2012年02月18日

映画でしりとり 『過去のない男』

気が付けば、3年以上経っていた。久しぶりに、映画でしりとりを。

『シャンヌのパリ、そしてアメリカ』に続き、89回目は、

『過去のない男』
Meis Vailla Menneisyytta
監督:アキ・カウリスマキ
出演:マルック・ベルトラ、カティ・オウティネン
アンニッキ・タハティ

****あらすじ****

夜のヘルシンキに流れ着いた、ひとりの男(マルッキィ・ペルトラ)。
公園のベンチで夜明けを待っていると突然暴漢に襲われ、身ぐるみ
剥がされたうえに、瀕死の重傷を負う。血まみれになりながらも
何とか駅前に辿り着き、気を失ってしまう。

病院で一旦心停止したものの、男は奇跡的に意識を取り戻した。

男は、いつのまにか港の近くの岸部に倒れていた。港湾近くの
コンテナで暮らす一家に助けられたが、男は身分証もなく、自分の
名前すらも分からない。過去の記憶を全て失っていた男は彼らと
共に、穏やかな生活を送り始める。

救世軍からスープが振る舞われる金曜日。男はコンテナの主人に
連れられ、支給場所へとやって来る。スープを取り分ける救世軍の
女性イルマ(カティ・オウティネン)と運命的な出会いをする男。

まもなく、恋心が芽生え、互いに惹かれていく男とイルマ。
ロック好きなイルマのために、救世軍主催のロック・コンサートを
企画するなど、徐々に行動的になっていく男。コンテナでの暮らしも
徐々に快適になっていく。男のまわりには友人が集まってきた。

ひょんなことから、銀行強盗に関与してしまった男は、新聞記事に
載ってしまう。すると、警察の元に、男の妻(アイノ・セッポ)から
連絡があった。過去が判明した男は、イルマとの別れを惜しみつつ
地元に帰るため列車に乗り込む。

戻ってきた地元の街。男は何の感慨も沸かない。過去は判明しても
記憶は戻らない。しかも、妻とは数か月前に離婚が成立していた。
男は再びヘルシンキに戻り、イルマのもとへと足を運ぶのだった。

************

人生をリセットさせられた無口な男と、変わらぬ日常を過ごす
無口な女のラブスストーリー。台詞は最小限に抑えられている。
交わす言葉は少ないが、二人の感情が手に取るように分かる。
台詞が少ない分、魅せる演技。アキ・カウリスマキ監督らしい
間を読んで楽しむ作品だ。

列車の中で流れる、クレイジーケンバンドの日本語の歌詞が妙に
耳に残る。日本人以外には、ちょうどいいBGMになるのだろう。

実は、この作品には続編がある。
オムニバス短編映画『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』
『結婚は10分で決める』

過去のない男 [DVD]
アキ・カウリスマキ
B00008IXGB


次回は、「こ」から
posted by zooom at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月02日

映画でしりとり 『シャンヌのパリ、そしてアメリカ』

『ビッグ・フィッシュ』に続き、88回目は、

『シャンヌのパリ、そしてアメリカ』
A Soldier's Daughter Never Cries
監督:ジェームズ・アイボリー
出演:クリス・クリストファーソン、バーバラ・ハーシー
リリー・ソビエスキー、ジェーン・バーキン

****あらすじ****

1960年代のパリ。
アメリカ人の少女シャンヌ・ウィリス(リリー・ゾビエスキー)は
元軍人で著名な小説家の父ビル(クリス・クリフトファーソン)と
明るい母マルチェラ(バーバラ・ハーシー)と共に、幸せで楽しい
日々を送っていた。

ある日、両親が6歳になるフランス人の少年ブノワ(サミュエル・
グリュアン)を養子として迎え入れた。今まで、両親の愛情を受けて
育った一人娘のシャンヌ。新しくできた弟に警戒感を抱く。
15歳の時にブノワを産んだ未婚のフランス人の実母は、書類上の
養子縁組手続きを取るのを拒んだ。
小さな頃から、里親をたらい回しにされていたブノワ。いつでも
孤児院に帰れるように、スーツケースに荷物を纏め、手放さない。

やがて、ブノワは家族の皆と打ち解けるようになった。ブノワは
ビリーと改名し、ウィリス一家に馴染んでいく。

ビルはビリーの母親と連絡を取り、正式に養子縁組の契約を結んだ。
ビリーの母親はビリーに姿を見せず、彼を産んだ際の日記をビルに
渡した。「いつか、息子が望んだら、日記を渡すように」と託す。
そこには、母親の愛情が溢れていた。

思春期のシャンヌは、オペラ好きの風変わりな少年フランシス
(アンソニー・ロス・コスタンツォ)と仲良くなる。
彼と二人暮らしの母親(ジェーン・バーキン)も、とても個性的。
フランシスがシャンヌに対する恋心が芽生え始め、2人の関係は
ギクシャクし始めた。

そんなある日。ビルは家族とアメリカへ帰国することに決めた。
子供達がフランスの価値観に染まりきらない10代のうちに祖国
アメリカに渡った方がいいと考えたのだ。
ビルの持病の心臓病が悪化し、アメリカ人医師の治療を受けたいと
いうのも帰国する原因のひとつでもあった。

アメリカ行きを告げたシャンヌ。フランシスに好きだったと告白され
驚く。シャンヌは、フランシスを親友だと思っていたのに。
シャンヌは思春期を過ごしたパリを離れ、アメリカへ。

1970年代のアメリカ。
入り江を一望するロングアイランドの高台に引越したウィリス一家。
アメリカに移っても、パリでの生活習慣を変えることはできない。
シャンヌとビリー(ジェシー・ブラッドフォード)は地元の高校に
通い始める。フランス育ちの2人は、仲間に受け入れてもらえない。
学校に馴染めない。パリの暮らしが懐かしい。

精神不安定になったシャンヌ。相手に受け入れられようと思う
一心で、次から次へと男子生徒と肉体関係を持っていく。
不安な気持ちを父に正直に相談したシャンヌ。どんな時でも、父が
見守ってくれているという安堵感を実感した。

ビルが入院することになった。病床でも執筆活動を続けるビルは
シャンヌに口述書記をさせる。日々病状が悪化する父を目の前に
思わず涙するシャンヌ。ビルは「将軍の娘は泣かない」と言い
シャンヌを気遣う。それは父娘の合言葉にもなっている言葉だった。

ビルが退院したある日。ビルはビリーの生い立ちをシャンヌに話し
母親から預かっている日記を読んで、ビリーに話してほしいと頼む。

アメフトの選手キースに交際を申し込まれたシャンヌ。まず、父に
相談し、交際の許可をもらう。ビルは誠実そうなキースとの交際を
温かく見守っていた。

大晦日の夜。ビルは一家で新年を迎えたいと思っていた。ビルには
きっと最後の年越しになるだろうと覚悟をしていた。
キースとカウントダウンパーティ出かけようとしていたシャンヌ。
ビルは自分から巣立っていくシャンヌの意思を尊重した。

新年を向かえた。シャンヌは不安になる。父ビルに電話をした。
「パパ、一緒にいたい。新年、おめでとう。明日も会えるわよね」

************

思春期を過ごした、1960年代のパリ。
大人になっていく過渡期を過ごした、1970年代のアメリカ。
2つの国の2つの文化の中で成長していく娘と、娘を見守る父の
物語。信頼が置ける父娘の関係が、とてもいい。

主演のリリー・ゾビエスキーが美しく成長していく様子を誰の
目線でみるかによって、この作品の見方が変わってくるだろう。

シャンヌのパリ、そしてアメリカ


次回は、「か」から
posted by zooom at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月18日

映画でしりとり 『ビッグ・フィッシュ』

『2001年宇宙の旅』に続き、87回目は、

『ビッグ・フィッシュ』
Big Fish
監督:ティム・バートン
出演:ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ
ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム=カーター、マリオン・コティヤール

****あらすじ****

出産間近かの妻ジョセフィーン(マリオン・コティヤール)とパリで
暮らすジャーナリストのウィル・ブルーム(ビリー・クラダップ)。
彼の父親エドワード(アルバート・フィニー)は、自分の人生を
幻想的なお伽話のように語り、聴く人を楽しませる名人だった。
若い頃のエドワード(ユアン・マクレガー)が巨人カール(マシュー・
マッグローリー)と旅した話、未来を予想する魔女(ヘレナ・ボナム
=カーター)の話、人を襲う森と、その先にある美しい町の話。

ウィルも子供の頃は、父エドワードの話を聞くのが大好きだった。
ところが。3年前から、父とは不和が続いていた。
ウィルの結婚式の祝宴で、巨大魚の話をした父に憤りを抱いていた。
何も、結婚式にホラ話をしなくても・・・。恥ずかしい。

しかし。ある日、母親のサンドラ(ジェシカ・ラング)から、悪い
知らせが。患っていた父の容態が悪化したとの報告があったのだ。
ウィルは妻ジョセフィーンを連れ、実家に向かう。エドワードは
1日のほとんどをベッドで過ごしていたが。病床でも相変わらず
ホラ話を繰り返していた。

ジョセフィーンは若い頃のサンドラ(アリソン・ローマン)との
恋愛話を聞かされ、ロマンティックな内容に心を打たれた。
ウィルは父の話が事実ではなく、作り話であることに苛立つ。
ホラ話ではなく、本当の話を聞きたいのだが。父を信頼できない。
父とウィルとの溝が深まっていく。

しかし。エドワードの話の中に出てきた彼の戦死を告げる電報を
サンドラが見つけた。お伽話のようなホラ話は、真実だったのか。
衝撃を受けるウィル。間もなくエドワードの様態は急変した。

人生の最期を迎えようとする父に、ウィルは枕元で父の物語を
豊かに創作して語って聞かせる。

そして、父エドワードの葬式に参列したのは・・・。

************

大人のための、お伽話。動く絵本を見ているかのような感覚。
ティム・バートン監督にしては明るい色合いだが。
いかにも、ティム・バートンらしい作品だ。
悲しいけれど、ハッピーエンド。

晩年のエドワード役を演じたアルバート・フィニー。若い頃を
回想する際の表情が何ともいい。何の変哲もない普通の出来事でも
お伽話のように楽しく話してしまうのだろうと納得できる。

若い頃のエドワード役を演じたユアン・マクレガー。相変わらず
肩に力が入ったような演技だが。笑顔がいいので、よしとしよう。

ビッグ・フィッシュ コレクターズ・エディション


次回は、「しゅ」または、「し」から。
posted by zooom at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月29日

映画でしりとり 『2001年宇宙の旅』

『シャンプー台のむこうに』に続き、86回目は、

『2001年宇宙の旅』
2001 A Space Odyssey
監督:スタンリー・キューブリック
出演:ケア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド
ウィリアム・シルヴェスター、(声)ダグラス・レイン

****あらすじ****

猿人の前に建つ、石版モノリス。石版に触れた猿人が骨を武器に用い
他の猿人を打ち殺す。空高く放り投げられた骨は、放物線を描く。

一瞬にして、映像は宇宙船へと変わる。
旅客用宇宙飛行機オリオン号がケープケネディ空港から、月に向かい
飛び立った。フロイド博士(ウィリアム・シルベスター)も乗船して
いた。
月面で発見された謎の石版。実態を探るため、専門技術家や学者を
月の基地に集め、会議が開かれるのだ。

宇宙ステーションに到着したフロイド博士は、月宇宙船に乗り換え
2日後に月に到着。

月の基地では、謎の物体をめぐり、論議が。フロイド博士は実際に
見て確かめるため、数人の科学者と共に、月の1kmほど上空を飛ぶ
月バスで現場へ向かった。石碑のような物体が発掘され、木星に
向かって強烈な放射能を発していた。
誰がいつ、何のために建てたのか。
地球人が他の惑星の何者かから挑戦を受けた最初の出来事だ。

事件を調査するため、科学者達は原子力宇宙船ディスカバリー号で
木星へ向かう。
宇宙船を操縦していたプール飛行士(ゲイリー・ロックウッド)と
ボウマン隊長(ケア・デュリア)は、コンンピュータHAL9000
(声:ダグラス・レイン)からの注意信号を受診した。2時間半後に
原子力宇宙船に故障が起きるという。

プール飛行士は宇宙カーに乗り込み、アンテナを取り替えたが。
コンピュータは次の故障を予言。再び宇宙カーに乗り、アンテナの
取替え作業を始めたプール飛行士。宇宙服の命綱が切れてしまう。
暗黒の宇宙空間に放り出されたプール飛行士を救うため、ボウマン
隊長がもう1隻の宇宙カーに乗り込んだのだが。宇宙カーが自由に
動かない。やっと接近したものの。マジックハンド装置が利かず
プール飛行士を助けることはできなかった。

急いで母船に戻ろうと、ボウマン隊長が格納庫に近づくと。
急にドアが閉まり、中に入れない。ボウマン隊長がコンピュータに
指示を出すのだが。コンピュータHAL9000に異変が起きた。
ボウマン隊長の指示や命令に応じない。人間に動かされていた
コンピュータが自ら意識を持ってしまったのだ。

宇宙船の中では、人工冬眠のカプセルに故障が。冬眠中の科学者が
次々と死んでいった。

宇宙船内の事故の全ての原因がコンピュータのHAL9000のせいだと
気付いたボウマン隊長。このままでは、コンピュータに主導権を
握られてしまう。ボウマン隊長は、コンピュータを壊すことに・・・。

************

今から40年も前に作られた作品とは思えないほど。
「美しき青きドナウ」や、「ウァラトゥスラはかく語りき」などの
クラシックのBGMを背景に、流れるようなカメラワークで捉える
美しい映像。どの場面も、絵になる。無機質な雰囲気で、台詞が
少ないのが、いい。

過去に作られた未来の世界が、今となっては過去の世界に。
40年前に、人間がコンピュータに支配される世界を予想している。
映画は少し先の世界を描くもの。遠い未来の予想を描いてしまうと
実際にその時がやって来た時に誤差を感じるものだが。この作品を
今見ても、新しいと思える。

映画史上、ベスト10に入るといわれた作品。私が始めてみたのは
銀座テアトルシネマでの、リバイバル上映で。ビデオではなく
劇場で見てみたかった。素晴らしかった。

難解な作品で、全てを理解するのは難しいが。それでも、楽しめる。

2001年宇宙の旅


次回は、「び」または「ひ」から。
posted by zooom at 19:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月10日

映画でしりとり 『シャンプー台のむこうに』

『Taxi』に続き、85回目は、

『シャンプー台のむこうに』
Blow Dry
監督:パディ・ブレスナック
出演:ジョッシュ・ハートネット、アラン・リックマン
ナターシャ・リチャードソン、レイチェル・グリフィス
レイチェル・リー・クック、ビル・ナイ、ヒュー・ボネヴィル

****あらすじ****

英国ヨークシャーの田舎町キースリー。ブライアン(ジョッシュ・
ハートネット)は父フィル(アラン・リックマン)の営む理髪店で
働いていた。葬儀場で死体相手にヘアカットの練習をしていた。
地元で全英ヘアドレッサー選手権が開催されると知り、浮き足立つ。
出場条件は、1都市1ヘアサロンで3人のチーム構成だ。
父フィルは、かつてこの大会で2連覇を果たした腕前の持ち主。
是非、父と一緒に選手権に出場したいブライアンなのだが。父は
全く乗り気でない。実は、過去に辛い出来事があったのだ。

3連覇がかかった10年前、妻シェリー(ナターシャ・リチャードソン)が
ヘアモデルのサンドラ(レイチェル・グリフィス)と恋に落ちてしまい
駆け落ちをして家を出て行ってしまったのだ。以来、やる気をなくし
田舎の理髪店のしがないオヤジに成り下がってしまったフィル。
過去の栄光はどこへやら。ブライアンが選手権の話を持ちかけても
我感ぜず。頑なに拒んでいた。

そこへ、家出したシェリーが2人の前に現れた。なぜ、今更。
実は、シェリーは癌に侵され、余命いくばくもなかった。自分が
亡くなる前に、ほどけてしまった家族の絆を取り戻したいシェリー。
サンドラも含め、全英ヘアドレッサー選手権に出場しないかと
フィルに持ちかける。シェリーにとっては、これが最後のチャンス。

ようやくフィルも了解し、フィル、ブライアン、サンドラの3人で
チームを組み、選手権に出場することにした。ブライアンにとては
初めてのコンテスト。緊張する。

10年前に、フィルに敗れたカリスマ美容師のレイ(ビル・ナイ)も
相棒ルイス(ヒュー・ボネヴィル)と共に、今回のコンテストに
参加する。ヘアカットを習い始めたレイの娘クリスティーナが
ヘアモデルを務める。クリスティーナは父のような美容師を目指し
日々練習をしているのだが。センスがないようで、落ち込む毎日。

共に腕の立つ美容師を父に持ち、同じような境遇のブライアンと
クリスティーナ。お互い、初めて会った時から、気になっていたが。
相手は宿敵。付き合うことは許されないのだが。次第に仲良く
なっていく。

そして。全英ヘアドレッサー選手権の日がやって来た。
クリスティーナは父レイと、ルイスの手で、見事なまでに変身した。
一方の、フィルとブライアンのチームは。10年前からの秘策を
活かし、大胆でアーティスティックなヘアカットに挑戦する。

************

ジョッシュ・ハートネットが出ていたから見たわけではない。
アラン・リックマンが出演しているので、気になって見た作品。
和解を求める家族再生の物語。

英国の小さな町の、ちょっとした素敵な出来事。アットホームな
視線で描かれた、心温まる作品だ。派手さはないが、いい作品だ。
羊のヘアダイや、老人ホームでのヘアカットなど、ちょっとした
エピソードがいい。美容業界の内面も見ることができ、楽しめる。

父フィル役を演じたアラン・リックマンのさえないオヤジ役が
良かった。コンテストの場面では、カリスマ美容師に変化する。
ライバルのカリスマ美容師レイ役を演じたビル・ナイは、今回も
独特の薄っぺらな感じが醸し出されている。上手い役者だ。
レイの相棒役を演じたヒュー・ボネヴィルはゲイの役柄に大いに
違和感があるが。そんなところが、何となく良かったりもする。
どこかで見たことがあると思ったら。『ノッティングヒルの恋人』で
主人公の友人でリストラされた証券マンの役を演じていた役者だ。

BLOW DRY シャンプー台のむこうに


次回は、「に」から。
posted by zooom at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月27日

映画でしりとり 『Taxi』

『クレーヴの奥方』に続き、84回目は、

『Taxi』
Taxi
監督:ジェラール・ピレス
出演:サミー・ナセリ、フレデリック・ディフェンタール
マリオン・コティヤール、ベルナール・ファルシー

****あらすじ****

フランスの港町マルセイユ。ピザのバイク宅配の仕事をしていた
ダニエル(サミー・ナセリ)は、スピード狂。夢は、レーサー。
恋人のリリー(マリオン・コティヤール)と一緒に暮らすため
タクシー運転手に転職した。趣味と実益を兼ねた仕事だ。
プジョー406を自ら改造し、猛スピードでタクシーを走らせる。
警察はスピード違反として呼び止めることさえできないほど。
署内でも、猛スピードで走るタクシーがいると話題になっていた。

マザコンの新米刑事エミリアン(ルフェデリック・ディフェンタール)
は運転が大の苦手。8度も運転免許試験に落ち続け、何をやっても
失敗ばかりの、冴えない男。クールビューティーな上司のペトラ
(エマ・シェーベルイ)に片思い中だが、全く相手にされない。
いくつものマルセイユの銀行がメルセデス・ベンツ500Eに乗った
銀行強盗団の被害に遭っていた。ジベール署長の陣頭で、強盗団
メルセデスの逮捕に向け、作戦が練られていた。

ダニエルのタクシーに、エミリアンの母親が乗客として乗ってきた。
自宅にダニエルを招き入れたエミリアンの母親。帰宅してきた
エミリアンと初めて会う。刑事と知らずにエミリアンをタクシーに
乗せたダニエルは、得意のスピードで車を走らせる。ダニエルが
例のスピード違反常習者のタクシー運転手だと気付いたエミリアン。
ダニエルはエミリアンにタクシー運転手の免許を取り上げられて
しまった。

車のことなら何でも詳しいダニエル。名案を思いついたエミリアン。
ダニエルの力を借りて、連続銀行強盗団を突き止めよう。強盗団の
逮捕に成功すれば、ダニエルに免許証を返すと約束し、ダニエルに
捜査への協力を仰ぐエミリアン。警察に媚を売るなど、絶対に
したくないダニエルだが。タクシー運転手の免許証がなければ
仕事にならない。仕方なく、エミリアンとコンビを組み、捜査に
協力することになった。忙しいダニエル。一緒に暮らすリリーとの
時間が取れず、リリーにつれなくされる。二人の仲は破局寸前。

強盗団メルセデスは、手強い存在だった。ドジなエミリアンの
力では捕まえることができず、取り逃してしまう。署長もイライラ。
そこで、ダニエルが主導権を握ることに。宅配ピザのバイク仲間を
総動員しての、大作戦。銀行強盗の一仕事を終えたメルセデスを
挑発し、まんまと街中へおびき出した。
ダニエルのプジョーと、メルセデスが時速250キロの派手なカー・
チェイスを繰り広げながら、マルセイユ中を駆け抜けていく。
激しいデッドヒートを繰り広げた末、見事メルセデスを逮捕。

手柄を立てたダニエルとエミリアンは勲章を受けることに。
ペトラはエミリアンを少し見直した様子。すれ違いが多かった
リリーとも仲良く寄りを戻したダニエル。念願のレーサーになる
ことができたのだが・・・。

************

今までのフランス映画とは、全く雰囲気の違う作品。
まるで、ハリウッド映画のような。見終わった後に残るものは
爽快感だけだが。見ていて楽しい作品だ。マルセイユの街並みを
見られるのも楽しい。

登場人物のキャラクターが皆、個性的。
主役のサミー・ナセリの陽気な雰囲気と、マルセイユ訛りの
フランス語。ジベール署長のキャラクターも漫画のようで面白い。
恋人リリー役のマリオン・コティヤールがコケティッシュで
愛らしい。

TAXi


次回は、「し」から。
posted by zooom at 18:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月24日

映画でしりとり 『クレーヴの奥方』

『トラフィック』に続き、83回目は、

『クレーヴの奥方』
La Lettre
監督:マノエル・デ・オリヴェイラ
出演:キアラ・マストロヤンニ、アントワーヌ・シャピー
フランソワーズ・ファビアン、ペドロ・アブルニョーザ

****あらすじ****

上流階級の娘カトリーヌ(キアラ・マストロヤンニ)は、母の
シャルトル夫人(フランソワーズ・ファビアン)と共に、宝石を
選んでいた。カトリーヌのあまりの美しさに、医師のクレーヴ伯
(アントワーヌ・シャピー)が一目ぼれ。やがて、カトリーヌは
クレーヴ伯と結婚した。

新婚旅行から戻り、パリに新居を構えたクレーヴ伯とカトリーヌ。
グルベンキャン財団主催の夜会に夫婦で出席した。ゲストはロック
歌手ペドロ・アブルニョーザ(ペドロ・アブルニョーザ)。
サングラス姿で歌うペドロに特別な感情を抱いたカトリーヌ。
真剣な眼差しで見つめるのだが。夫を裏切ることはできない。
それは、許されない恋。

カトリーヌが好意を寄せていることに気付いたペドロ。ペドロも
美しいカトリーヌに惹かれるのだが。カトリーヌのガードは固い。

しかし。ついに、夫に想いを打ち明けてしまった。悲しみのあまり
夫は病死してしまう。未亡人となったカトリーヌ。クレーヴ伯の
夫人でいる必要はなくなったのだが・・・。

************

キアラ・マストロヤンニが主演ということで、見てみたかった作品。
目元は父親のマルチェロ・マストロヤンニにも似ているし、母親の
カトリーヌ・ドゥヌーヴにも似ている。

登場人物は、誰もが無表情。その代わり、合間にタイトルを入れ
感情表現などを代弁している。変わった手法の、淡々とした作品だ。

ロック歌手のペドロ・アブルニョーザはスキンヘッドにサングラス。
個人的には、なぜ惹かれたのかが分からず、共感できなかった。

それでも。キアラ・マストロヤンニの美しい顔が見られただけで
十分と思えた。

クレーヴの奥方


次回は、「た」から。
posted by zooom at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月25日

映画でしりとり 『トラフィック』

『偶然の恋人』に続き、82回目は、

『トラフィック』
Traffic
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:マイケル・ダグラス、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
ドン・チードル、ベニチオ・デル・トロ、ルイス・ガスマン
デニス・クエイド

****あらすじ****


アメリカとの国境で、メキシコ最北端の都市ティファナ。麻薬供給
ルートの中継点とされる街。麻薬捜査官として国境警備にあたる
ロドリゲス(ベニチオ・デル・トロ)とサンチェス(ヤコブ・バーガス)。
二人は犯罪取締官サラサール将軍(トーマス・ミリアン)に召喚され
麻薬カルテルの一味である暗殺者フロレス(クリフトン・コリンズ・
ジュニア)を捕まえるよう頼まれる。ロドリゲスがフロレスを捉え
連行すると。将軍はフロレスを拷問にあわせ、強力な麻薬組織
オブレゴン・カルテルの居場所を吐かせることに成功した。
ロドリゲスは麻薬カルテル一味の壊滅のため、サラサール将軍に
協力するのだが・・・。

アメリカの首都ワシントンD.C.。麻薬取締連邦最高責任者に任命
された大統領補佐官のロバート・ウェークフィールド(マイケル・
ダグラス)。皮肉にも、有名私立高校に通う一人娘のキャロライン
(エリカ・クリステンセン)が同級生仲間と麻薬に溺れているのを
知らない。両親が気付いたときには、すっかり麻薬中毒に。
国を挙げての麻薬撲滅運動の先頭に立ちながら、愛娘が麻薬から
抜け出せない。ジレンマを抱え、悩んだ結果・・・。

アメリカ、カリフォルニア州のサンディエゴ。麻薬密輸ルート。
オブレゴン・カルテルを訴訟に持ち込むため、捜査を続けている
麻薬取締り局のおとり捜査官ゴードン(ドン・チードル)と仲間の
カストロル(ルイス・ガスマン)。ところが。あと一歩のところで・・・。

カリフォルニア州南部の麻薬密輸の仲介を一手に担っていたのは
ルイス・アヤラ(スティーヴン・バウアー)。表向きには、実業家。
専業主婦の妻ヘレーナ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は夫の
本当の職業を知らず、有閑マダム友達と優雅な日々を送っていた。
ある日、夫が逮捕された。事実を知ったヘレーナ。夫を救うため
麻薬密輸ルートに手を染めざるを得なくなった。妊娠中の身重の
体で単身、メキシコに乗り込む。

************

一見、何の関係もなさそうで、最初のうちはオムニバスのような
印象を感じたが。徐々に麻薬密輸に関わる人物を同時進行させ
次第に、それぞれの繋がりが分かってくる。巧妙な描き方だ。
麻薬問題という深刻で悲惨で難しい内容を、難しくなく描いている。
オリジナルは、英国のテレビドラマシリーズ。よくぞ1本の映画に
纏めたものだ。ソダーバーグ監督、お見事としか言いようがない。

それぞれの舞台によって、色調が変わる。状況の違いが分かり易く
各シーンの色使いも、よく合っている。メキシコの黄色がかった
色合いは、乾いた埃っぽい空気をうまく醸し出していた。

メキシコ州警察官役のベニチオ・デル・トロや、麻薬に溺れていく
高校生役のエリカ・クリステンセン、たくましい妊婦を演じた
キャサリン・ゼタ=ジョーンズなど、俳優の演技がいい。

第73回アカデミー賞で監督賞を受賞した、ソダーバーグ監督。
受賞スピーチがとても印象的で、改めて素晴らしい監督だと思った。

1度見ただけで満足するが。是非、もう1度見たくなってしまう。

トラフィック


次回は、「く」から。
posted by zooom at 20:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月19日

映画でしりとり 『偶然の恋人』

『フォー・ウェディング』に続き、81回目は、

『偶然の恋人』
Bounce
監督:ドン・ルース
出演:ベン・アフレック、グイネス・パルトロー、トニー・ゴールドウィン

****あらすじ****

クリスマス間近のある日。LAの広告代理店に勤めるバディ(ベン・
アフレック)が出張先のシカゴから帰る際、大雪に見舞われた。
フライトの欠航や遅延が相次ぎ、空港で足止めを食らってしまう。
時間潰しに、バーで飲んでいると。LA在住の脚本家のグレッグ
(トニー・ゴールドウィン)と知り合い、意気投合した。

やがて、バディの便が出発することになるが。バディは家族の元へ
急ぎたいトニーに、自分の航空券を譲った。しかし。不運なことに
その便は墜落事故を起こし、グレッグは死亡してしまう。

墜落事故から数ヶ月。自分の代わりに墜落事故の犠牲者になった
グレッグのことを考える日々。仕事にも力が入らない。罪悪感に
苛まれたバディは酒に溺れ、アルコール中毒症になってしまう。

一方。突然の事故で夫を失った妻アビー(グイネス・パルトロー)。
悲しみに暮れる日々を過ごしていた。夫が予定通りの飛行機に
乗っていれば。チケットを譲ってもらわなければ。
墜落事故に巻き込まれることはなかったのに。悔やむ毎日。

リハビリ施設に入り、健康を取り戻したバディ。気がかりになって
いたグレッグの残された家族の様子を見に行くことにした。
悲しみを乗り越え、2人の子供を抱え、たくましく生きる未亡人
アビーに惹かれたバディ。正体を隠して、アビーに近づいた。

次第に親密な関係になっていくバディとアビー。ただ、バディの
心の中は、いつも罪悪感でいっぱいだった。自分の正体をアビーに
告げなければ。ただ、本当のことを知ったら、アビーが自分から
離れてしまわないか。切り出せないバディ。
いよいよアビーに真実を告げようとするバディだが・・・。

************

なぜ、こんな邦題がついたのだろう。
当時、交際中だったグイネス・パルトローとベン・アフレックの
共演作品だったので、見に行ってみたが。
なんとなく、薄っぺらい内容の作品だった。

見所は、バディが借りた海辺の家と、グイネスのファッション。

偶然の恋人 2枚組スペシャルエディション


次回は、「と」から。
posted by zooom at 20:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月08日

映画でしりとり 『フォー・ウェディング』

『イン・ザ・スープ』に続き、80回目は、

『フォー・ウェディング』
Four Weddings and a Funeral
監督:マイク・ニューウェル
出演:ヒュー・グラント、アンディ・マクダウェル、サイモン・カーロウ
ジェームズ・フリート、クリスティン・スコット=トーマス
ジョン・ハナー、アンナ・チャンセラー、ローワン・アトキンソン

****あらすじ****

チャールズ(ヒュー・グラント)は32歳の独身男性。ハンサムで
リッチで、女性にもモテるが。いざ、結婚となると、常に逃げ腰。
隣にいる女性が本当に生涯を共にする相手か。確信が持てない。

ある日、友人アンガスとローラの結婚式に招かれたチャールズは
披露宴で、アメリカ人女性キャリー(アンディ・マクドウェル)と
出会う。才色兼美でチャーミングで、率直な物言いのキャリーに
ひと目で恋に落ちる。友人トム(ジェームズ・フリート)の豪邸に
泊まるのを断り、キャリーの宿へ向かったチャールズ。幸運にも
キャリーとベッドを共にしたものの。翌朝、彼女はアメリカに帰国。

友人バーナードとリディアの結婚式に招待されたチャールズ。
キャリーと再会した。喜びも束の間、彼女から婚約者を紹介される。
お相手は、かなり年の離れたスコットランド人の大富豪。
愕然とするチャールズに、更なる追い討ちが。披露宴の席次を見て
青ざめる。過去に付き合った女性が、同じテーブルに勢ぞろい。
過去の悪事が暴かれ、針のむしろ。居心地が悪い。

トムの妹フィオナから、秘めていた想いを告白されたチャールズ。
今まで気付かなかったことに後ろめたさを感じるが。こればかりは
どうしようもない。ごめん、フィオナ。
独りで落ち着こうと逃げ込んだ部屋に、新婚の二人が入ってきた。
いちゃつくのを目にする破目に。何とか逃げ切ると、結婚を迫られ
別れたばかりの元恋人ヘンリエッタ(アンナ・チャンセラー)に泣き
つかれる始末。もう、最悪。早く逃げ出したい。

キャリーの誘いで披露パーティーを抜け出したチャールズは、再び
彼女と夜を共にする。相性はいいのに、タイミングが合わない二人。

しばらく後。ロンドンで偶然、キャリーに再会したチャールズ。
キャリーの彼女のウェディングドレス選びに付き合わされる。
お互いの恋愛観を語り、別れ際に初めて彼女に愛を告白するが。
時、既に遅し。ああ、何でもっと早く言わなかったのだろう。

スコットランドで行われたキャリーの結婚式の当日。年長の友人
ガレス(サイモン・カーロウ)がダンスの後に突如倒れ、そのまま
帰らぬ人となった。

葬式の席で、同性愛の恋人マシュー(ジョン・ハンナ)の弔辞が響く。マシューの愛の告白ともいえる弔辞を聞き、思い悩むチャールズ。
結婚とは何だろう。愛する人であれば、異性でなくても人生を共に
幸せに過ごす人がいれば。幸せの形とは、人それぞれ違うのでは。
結婚生活だけが幸せの形とは限らないのではないか。
思わず友人トムに、「一緒に住もうか」と誘ってみるが。まだ人生を
諦めきれないトムは、困惑する。

とうとう、チャールズの結婚式の日がやって来た。
お相手は、ヘンリエッタ。ところが。式の当日5分前にキャリーが
現れた。離婚したのだという。自分の結婚式が目前に迫っていると
いうのに、激しく心が惑わされるチャールズ。ああ、どうしよう。
このままでは、結婚の誓いに、「イエス」と言えない。
土壇場で往生際の悪い様子を見せるチャールズ。
いよいよ、結婚式が始まってしまった。すると・・・。

************

とても英国的なコメディ。何度見ても、飽きることなく楽しめる。
原題を直訳すると、『4つの結婚式と、1つのお葬式』。
恋愛モノとして捉えてしまうようなポスターや邦題が残念だ。

リチャード・カーティスの脚本には、必ず欠かせない特徴がある。
結婚式、葬式、山場となる告白のシーン。そして、surreal という
普段は耳慣れない言葉。

主役のチャールズを演じたヒュー・グラント。もはや演技ではなく
地のままを演じていたように思える。優柔不断なモテ男。
アヒル顔こと、ヘンリエッタ。なぜ、こんな男を選んでしまうか。

チャールズを取り巻く友人のキャラクターと、エピソードが面白い。
それぞれの結婚式で素敵な出会いがあり、幸せな結末を迎えるのを
見るのは、喜ばしい。Mr.ビーンこと、ローワン・アトキンソンの
新米神父が執り行う迷える結婚式も笑える。

この映画では、結婚式以上に、お葬式が重要な意味を持つ。
ガレスの葬儀の際の、マシューが弔辞として選んだ詩。一語一語が
胸にしみ、心に残る。雨の中、亡き人を送る姿にジーンとくる。

ちなみに。結婚式に登場するのは、英国の中産階級のエキストラ。
派手な帽子や服装などファッションの他、パーティーの場での
立ち居振る舞いが参考になる。

フォー・ウェディング


次回は、「ぐ」または、「く」から。
posted by zooom at 19:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月24日

映画でしりとり 『イン・ザ・スープ』

『素晴らしき哉!人生』に続き、79回目は、

『イン・ザ・スープ』
In The Soup
監督:アレクサンダー・ロックウェル
出演:スティーヴ・ブシェミ、シーモア・カッセル、ウィル・パットン
ジェニファー・ビールス

****あらすじ***

NYの安アパートに住むアドルフォ(スティーヴ・ブシェミ)は
映画作りを夢見る青年。隣に住むアンジェリカ(ジェニファー・
ビールス)に秘かに恋心を抱いている。いつか、アンジェリカを
主役に映画を撮ることができたら・・・。
実情は映画製作の資金どころか、日々の暮らしに困るほど。
内気なアドルフォは、アンジェリカに想いを伝えることもできない。

生活のため、インチキプロデューサー(ジム・ジャームッシュ)の
仕事を引き受けたアドルフォ。しかし、金にはならない。
いよいよ生活に困り、大切にしていた500ページにも及ぶ自作の
脚本を売りに出すことにした。

すると。ジョー(シーモア・カッセル)と名乗る男が現れた。
アドルフォの脚本が気に入ったので、1000ドルで買うという。
おまけに映画製作の資金援助を申し出てくれた。どこから見ても
怪しい見掛けの、初老のジョー。胡散臭い。けれど、憎めない。
ジョーがアドルフォに紹介したのは、彼の弟のスキッピー(ウィル・
パットンと、ダーン(パット・モーヤ)。ジョーに負けず劣らず
いや、ジョー以上に怪しい雰囲気の輩だ。
やはり。ジョーの資金調達は、犯罪行為以外の何物でもなかった。
ああ。けれど。アドルフォにとっては、ジョーは大事なパトロンだ。
アドルフォも資金調達を口実に、犯罪の片棒を担がされることに。

アドルフォが思いを寄せるアンジェリカの家庭事情は複雑だった。
いつも違う男が部屋を行き来し、怪しげな物音が聞こえる。
ある晩、アンジェリカの部屋で騒動が起こったことがきっかけで
アドルフォは、アンジェリカと親しくなれた。
アドルフォの想いを察したジョー。アンジェリカを誘い、大晦日を
一緒に過ごすことになった。楽しい夜となったのだが。悪乗りした
ジョーが、アンジェリカにキスをした。怒ったアンジェリカは
帰ってしまった。アドルフォはジョーを渋々許すが。内心では
ジョーに対する不信感が募るばかり。

ある日のこと。映画製作の資金繰りのために、麻薬取引の使いに
走らされたアドルフォ。途中で、やっと気が付いた。資金繰りは
ただの口実で、本当は利用されていただけではないか。片棒を
担がされたと初めて気が付いたアドルフォ。ジョーと言い争いに。
その場に居合わせたアンジェリカ。あきれて、思わず銃を撃った。
すると。弾丸は・・・。

************

In the soup とは、ドツボに嵌るという意味。
スティーヴ・ブシェミ主演ということだけで、あまり期待をせずに
見に行ったが。よかった。
何というか。「えっ?」という終わり方。そんな・・・と思うのだが。
モノクロ作品なので、もの悲しさやユーモアがより引き立つ。
なぜか、見終わってから時間が経てば経つほど、印象が強まる。

この作品は、アレクサンダー・ロックウェル監督の実話に基づく
話なのだとか。金に困り、サックスを売ったことがきっかけで
小物のギャングに気に入られ、一作目の映画製作資金を援助して
もらい、世に出ることができたのだという。事実は小説より奇なり。

貧乏で情けなくて内気なショボイ男なら、スティーヴ・ブシェミに
勝る者はいない。アドルフォ役は、ぴたりと嵌った。
胡散臭いジョー役のシーモア・カッセルも、アクの強さとお茶目な
感じがよかった。
『フラッシュ・ダンス』以降、久しぶりに見たジェニファー・
ビールス。笑顔は変わらないが、素敵な大人の女性になっていた。
時々、また見たくなる作品だ。


イン・ザ・スープ プレミアム・エディション


次回は、「ぷ」または、「ふ」から。
posted by zooom at 19:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月23日

映画でしりとり 『素晴らしき哉、人生!』

『ニュー・シネマ・パラダイス』に続き、78回目は、

『素晴らしき哉、人生!』
It's a Wonderful Life
監督:フランク・キャプラ
出演:ジェームス・スチュワート、ドナ・リード、ライオネル・バリモア
ヘンリー・ラトヴァース

****あらすじ****

クリスマスの夜。ジョージ・ベイリー(ジェームズ・スチュアート)は、川で飛び込み自殺をしようとしていた。そんな彼を天上から
見守る二級天使(ヘンリー・ラトヴァース)の声が。
ジョージの人生が回想される。

小さな町で育ったジョージ。子供の頃から、何かと運に見放されて
いた。いつも、ことある毎に。逆境にばかり遭ってしまう。
ソリ遊びをしていた弟が真冬の池に落ち、助けたジョージは片耳の
聴力を失った。世界一周旅行したいという夢があり、大学卒業後に
旅行会社に就職するが。住宅金融会社を経営していたジョージの
父親が過労で急死した。取締役会で社長に推されたジョージ。
弟が大学を卒業するまで社長を務めることになった。

ジョージの父親は貧しい人たちに低利で住宅を貸し、住民達からは
尊敬されていた。優しい性格のジョージも父の意思を継いだが。
会社の経営状態は厳しい。町の大物ボスである銀行家のポッター
(ライオネル・バリモア)はジョージの父親を目の敵にしていた。
息子のジョージにも、当然よく思っていない。

大学を卒業した弟。大きな工場主の娘と結婚したため、弟は工場を
継ぐことに。ジョージの旅行の夢は破れてしまった。仕方ない。

1929年。幼馴染のメリー(ドナ・リード)と結婚したジョージ。
新婚旅行に旅立とうとした矢先に。またしてもジョージに不運が
襲う。世界大恐慌。ジョージの会社も煽りを受け、預金解約を求め
顧客が押し寄せ、大騒ぎになる。ジョージは旅費用の5000ドルを
貧しい預金者達に払い戻し、急場をしのいだ。またしても旅行する
夢の実現を阻まれてしまった。ついていない。でも、仕方ない。

4人の子供に恵まれ、幸せな生活を送るジョージ。会社の業績も
好調だ。ポッターはジョージの邪魔をしようと企んでいた。

第二次世界大戦が起こり、海軍将校として従軍したジョージの弟が
大統領から勲章を称えられた。お祝い騒ぎにまぎれて、ジョージの
会社の社員でもある叔父が会社の金8000ドルを紛失してしまう。
偶然にも、ポッターの手に渡ってしまった。ポッターはジョージを
助けるどころか、ジョージを脅迫する始末。会社には会計検査官も
やってきて、逮捕状が出された。

災難続きで、つきに見放された人生に絶望したジョージ。不運な
人生を自ら終わらせようと、橋の欄干から飛び降りようとした瞬間。
彼よりも先に、老人が身投げをした。慌てて助けるジョージ。
クラレンスと名乗る老人は、実は翼のない二級天使(ヘンリー・
ラトヴァース)。翼を貰うために、ジョージを救いにきた守護天使
だった。

こんな人生だったなら、世の中に生まれてこなければよかったと
嘆くジョージ。クラレンスはジョージが生まれなかった場合の幻の
世界に連れて行く。人情も道徳もない幻の世界に、ジョージには
耐えられない。元の世界に戻してくれと頼むジョージ。

再び現実の世界に戻ったジョージ。現世に戻れた嬉しさのあまり
メリー・クリスマス!と叫びながら我が家に駆け戻ると・・・。

************

クリスマスの時期に見る映画といえば、この作品。
前半はあまりにも不条理。後半の感動的なことと言ったら。
人のために善くしておけば、いつかそれは自分にも返ってくる。
どんな困難なことがあっても、人生捨てたものではない。

以前、クリスマス直前にロンドンのソーホーにある映画館で見た。
上映後には、涙と拍手と、観客一同、「メリー・クリスマス!」の声。
確かに、この映画を見終わった後には、メリー・クリスマス!と
叫びたくなる。
あー、これがキリスト教徒が祝うクリスマスなのだと実感した。

その後に作られる様々な映画作品のヒントとなっている。
『ジョー・ブラックによろしく』も、この作品を元に作られたとか。

素晴らしき哉、人生!


次回は、「い」から。
posted by zooom at 22:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月22日

映画でしりとり 『ニュー・シネマ・パラダイス』

『グッバイ!レーニン』に続き、77回目は、

『ニュー・シネマ・パラダイス』
Nuovo Cinema Paradiso
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:フィリップ・ノワレ、ジャック・ペラン、サルヴァトーレ・カシオ
マルコ・レオナルディ、アントネラ・アッティーニ

****あらすじ****

映画監督として成功している中年のサルヴァトーレ・ディ・ヴィータ
(ジャック・ペラン)。夜遅くローマに帰宅すると、留守電には
シチリアに住む母(プペラ・マッジョ)からの伝言が入っていた。
アルフレードが亡くなったという知らせだった。
アルフレードという名前を聞き、鮮明に蘇る幼い頃の思い出。

当時、トトと呼ばれていた少年時代(サルヴァトーレ・カシオ)の
サルヴァトーレ。ある日、母親(アントネラ・アッティーニ)から
買い物を頼まれたが。そのお金で映画を見てしまい、母に叱られた。
村の中心にある広場前には、パラダイス座という映画館があった。
すっかり映画に魅了されてしまったトト。こっそり、試写室を覗く。
パラダイス座には司祭の厳しい検閲があり、上映前にキスシーンが
カットされていた。何度となく映写室に忍び込もうと試みるトト。
フィルムを扱う技師のアルフレード(フィリップ・ノワレ)はトトを
追い返す。フィルムは可燃性で火事の危険があったからだ。
諦めないトト。小学校での試験でアルフレードに交換条件を出し
試写室に出入りできるようになった。トトは検閲でカットされた
フィルムをこっそり集めるようになる。

ある日、フィルムに火が付いてしまった。パラダイス座は瞬く間に
燃え尽きてしまう。アルフレードは火傷が原因で失明してしまった。
宝くじに当たった村人のおかげでパラダイス座は再建された。
アルフレードに代わりトトが映写技師になった。もはや検閲もなく
フィルムも不燃性に。

青年に成長したトト(マリオ・レオナルディ)は、銀行家の娘エレナ
(アニェーゼ・ナーノ)に恋をした。ひたむきな想いが実り、二人は
幸せなひと夏を過ごすのだが。エレナの父親は二人の恋愛に断固
反対だった。エレナの一家はパレルモに引っ越してしまう。
トトは兵役に。エレナへの思いを何度も手紙に綴る。だが。
エレナからの返事はなかった。

除隊後村に戻ってきたトト。しかし。村にはエレナの姿はなかった。
アルフレードはトトに、村を出て行くようにと勧める。しかも。
二度と村に戻ってくるなと。厳しく突き放すアルフレードに戸惑い
ながらも、トトは故郷の村を後にする。

アルフレードの教え通り、トトは故郷に戻ることはなかった。
アルフレードの葬儀に出席するため、30年ぶりに故郷の村に戻って
きたトト。アルフレードの棺を乗せた行進は、広場前で止まった。
駐車場に姿を変えようとしていた。広場。荒れ果てたパラダイス座。
30年の間に、顔見知りの村人も年老いた。すっかり立派になった
トトを尊敬の眼差しで見つめる村人達。

葬儀後に。アルフレードの妻からトトに渡された形見の、缶。
中には検閲でカットされたフィルムの断片が。

************

何回、この作品を見ただろう。
見る度に感動し、モリコーネのBGMが数フレーズ聴こえただけで
ジーンと熱いものが込み上げてくるのを感じてしまう。
淀川長治の、あの名ゼリフが正にぴったりくる、不朽の名作だ。
この作品が数ある映画の中で一番好きだという人も多いだろう。
『ニュー・シネマ・パラダイス』は映画館で見たい作品。

映画への愛、故郷への愛、師弟愛、親子愛、隣人愛。愛に包まれた
温かい作品だ。ジュゼッペ・トルナトーレ監督が29歳の時に
撮った作品だったとは。

アルフレードを師とし、父のように慕うトトと、トトを心から愛し
トトの将来のために、突き放したアルフレード。村が変わっていく
様子を目にすることはできないものの、耳や体で感じていたはずの
アルフレード。どんな思いで晩年を過ごしていたのだろう。
フィリップ・ノワレが演じたアルフレードは愛すべき人物だ。

多くを語らないアルフレードの想い。形見のフィルム缶にぎっしり
詰まっていた。ラストの、アルフレードの形見のフィルムを繋げ
キスシーンだけを繋げた映像を、独り試写室で見入るトトの眼差し。
笑顔が、幼い頃のトトとそっくり。いい表情だ。パラダイス座で
過ごした村での思い出が走馬灯のように次々と現れるシーン。
見ている方も、トトと同じ気持ちになる。

少年のトトを演じたサルヴァトーレ・カシオが愛らしく、利口で
しっかり者の演技も上手い。青年役のトトは恋する少年のしぐさが
甘すぎる。中年のトトは、さすがに上手い。

初公開時に見て不思議に思ったシーンの意味が、後に公開された
完全版で明らかになるが。私は初公開時のオリジナル版が好きだ。

B000YL90DI


次回は、「す」または、「ず」から。
posted by zooom at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月21日

映画でしりとり 『グッバイ!レーニン』

『ギャング・オブ・ニューヨーク』に続き、76回目は、

『グッバイ!レーニン』
Goodbye Lenin!
監督:ヴォルガング・ベッカー
出演:ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース、マリア・シモン
チュルパン・ハマートヴァ、フロリアン・ルーカス

****あらすじ****

1989年。ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツの首都、東ベルリン。
アレックス(ダニエル・ブリュール)はテレビ修理店に勤めている。
父親は10年前に家族を捨て、西側に亡命した。その反動からか
母クリスティアーネ(カトリーン・ザース)は愛国心を強め、社会
奉仕活動に熱心な毎日。姉のアリアーネは学生結婚の末、離婚。

密かに反体制の考えを持っていたアレックス。東ドイツ建国40
周年の日の夜に。家族には内緒で、反社会デモに参加した。
社会奉仕活動に熱心な母親は式典への招待を受けていた。
喜び勇んでパーティー会場へ向かう途中、母親が目にしたものは。
反体制のデモ行進に参加し、警察と衝突して逮捕される我が息子
アレックスの姿だった。あまりのショックに、心臓発作を起こした
クリスティアーネは、昏睡状態に陥ってしまう。

昏睡状態から目覚めることはないと言われていたクリスティアーネ。
8ヶ月後。奇跡的に意識を取り戻した。医師からは、再び大きな
心理的ショックを受ければ、母親の命取りになると忠告された。
戸惑う家族。

8ヶ月の間に世間は大きく様変わりしていたのだ。国境にあった
ベルリンの壁が崩壊し、東ドイツから社会主義体制が消え去った。
西側諸国からの文明がなだれ込み、便利な社会。東西統一も
間近に迫っている。姉アリアーネはバーガーキングで働いている。
姉の新しい恋人ライナーは、バーガーキングのマネージャーだ。
そんな状況を母親に話しても、信じないだろう。
もし、事実を知れば。大きなショックを受けることは間違いない。
一瞬で心臓発作を再発するはずだ。この状況を、どう説明しようか。

それならば。母親には、東ドイツの体制がずっと続いているふりを
すればいい。母親の目が届く範囲内だけは東ドイツの古い生活に
戻そう。ゴミ置き場から東ドイツ時代の物をあさり、時代遅れの
ダサい服を着ることに。姉の赤ん坊にも、東ドイツ製のオムツを
着けることを強いるアレックス。母の大好物だった東ドイツ製の
ピクルスを探し求めるが。国営の食料品店が大手スーパーに姿を
変え、どこに行っても、見つからない。
テレビが見たいという母の要望に、同僚で映画オタクのデニス
(フロリアン・ルーカス)と偽のニュース番組を作り、ビデオを
流す。だが。旧体制の世界を装うには、限界がある。

反体制デモで知り合ったアレックスの恋人でロシア人看護師のララ
(チュルパン・ハマートヴァ)や姉は、母親に真実を打ち明ける
ように論されるが。母親を思うアレックスは、頑なに旧体制下の
嘘の生活を続けようとする。

郊外にある森の小屋に出かけた一家。そこで母親から、ある真実を
聞かされる。西側に亡命したアレックスの父親は、家族を捨てた
わけではなかったと。政治的意志で亡命したが、西側に家族を招き
入れようとしたが、危険で果たせなかったのだ。アレックスは母に
宛てた父親の手紙の住所を基に、会いに行くが。父には、新しい
家族がいた。父親を母と面会させたアレックス。

弱ってきた母親に。最後にもう1つだけ、嘘をつこうと決めた
アレックス。病院から乗ったタクシーに乗った際、偶然出会った
憧れの宇宙飛行士に、ある頼みごとをする。

************

ウィットに富んだ面白い作品だ。その奇抜な発想が、いい。
予告を見た時から期待していたが。期待に応える作品だった。
隣のビルにコカ・コーラの垂れ幕を見た際の表情と、一瞬の間。
クレーンで撤去されるレーニン像の手が、クリスティアーネに向く。
大胆で目を引く構成。笑いだけでは終わらない何かを伝えている。

便利になってしまってから、時代を逆戻りすることは容易ではない。
嘘をつくと、その嘘を取り繕うのに、また大きな嘘をつくことに。
ただ。この作品の中の嘘は、いい嘘だと思う。

アレックスが最後の偽テレビ放送で流した演説が素晴らしい。
こうあってほしいと願う、理想の国。あんな演説をする政治家が
いればいいのだが。

この作品で一気にブレイクしたダニエル・ブリュール。ごく普通の
青年役だが。確かに、人を惹きつけるチャーミングな魅力がある。

B0002VL6PU



次回は、「に」から。
posted by zooom at 21:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月20日

映画でしりとり 『ギャング・オブ・ニューヨーク』

『運動靴と赤い金魚』に続き、75回目は、

『ギャング・オブ・ニューヨーク』
Gangs of New York
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ダニエル・デイ=ルイス、レオナルド・ディカプリオ
キャメロン・ディアス、ジム・ブロードベント、リーアム・ニーソン

****あらすじ****

19世紀初頭。アイルランドで大飢饉に見舞われた。故郷を後にし
未知なる夢と希望を抱き、アメリカにやって来るアイルランド人が
後を絶たなかった。彼らが住んでいたのは、マンハッタン島の南
ニューヨーク界隈。貧民街ファイブ・ポインツを牛耳っていたのは
アメリカ生まれの住人が組織するギャング団、ネイティブズ。
リーダーは肉屋のビル・ザ・ブッチャー(ダニエル・デイ=ルイス)。
ネイティブズの多くは、プロテスタント。
これに対抗するため、アイルランド系の移民が立ち上げた組織が
デッド・ラビッツ。リーダーはヴァロン神父。デッド・ラビッツの
メンバーはカソリック。

1946年。ファイブ・ポインツの利権を賭け、デッド・ラビッツと
ネイティブズの間で大きな抗争が。壮絶な戦いが繰り広げられた。
ヴァロン神父がネイティブズのリーダー、ビルに殺された。
目の前で敵に父親を殺されたヴァロン神父の息子アムステルダム
(レオナルド・ディカプリオ)は少年院へ。ビルへの復讐を誓い
ながら、少年院で16年の歳月が過ぎた。

刑期を追え、帰ってきたアムステルダム。ファイブ・ポインツは
ネイティブズに仕切られていた。デッド・ラビッツは既に壊滅状態。
ネイティブズと結託した悪徳政治家が消防団や警察を私有化し
腐敗政治を行っていた。父親の敵を果たすため、アムステルダムは
素性を隠し、ビルが率いるネイティブズの組織に潜り込む。
アムステルダムは持ち前の度胸で頭角を現し、ビルに一目置かれる
存在に。ビルはアムステルダムを自分の息子のように可愛がる。

町でスリに遭ったアムステルダム。しかも、スリは美しい女性。
アムステルダムは、女スリ師ジェニー(キャメロン・ディアス)に
運命的なものを感じたが。ジェニーは、ビルの元情婦だった。
今も関係がある二人。ジェニーに手を出すわけにはいかないが。
許されない恋に落ちたアムステルダムとジェニー。

アムステルダムの正体がビルにバレてしまった。裏切り者の汚名を
着せられ、拷問にかけられた末、ネイティブズを追放された。
ジェニーに介抱されたアムステルダムは、復讐の機会を狙うが。
やがて、南北戦争の時代へ。

ジェニーの反対を押し切り、アムステルダムは新生デッド・ラビッツを
結成したアムステルダム。ファイブ・ポインツを賭けての戦いが。

************

ニューヨークが、今のNYになる前の話。重苦しい展開の作品。
アメリカ史を少しだけでも頭に入れておいてから見ると、いい。
1845年にアイルランドで大飢饉が発生。
1861年に南北戦争が勃発。

争いごとは、いつも、宗教の違いが発端となっている。
WASPと呼ばれる、プロテスタントのアングロサクソン系白人と
アイルランド系の移民。血で血を洗う争いが耐えない日々。
ギャングのボスと、亡き父のため復讐に燃える青年。
混沌とした時代の中で。どこか似ている、敵対する二人。
生まれた時代が違ったならば。よきライバルとなっていただろう。

ダニエル・デイ=ルイスの演技が素晴らしい。この作品の主役は
ディカプリオではなく、ダニエル・デイ=ルイスだ。圧倒的な
存在感で、他の出演者の存在が薄らいで見える。

衣装も素敵だった。トップハットにロングコート姿の、ダニエル・
デイ=ルイスのカッコいいこと。キャメロン・ディアスのドレスも
色合いやデザインが素敵だった。

B00006RYMZ



次回は、「く」から。
posted by zooom at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月16日

映画でしりとり 『運動靴と赤い金魚』

『10日間で男を上手にフル方法』に続き、74回目は、

『運動靴と赤い金魚』
Bacheha-ye Aseman
監督:マジッド・マジディ
出演:ミル=ファロク・ハシェミアン、バハレ・セデキ、アミル・ナージ

****あらすじ****

アリ(ミル=ファロク・ハシェミアン)と、妹ザーラ(バハレ・セデキ)は
小学生。母親は、ぎっくり腰が治らず、体調が悪い。家族のために
手伝いをするアリ。買い物の途中、直してもらったばかりの妹の
靴を、うっかりなくしてしまった。アリは自分の家が貧しいことを
知っている。新しい靴を買うのは、大変な散在になる。お金もない。
靴をなくしたことを両親には言い出せない。どうしよう。
妹がサンダルで登校したら、体育の授業の時に困る。悩むアリ。
結局、アリの運動靴を兄妹で交互に履くことにした。それしかない。

小学校は、午前中と午後の二交代制。午前中に妹に運動靴を貸し
午後からアリが学校に行けば、何とかなるはず。ところが。
ザーラにとっては、アリの靴は大きすぎる。ブカブカの靴では
早く走ることはできない。待ちきれないアリは、妹の下校途中で
待ち構え、靴を履き替えて、急いで走って登校するが。どうしても
遅刻してしまう。とうとう、先生に目をつけられてしまった。
でも、遅刻する理由は先生にも言えない。

ある日のこと。ザーラは学校で下級生の女子が自分の靴を履いて
いるのを見つけた。アリとザーラは、女の子の家に行き、ザーラの
靴を返してもらおうとするのだが。その子の父親が盲目で、貧しい
生活をしているのを見てしまった。靴を返してとは言えなくなった。

週末。アリを連れて仕事に出た父。金持ちの家で庭の手入れをする
ことになった。これで、妹の新しい靴も買ってもらえる。ところが。
その直後、事故に遭ってしまう。二人が乗っていた自転車が大破し
父は大怪我をしてしまった。運動靴の仕事は、ご破算だ。残念。
落胆するアリ。

そんな矢先。小学校でマラソン大会が行なわれることになった。
3等賞は運動靴だ。選考会に遅刻してしまったアリだが。先生に
頼み込んで出場させてもらえることになった。毎日毎日、全速力で
走って登校していたのが功を奏したのだ。

マラソン大会の当日。妹のために、3等目指して必死で走るアリ。
目標は1等賞ではなく、運動靴がもらえる、3等賞。

************

イランの児童少年知育協会が製作した映画。映倫が厳しいイランの
映画は、道徳的な作品が多い。日本人がいつしか忘れてしまった
懐かしい情景や感情を上手く描いている。

物が溢れ、欲しい物は何でもすぐ手に入る時代。
クリスマスプレゼントにあれこれと物をねだる子供に見せるといい。

家族のため、妹のために。泣きそうな顔で、一生懸命に頑張るアリ。
健気な少年だ。一方、妹役ザーラ役の、バハレ・セデキはセクシー。
小学生にして、あの色気のあるたたずまい。恐れ入る。

妹に新しい運動靴をあげるため、マラソン大会で必死に走るアリ。
1等賞になりそうになり、手に汗握る展開だ。

アリの家の前にある、小さな池。池の中で泳ぐ、赤い金魚。
妹のニッコリする笑顔で精神的に癒され、赤い金魚が疲れたアリの
足を癒す。

私は12年前に買ったイタリア製のブーツを今でも気に入って履いて
いる。少しも悪くならない。良質な革で作られたオーソドックスな
デザインの、いい靴。踵や底を何度も直し、ラナパーをすれば
長く履ける。すぐに捨てるのは、もったいない。

B000A16QG6


次回は、「ぎょ」または、「ぎ」から。
posted by zooom at 17:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月10日

映画でしりとり 『10日間で男を上手にフル方法』

『死ぬまでにしたい10のこと』に続き、73回目は、
『10日間で男を上手にフル方法』
How to Lose a Guy in 10 Days
監督:ドナルド・ペトリ
出演:ケイト・ハドソン、マシュー・マコノヒー、キャスリン・ハーン

****あらすじ****

新米の雑誌ライター、アンディ(ケイト・ハドソン)。独身。恋人なし。
堅い政治ネタの記事を書きたいのだが。新米に、書きたい記事を
特集させてくれるはずがない。

ある日の編集会議で。彼氏に振られてしまった同僚のミシェル
(キャスリン・ハーン)のことが記事にされそうになった。そこで
ひらめいたアンディ。男と別れたい女性のための、「男に上手に
フラれる方法」という企画を記事にしてはどうかと提案した。
編集長も乗り気。アンディの企画が採用されたのだが。締め切りは
10日後。アンディ自らが身を持って体験し、記事を書くことに。
先ずは、フラれるために付き合う恋人を早く探さねば。

広告会社勤務のベン(マシュー・マコノヒー)。独身。恋人なし。
ダイヤモンドの最大手宝石店の契約権を巡り、同僚と争っていた。
勢い余ったベンがついポロッと言ってしまった言葉。
「女心も分かるし、どんな女性でも落としてみせる!」
この言葉を聞いた上司。10日後のパーティまでに指定された女性を
落とし、パーティに連れてくれば、宝石店の契約はベンのものに
すると言う。何としてでも、10日以内に彼女を作らなければ。

とあるパーティ会場で。アンディとベンが出席していた。
ベンが上司に指定したのは、記事ためのカモを探すアンディ。
お互いの思惑を知る由もない2人。デートの約束を交わす。
交際が始まるや否や。アンディは早速、”HOW TO”コラムの
ために、実践に取り掛かる。締め切りは、10日後。でも、余裕。
振られるのなんて、簡単、簡単。

ベタついてみたり。すねてみたり。わがままになってみたり。
スポーツ観戦を邪魔したり。留守電に何度もメッセージを残したり。
仕事中に、どうでもいい電話をかけたり。ベンの部屋を自分の物で
埋め尽くしてみたり。
ところが、効果はない。なぜ、ベンはフッてくれないのだろう。

ベンは、イラッとする心を幾度となく抑える。仕事のため、我慢だ。
アンディも必死。編集長との約束で、”HOW TO”コラムの記事が
成功すれば、どんな記事も書かせてもらえる。念願の政治記者に
向かって、一刻も早くフラれなければ。

ところが・・・。

************

ラブコメディーとしては、面白い切り口の作品。
ただ、出来過ぎな感じは否めない。

何よりも。アンディ役の、ケイト・ハドソンがチャーミング。
これに尽きる。


B000EWBUQ2


次回は、「う」から。
posted by zooom at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月21日

映画でしりとり 『死ぬまでにしたい10のこと』

『トゥリーズ・ラウンジ』に続き、72回目は、

『死ぬまでにしたい10のこと』
My Life Without Me
監督:イザベル・コヘット
出演:サラ・ポーリー、スコット・スピードマン、デボラ・ハリー
マーク・ラファロ

****あらすじ****

17歳の時に妊娠し、結婚したアン(サラ・ポーリー)。現在、23歳。
清掃の仕事をしている。夫のドン(スコット・スピードマン)は
失業中。アンの母親(デボラ・ハリー)宅の裏庭にあるトレーラー
ハウスで、夫と2人の娘との4人暮らし。家事と仕事と子供の世話。
時間に追われ、忙しい。

ある日、突然の腹痛に襲われて病院に運ばれたアン。検査の結果
医師からは、癌で余命2〜3ヶ月と宣告される。若さのせいで進行が
早く、すでに全身に転移してしまっていたのだ。

アンは病気のことを誰にも打ち明けないと決意し、ドンや母親には
貧血だと説明した。夜更けのコーヒーショップで独り、今までの
人生を振り返りながら、死ぬまでにしたいこと10項目のリストを
作った。

1 娘達に、愛していると1日に何度か言う

2 ドンに、子供達も気に入るような新しい奥さんを見つけてあげる

3 娘達が18歳になるまで、誕生日に毎年贈るメッセージを録音する

4 ホエール湾ビーチに行って、ピクニックをする

5 好きなだけお酒を飲んでタバコを吸う

6 思っていることを言う

7 他の人とつきあって、どんな感じか確かめてみる

8 誰かを私に夢中にさせる

9 刑務所にいる父に会いに行く

10 ネイルアートをして髪型を変える

そんな時。コインランドリーで、コーヒーショップにいた男リー
(マーク・ラファロ)に声をかけられた。帰宅後に洗濯物の袋には
1冊の本が入っていた。電話番号を書いた紙が挟まれている。
恋人と別れたばかりのリー。彼の家を訪ねたアンは、彼と恋に
落ちる。

隣の家に越してきた、同じ名前のアン(レオノール・ワトリング)。
アンの娘達もよく懐いている。自分の死後、夫のドンの新しい
パートナーになってくれるよう密かに願う。

10年も刑務所にいる父(アルフレッド・モリーナ)とも面会した。

リストに書かれた10項目のしたいことを一通り実行していくアン。
そして・・・。


************

もし、突然。自分が癌に侵されていて、余命2ヶ月だと知ったら。
何をしたいだろう。

アンの場合は、残された家族への贈り物。そして、若くして
結婚・出産してしまったために犠牲となった、青春の日々を
取り戻すこと。

中には、病魔に襲われていることを考えると無理だろうと
思うこともある。共感しきれない考えもある。つい、客観的に
見てしまった。

重いテーマながら、淡々と描かれた作品。主役のアンを演じた
サラ・ポーリーの透明感あるたたずまい。悲壮感のない美しい
病人の姿。こんなに上手くいくわけはないだろうと思いつつ。
映画だから、ありなのか・・・。

デボラ・ハリーの母親役には、驚いた。意外と良かった。

病院の廊下で。残りわずかな余命宣告にショックを受けるアンに
キャンディーを渡す担当医。ジュリアン・リッチングスが演じた
人間味のある医師。どんな慰めの言葉よりも、優しさを感じた。


B0001CGNJY


次回は、「と」または、「ど」から。

posted by zooom at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月10日

映画でしりとり 『トゥリーズ・ラウンジ』

『ミュージック・オブ・ハート』に続き、71回目は、

『トゥリーズ・ラウンジ』
Trees Lounge
監督:スティーヴ・ブシェミ
出演:スティーヴ・ブシェミ、クロエ・セヴィニー、ミミ・ロジャース
サミュエル・L・ジャクソン、エリザベス・ブラッコ

****あらすじ****

トミー(スティーヴ・ブシェミ)は31歳。独身。自動車整備の仕事を
クビになった。妊娠中の恋人テレサ(エリザベス・ブラッコ)には
逃げられてしまう。トミーの元上司のロブに奪われたのだ。
トミーは昼間からトゥリーズ・ラウンジというバーに入り浸る。
退屈でいい加減な毎日を過ごしていた。

ある日、伯父のアルが急死した。アイスクリーム移動販売の仕事を
引き継いだトミー。販売者に乗り、郊外をゆっくり運転する日々。
テレサの姪で、17歳のデビー(クロエ・セヴィニー)と知り合った。
デビーを家まで送り届けると、デビーの父親ジェリーから怒りの
言葉が。ただ、母親パティ(ミミ・ロジャース)に夕食を勧められ
ご馳走になることに。

その夜のこと。トミーはトゥリーズ・ラウンジでデビーが友達と
叩き出されそうなところに遭遇した。皆でトミーの友人マイクの
家に行くことに。マリファナやダンスで盛り上がるが。マイクの
妻からの電話で、事態が急変。追い返された。ラリってて帰れない
と言うデビーを部屋に連れ帰ったトミー。そのまま一夜を共にして
しまった。

翌日。父親に殴られたデビーは、トミーに電話をかけるのだが。
何とも頼りない返事に失望し、家出を決心した。

一方、トミーが怪しいと気づいた父親ジェリーはバットを振り回し
トミーを追いかける。トミーは傷だらけになりながら、テレサの
出産祝いに駆けつけ、立ち寄った。復縁を願っていたのだが・・・。

************

スティーヴ・ブシェミが脚本も手がけた初監督作。
うだつの上がらない独り身の男の、切ない物語。メリハリがなく
かなりダラダラとした緩い雰囲気の作品なのだが。なぜか、いい。
個性派俳優スティーヴ・ブシェミはロマンティックな人だと思った。

俳優が監督になると。1作目は微妙な仕上がりになることが多い。
今まで構想していたことが濃く出るからだろう。思い入れが強い分
理解しにくい作品になることが多い。ジョニー・デップの『ブレイブ』や
ギャリー・オールドマンの『ニル・バイ・マウス』は、見ているのが
つらかった。



次回は、「じ」または、「し」から。
posted by zooom at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月25日

映画でしりとり 『ミュージック・オブ・ハート』

『スリープ・ウィズ・ミー』に続き、70回目は、

『ミュージック・オブ・ハート』
Music of the Heart
監督:ウェス・クリヴン
出演:メリル・ストリープ、アンジェラ・バセット、エイダン・クイン
グロリア・エステファン、アイザック・スターン

****あらすじ****

夫と別居し、2人の息子を女手一つで育てることになったロベルタ
(メリル・ストリープ)。ニュージャージーの実家に戻ってきた。
専業主婦だったロベルタ。特技といえば、趣味のヴァイオリン。
ヴァイオリニストとしての夢と才能を持っていたが。夫は海軍将校。
度重なる転属のため、自分の夢を諦めていた。

高校時代の友人ブライアン(エイダン・クイン)から、特技をいかし
ヴァイオリンを教える教師の職を勧められるが。ブライアンからの
推薦を受けて訪れた先は、イーストハーレム地区にある小学校。
物騒な地域の、荒れ果てた学校。教師経験のないロベルタに校長の
ジャネト(アンジェラ・バセット)は難色を示す。しかし、ロベルタの
熱意に負け、臨時職員としてヴァイオリンクラスの臨時教員として
雇うことに。

ロベルタは自分が購入した50挺のヴァイオリンを手に、クラスへ。
しかし、現実は厳しかった。生徒達は言うことを聞かず、弓で
チャンバラをし、ヴァイオリンはギターのように指で弾いている。
初日から、大混乱だったが。ロベルタは諦めない。

いつも練習熱心な生徒ナイームが教室に来なかった。不安に思った
ロベルタ。母親(グロリア・エステファン)から、ヴァイオリンの
クラスに行ってはいけないと言われたからだ。母親に聞いてみると
「白人の音楽を習わせたくない。誰にも頼んでないのに、スラムの
子供を救おうと学校に乗り込んでくる白人教師なんて、まっぴら」
人種差別、家庭内暴力、貧困。音楽を習う心の余裕がない。
ロベルタは諦めない。生徒ひとりずつ、根強く教え続ける。
レッスンは容赦なく、厳しい。

生徒達は、次第にヴァイオリンの楽しさに没頭していく。
最初は不安そうにクラスを覗いていた校長も、満足顔。小学校内も
いい雰囲気になってきた。

ところが。家では、長男のニック(チャーリー・ホフハイマー)が
荒れていた。学校ではクラスメイトとけんかをし、家では母親に
反抗する。ヴァイオリンの練習をするように叱られたニックは
ヴァイオリンを投げ、踏みつけた。父親がいないことが原因だった。

10年後。ロベルタのヴァイオリンクラスは150人もの生徒を抱えて
いた。大人気のクラスになっていた。ところが。市の教育委員会が
突然、教育予算を削減することに。ヴァイオリンクラスは今学期
限りで打ち切られることになってしまった。

諦めないロベルタ。市に抗議しても無駄。皆の力を借りて、救済
コンサートを開こうと決意する。そこで得た資金でヴァイオリン
クラスを継続させようと考えた。

ロベルタの友人の写真家ドロテア・フォン・ハフテン(ジェイン・
リーヴス)が、彼女の夫でガルネリ弦楽四重奏団の夫アーノルド・
スタインハートがコンサートの参加してくれることになった。
アーノルドの友人でヴァイオリンの名手イツァーク・パールマンも
参加してくれるのだという。何という幸運。

コンサートまで、あと6週間。ロベルタも生徒も必死に練習を
続けるが。会場で事故が起き、コンサイートを開くことができなく
なってしまった。

そこへ。ドロテアから、思わぬ朗報が。アーノルドの友人が
アイザック・スターンに事情を話したところ、会場を手配して
くれたのだ。なんと、カーネギーホール。

そして、1993年。ロベルタと50人の生徒達がカーネギーホールで
有名ヴァイオリニスト達と共に、舞台に立った。


************

実話に基づく話。1993年にあった出来事で、『Small Wonders
ハーレムのヴァイオリン教室〜ロベルタ先生と50人の子供たちの
奇跡〜』というドキュメンタリー映画を基に作られた作品を
長編映画化したもの。有名なヴァイオリニスト達も本人役として
出演している。素敵で、ある意味、とても豪華で贅沢な作品。

諦めずに困難に立ち向かい、子供達とヴァイオリンのために自分の
信念を貫いたロベルタ先生には恐れ入る。心からヴァイオリンを
愛していたからこその、熱意。こんな先生に習うことができた
子供達は幸せだ。

ロベルタ役のメリル・ストリープの演技が上手いのは当たり前だが。
ヴァイオリンを手に、得意げに弾く生徒達の目の輝きが素晴らしい。
公演直線の楽屋で。緊張した生徒達を勇気付けるロベルタ先生。
強く握ったこぶしを胸に当て、「ヴァイオリンは、ここで弾くのよ」
途端に和らぐ生徒達の表情。そう、音楽は心で奏でることが大切。

最後は、まるで自分がカーネギーホールで観客のひとりとして
聴き入っているかのような感覚になる。大きな音で聴きたい作品。

B00005V2JG



B00005HUCB



次回は、「と」から。
posted by zooom at 20:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画でしりとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。