乾燥する
ので、ハーブ系のバターキャンディーも。母とは搭乗ゲートで
待ち合わせ。のはずが。免税店の出口で待っていた。なぜ。
時速8kmの私。母は時速約4km。私の方が歩くのが断然早い。
何のために搭乗券を渡し、搭乗ゲートを教えたのか。
飛行機の座席は前方で快適だ。隣の席はブラジル人の男性。
ロンドン経由で日本に住む奥さんの所に行くと言っている(らしい)。
彼はポルトガル語しか喋れない。私はフランス語から想像した
ラテン語風の不思議語&ジェスチャー。なんとか意思疎通を図る。
言語なしでコミュニケーションを取ることに慣れていない。難しい。
こういったことは、母の方が上手なのかもしれない。
帰国便は旅の疲れもあったせいか、珍しく機内で少し眠れた。
日本に到着。トイレの便座が低い。人の歩き方が遅い。轢きそう。
続きを読む:食事編