2014年10月29日

『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』

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About Time
監督:リチャード・カーティス
出演:ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス
ビル・ナイ、トム・ホランダー、リンゼイ・ダンカン
公式サイト:http://abouttime-movie.jp(BGM付きなので注意)

****あらすじ****
イギリス南西部コーンウォールの海辺に住む青年ティム(ドーナル・
グリーソン)は、両親と妹、そして伯父の5人家族。どんな天気でも
海辺でピクニックをし、週末は野外映画上映を楽しむ。風変りだけど
仲良し家族。

自分に自信のないティムは年頃になっても彼女ができずにいた。
20歳の時の大晦日には近くにいた女の子に新年のキスではなく
握手をする始末。ああ、自分が情けない。

21歳の誕生日、父(ビル・ナイ)からある秘密を明かされる。
一家に生まれた男達には、タイムトラベル能力があるというのだ。
ただし、過去に戻れるが未来には行かれない。

父の言葉を本気にしないティムだが、言われた通りの方法を
試してみた。暗闇で両手のこぶしを握り、行きたい場所と時間を
念じたら…。20歳の時の大晦日に戻っていた。服装も当時と同じ!
大失敗だった年明けの瞬間を無事に近くにいる子とキスできた。

タイムトラべルで彼女ができたら最高。だが、上手く行かない。
夏にキットカットの彼氏の従姉妹マーゴットが2ヶ月滞在した。
一目惚れだった。帰る前の晩に勇気を振り絞って告白すると
「もっと前に言ってくれないと」…告白が遅すぎたらしい。
過去に戻って告白したが、「帰る前の晩にもう一度言いにきて」
タイムトラベルの力を借りても恋愛成就は難しい。

弁護士を目指し、ロンドンに移り住んだティム。父の友人で脚本家の
ハリー(トム・ホランダー)のフラットの家の空き部屋に居候。
ロンドンには女子は五万といるのに、出会いがない。仕事ができず
モテない同僚とつるんで出掛ける自分が情けない。

ある晩、暗闇レストランでチャーミングな女の子メアリーと出会い
恋に落ちる。連絡先もゲット。ところが、その晩はハリーの舞台の
初演日で、主役が台詞を忘れてしまった。お先真っ暗。ティムは
タイムトラベルで何とか舞台を成功させて一件落着。と思ったら。

タイムトラベルが引き起こす不運によって、メアリーとの出会いは
なかったことに。メアリーに再び会うため、メアリーが大好きな
ケイト・モスの写真展に毎日通い、ティムはメアリーを待ち続けた。
ところが。フリーだったはずのメアリーには彼氏ができていた。
またまたタイムトラベルをし、ライバルが来る前にメアリーに近づき
メアリーと仲良くなる事が出来た。その夜も完璧なものにしようと
何度もタイムトラベルしてヘトヘトに。

二人は結婚し、子供ができた。幸せな日々。タイムトラベルをする
機会も減ったそんなに日、父が病気で余命もわずかと聞かされた。

残り少ない父との時間を有意義に過ごすため、タイムトラベルを
繰り返すティム。実はもちろん、父もタイムトラベルを繰り返して
何度も幸せな時を楽しんでいた。このままずっとタイムトラベルを
繰り返せば…と思っていたティムだが。タイムトラベルを使っても
回避することは不可能な不幸や出来事もあると知る。

************

「ノッティングヒル」で脚本を、「ラブ・アクチュアリー」で脚本と
監督を務めたリチャード・カーティス監督の最新作で最後の作品。
見に行かないとう選択肢は、ない。

「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」は副題の通り、まさに
愛おしい時間についての作品だった。何気ない日常の生活の中で
家族や恋人や友人との愛を描くのが得意なリチャード・カーティス。
今回もお決まりの、告白シーンや結婚式など、カーティス色の強い
作品。カーティス調のキメ台詞もたくさんあって、山場が盛り沢山。
見終わった後、家族と過ごす何気ない一日の大切さを改めて感じた。

何といっても、父親役のビル・ナイがいい。出番は意外と少ないが
飄々とした表情と一瞬の間がいい。エンディングの歌声も味があり
なかなかのものだ。

主役のドーナル・グリーソン。どこかで見たことがあると思ったら
ブレンダン・グリーソンの息子。『ハリー・ポッター』のロンの兄
ビル役とマッド・アイ・ムーディ役で親子で共演している。
メアリー役のレイチェル・マクアダムスはチャーミング。まさか
ガイ・リッチ―監督の『シャーロックホームズ シャドーゲーム』で
アイリーン・アドラー役を演じていた女優と同一人物だとは。

80年代のBGMがいいと思ったら。音楽担当はドリーム・アカデミーの
リードボーカルだったニック・レアード=クロウズ。映画のBGMで
ザ・キュアーの曲を聴けたのが嬉しい。歌詞が内容にドンピシャリな
曲が多用されていて心憎い。

できれば、もう1回見たいのだが。名古屋での上映は今月末まで。
都内のように、名古屋で別の映画館でも上映してくれないだろうか。
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2014年07月13日

「グランド・ブダペスト・ホテル」

thegrandbudapesthotel.jpg

The Grand Budapest Hotel
監督:ウェス・アンダーソン
出演:レイフ・ファインズ、F・マーレイ・エイブラハム
ティルダ・スウィントン、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー
エドワード・ノートン、マチュー・アマルリック、ジュード・ロウ
トム・ウィルキンソン、シアーシャ・ローナン、トニー・レヴォロリ

公式サイト:http://www.foxmovies.jp/gbh

****あらすじ****

1冊の本を携えた若い女性が旧ズブロフカ共和国の国民的大作家の
墓石に鍵をかけ、近くのベンチに座って本を読み始めた。表紙には
「グランド・ブダペスト・ホテル」裏表紙には著者の写真が。

1985年。作家(トム・ウィルキンソン)は「グランド・ブダペスト・
ホテル」を書くに至った経緯を語り始めた。まだ若き日のことだ。

1968年。執筆に行き詰った作家(ジュード・ロウ)は気分転換の
ため、旧ズブロフスカ共和国にある、かつてはヨーロッパ最高峰の
ホテルと言われたグランド・ブダペスト・ホテルで8月の1ヶ月を
過ごした。色褪せて寂れたホテルはかつての栄華を留めていない。
わずかな宿泊客は皆、おひとり様。

そこにはゼロ・ムスタファ(F・マーレイ・エイブラハム)の姿も。
かつてズブロフカで一番金持ちだった、ホテルの所有者だ。
財政難で、ほとんどのホテルが国有化される中、ホテルを手放さず
維持し続けている。コンシェルジュによると、たまにホテルを訪れ
風呂なしの小さな使用人部屋に1週間ほど滞在するのだとか。
貧しい移民の身からホテルを所有するほどの大富豪になったのは
なぜか。なぜ、ホテルを買ったのか。オーナーなのに使用人部屋に
泊まるのはなぜか。作家はムスタファに興味津々。

個別のバスタブが置かれたホテルの大浴場で、作家はムスタファに
声をかけられた。ぶしつけな質問をすると、食事に誘われる。

食事の席でムスタファは話し始める。
「私の前任者であり、グランド・ブダペスト・ホテルの愛すべき
最初のコンシェルジュについて話をしなければならない」

1932年。エレガントな宿泊客で賑わうグランド・ブダペスト・ホテル
の名コンシェルジュグスタウ・H(レイフ・ファインズ)はホテルの
従業員を指示し、宿泊客にとっての心地よさを追求した究極の
おもてなしをモットーに、マダム達の夜のお相手もしていた。
多くの常連客はグスタヴ目当てだった。

マダムD(ティルダ・スウィントン)も、そんな常連客のひとり。
「離れたくない、これが最後かもしれないから。私と一緒に来て」
グスタヴはマダムDを慰め、車に乗せた。

新しくロビーボーイとして働き始めたゼロ(トニー・レヴォロリ)は
ホテルマンとしての経験はほぼゼロだったが、志望理由を聞かれ
「グランド・ブダペスト・ホテルで働くのは憧れです」と答えたので
グスタヴに気に入られた。そして、グスタヴの厳格な指導のもと
ゼロの見習い生活が始まった。彼はゼロの相談者で指導者だった。
週6日と半日、朝5時から真夜中まで働いた。

ホテルの所有者は誰も知らなかったが、帳簿などのチェックのため
代理人のコバックスを送り込み、グスタヴらと相談していた。

日課の新聞調達で新聞の一面を目にしたゼロは驚き、大急いで
グスタヴに見せた。紙面には「戦争か。戦車が国境を越えた」の下に
「マダムDが浴室で死亡」の記事が載せられていた。

グスタヴはゼロを伴って汽車でマダムDのもとへ向かう。汽車は
雪が積もった麦畑で停まった。ルッツの警護団が汽車に乗り込み
乗客の身分証明書などを確認している。ゼロは移民だったため
身分証を持っていなかった。兵士がゼロを連れて行こうとするが
そこに現れた上官(エドワード・ノートン)がホテルの常連客の息子で
ゼロに臨時の身分証明書を発行してくれた。

ルッツに到着し、マダムDの亡骸をひと目見たグスタヴ。
遺族の集う部屋にはマダムDの資産管財人も務めるコバックスが
遺言書の山を見せていた。最新の遺言書として、グスタヴに名画
「少年とリンゴ」の絵を贈ることを読み上げたので、さあ大変。
息子のドミトリー(エイドリアン・ブロディ)は、激怒。親族は
「グスタヴとは誰だ」と騒ぐので、名乗り出た。

グスタヴはゼロの絵を見たいとの一言で、「少年とリンゴ」を奪う。
マダムDの執事のセルジュ・X(マチュー・アマルリック)は絵の
梱包を依頼されると、「機密」と書かれた封筒を紛れ込ませたが
急いで屋敷を後にするグスタヴとゼロは封筒に気づかない。

帰りの寝台車の中。グスタヴはゼロに「絵画を取り返される前に
闇市で売ってしまおう。売値の1.5%で協力してくれ」と申し出る。
ゼロが合意すると、契約内容をメモさせた。

翌日、ホテルに戻り絵画を金庫に隠していると従業員が呼びに来た。
警察が来ている。二人は何もしゃべらないことを申し合わせた。
ロビーではヘンケルスが待ち受けていた。グスタヴがやって来ると
マダムD殺害の逮捕状を読み上げ始める。マダムDを殺したのは実は
息子のドミトリーなのだが、グスタヴを殺人容疑で告発したのだ。
グスタヴはとっさに逃げ出した。

逃げるグスタヴ。追うヘンケル。絵画を取り返したいドミトリーは
用心棒のジョプリング(ウィレム・デフォー)を仕向ける。グスタヴは
ヘンケルに掴まってしまい、投獄された。同室の仲間(ハーヴェィ・
カイテル)が脱獄を計画し、菓子店で働くゼロの恋人(シアーシャ・
ローナン)からの工具入りお菓子の差し入れで脱獄成功するが…。

************

遺産を巡るすったもんだのストーリーは至ってシンプルなのに
様々な色付けがされ、どの角度から見ても楽しめる作品。
古き良き時代のヨーロッパにファシズムの影が落ちるという一見
暗いストーリーでもあるが、時代ごとに変わる色合いがポップに
仕上がっている。

ウェス・アンダーソン監督作品には独特の間がある。台詞と台詞の
間が普通の映画よりも少し空く、あの何とも言えない空気感。
細部まで緻密に作り込まれていて、ワンカットずつがそれぞれ
1枚の写真のように完璧で美しい。

よくぞここまで集めたと感心するほどの個性派豪華キャスト。
いつもは年齢不詳のティルダ・スウィントンを敢えて老婆にするとは
粋な配役だ。作家役のトム・ウィルキンソンから若き日の作家役の
ジュード・ロウにナレーションが移り変わるのが一瞬分からなかった。
声の質が似ているのだろうか。画面のサイズや色合いも年代毎に
異なり、時系列の変化がとても分かり易い。時代を変えても同じ
立ち位置があるなど、よく気を付けて見てみると監督のこだわりが
よく分かる。

洋菓子店メンデルスのお菓子も美味しそう。パッケージデザインは
デメルに似ているが、色はピンク。映画を見た後は何か美味しい
お菓子を買って帰りたくなる。
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2014年06月29日

『チョコレートドーナツ』

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Any Day Now
監督:トラヴィス・ファイン
出演:アラン・カミング、ギャレット・ディラハント
アイザック・レイヴァ
公式サイト:http://bitters.co.jp/choco

****あらすじ****

1979年、カリフォルニア。ゲイバーの口パクショーダンサーの
ルディ(アラン・カミング)を客席から熱い視線を送るいい男が
楽屋を訪ねてきた。車の中にいた2人は巡廻に来た警官に見つかり
挑発したルディが逮捕されそうになったが、地方検察局に勤務する
ポール(ギャレット・ディラハント)のお蔭でおとがめなし。
別れ際にルディに名刺を渡し、「電話して」

ルディがアパートに戻ると、隣の部屋からは大音量が。外に人形が
落ちている。ドアをノックし、人形が落ちていたことを伝え、子供が
いるなら音量を下げるように言うと、母親から余計なお世話と
罵られた。ルディが自分の部屋に戻ると、廊下が騒がしい。母親が
男と出掛けて行くところだった。

翌朝、大家が家賃を取りに来た。手元にあるお金を渡したルディに
「残りを明日払わなければ出て行ってもらう」ルディは隣の部屋の
大音量にクレームを言うが、取り合ってもらえない。廊下に出ると
ドアが空いていた。部屋に入ると、ボロボロのポロシャツを着た
ダウン症の少年(アイザック・レイヴァ)が独りうずくまっている。
ルディは自分の部屋に少年を連れて行くが、一言も喋らない。
「聞こえている?」と訊くと、頷いた。「名前は?」「マルコ」

ルディはポールの勤務先に電話するが、取り次いでもらえない。
直接検察局に押しかけ、大声でポールを呼び出す。ポールが出てきて
「母親が帰ってこないなら、家庭局に連絡しろ」と助言するだけ。

ルディがアパートに戻ると、隣の部屋に家庭局の役人が来ていた。
母親が薬物所持で逮捕されてため、マルコを連れて行った。

翌日、ルディの楽屋に謝りに来たポール。身の上話を始めた。
ワシントンで保険の販売をしていたが離婚し、法律家になるために
勉強して社会を変えたいと思っていたと。

ルディは自分のことを話したくなかったので、歌に乗せた。
10代で家を出て、今の仕事をしていると。歌声に魅了されたポールは
歌手として売り込むべきだと勧めるが、家賃の支払いに困っている
ルディにはデモテープを作る資金があるわけがない。

ルディを車で送る途中に、マルコが独りで歩いているのを見つけた。
家に帰りたい一心で、施設を抜け出して歩いてきたのだ。
ルディはマルコを連れてポールと共に部屋に戻った。

翌朝。ポールが帰った後、お腹を空かせたマルコは朝食にドーナツを
食べたいと言う。体に良くないからダメと言うルディ。チーズと
クラッカーと歌いだすと、マルコは初めてルディの前で笑った。

ポールの家に招かれたルディとマルコ。ポールお手製の夕食を
3人で食べるが、マルコは手を付けず、ドーナツが食べたいという。
マルコにポールは買い置きしていたチョコレートドーナツを出すと
マルコはニッコリ。美味しそうに頬張った。

ポールとルディはマルコの母親に面会に行き、母親が収監中は
マルコの後見人になりたいと伝えた。母親の了承を取り付けたが
裁判所にマルコが安全な環境にある事を説明するため、ポールの
自宅にルディが従弟として一緒に住むことを提案する。
マルコの住環境、教育プログラムなどを裁判所に説明するポール。

ポールとルディはマルコのために部屋を用意し、オモチャも揃えた。
「ここに住んでいいの?」嬉し泣き出すマルコをルディは優しく
抱きしめる。マルコを特別学校に入学させ、マルコ中心の生活が
始まった。

ポールがルディにオープン・リール・デッキをプレゼントした。
早速、バーのバンドに協力してもらい、デモテープを録音する。

ポールが上司から大きな事件を任せる事になったのだが、週末の
ホームパーティーにルディとマルコを連れて行くと、2人の関係を
察した上司がポールを解雇、マルコは家庭局の役員に連れ去られた。

マルコを連れ戻したいルディ。ポールにカミングアウトを促し
「あんたの力が必要だ、今こそ世界を変えてみせろ」
マルコを取り戻す2人の戦いが始まった。

************

まだ30数年前の実話を元にしている。一部の国や地域では
未だに同性愛を禁じているが、今は昔よりもかなり理解がある。
1970年台後半当時の世間の偏見は相当なものだったのだろう。
感動作と聞いていたが、私は涙よりも怒りが込み上げてきた。

マルコ役のアイザック・レイヴァの笑顔がとっても愛らしく
この笑顔のためになら頑張れると思わせる。ちょっと首を傾げた
憂いのある表情も何とも言えない。

ルディを演じるアラン・カミングがチャーミングで歌声も素晴らしい。
元々、どんな小さな役で出ていても主役を食う個性派俳優だったが
主役を張ると、向かうところ敵なし。眩いばかりに輝いて見えた。
身の上話を歌うシーンや、ステージで歌うボブ・ディランの
"I shall be released"は圧巻。いつまでも見ていたくなる。
あの口角が上がった笑顔を私も是非見習って真似してみたい。

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2014年05月15日

『ブルー・ジャスミン』

bluejasmin.jpg

Blue Jasmin
監督:ウディ・アレン
出演:ケイト・ブランシェット、アレック・ボールドウィン
サリー・ホーキンス、ボリー・カナヴェイル、ピーター・サースガード

公式サイト:http://blue-jasmine.jp

****あらすじ****

大学在学中に投資家の夫ハル(アレック・ボールドゥイン)と知り合い
退学して結婚し、NYのパークアベニューの豪華マンションで優雅な
暮らしをしていたジャスミン(ケイト・ブランシェット)。
パーティーとショッピングで贅沢三昧な日々を送っていたのだが。
夫が投資詐欺で投獄され、人生が転落。どん底に突き落とされた。
財産をすべて差し押さえられたため、セレブな生活が破綻した。

サンフランシスコに住む2人の息子がいるシングルマザーの妹
ジンジャー(サリー・ホーキンス)の安アパートに身を寄せることに。
破産してもなお、フライトはファーストクラス。一文無しなのに
ついてしまった贅沢癖は治らない。
機内では隣の乗客にひらすら自慢話を喋り続けるジャスミン。
精神安定剤とウォッカが欠かせない。

ジンジャー元夫オーギーはジャスミンに恨みを持っていた。以前
オーギーは宝くじで当てた20万ドルで会社を興そうと、相談に
乗ってもらうためNYのハルを訪ねたが、ハルの投資話に乗せられて
資金を失い、一生に一度のチャンスを潰された事を恨み続けていた。

ジンジャーは結婚を考えているチリ(ボビー・カナヴェィル)と同棲を
始める予定だったが、可愛そうな姉ジャスミンを放ってはおけない。
他には行く所がないのだから。精神を病んでいて、誰もいないのに
喋り続けるジャスミン。記憶と現実が交差していた。

生活のために、仕事をしなければいけないジャスミン。大学中退で
学位がないため職探しは難しい。得意分野のファッションなら仕事に
なる。インテリアコーディネーターの資格をオンラインで取るために
まずPC講座に通うことに。嫌々ながらも紹介された歯科受付の仕事を
始めたが、歯科医に言い寄られて仕事を辞めた。
ジャスミンの不安定な精神状態が、徐々に崩れていく。

PC講座の受講者に誘われて行ったパーティーで出会った、外交官の
ドワイト(ピーター・サースガード)。政界進出を考えるリッチな
ドワイトはまさにジャスミンの理想の男性。結婚すればまたセレブな
生活に戻れる。嘘をついてドワイトの気を引き、交際が始まった。
そして、念願のプロポーズ。

婚約指輪を買いに出かけたドワイトとジャスミン。偶然、アーギーが。
嘘をばらされた。ハーバード大を中退して家出した息子の所在も
知ることに。楽器店で働き、家族もいるという。

ハルが投資詐欺で捕まったのはハルの浮気を知らされてパニックに
陥ったジャスミンがFBIに通報したからだ。それを知った成績優秀な
息子は大学を逃げるように中退して家出し、所在を明かさなかった。
ハルは獄中で首吊り自殺。

息子の働く楽器店を訪ねると、二度と会いに来るな言われる始末。
息子にも嫌われていた。

絶望し、ジンジャーのアパートに帰ると。喧嘩別れしていたチリと
寄りをもどし、同居をすることになったという。
虚栄心の強いジャスミンは、もうすぐ結婚するので出て行くと告げ
シャワーをして濡れた髪のまま、公園へ。ベンチに座り、思い出の
一場面を振り返りながら、ひとり喋り続ける。ハルと出会った時の
思い出の曲「ブルームーン」を口ずさむ。

************

ケイト・ブランシェットの鬼気迫る名演が素晴らしい。
スレンダーなケイトが着こなす服やアクセサリーの数々を
見ているだけでも十ニ分に楽しめる作品だった。目が忙しく動く。
精神不安定な状態が徐々に強まり壊れて行くジャスミンを演じた
ケイト・ブランシェットのアカデミー賞主演女優賞受賞は納得できる。

セレブな生活と質素な暮らしとの対比。転落していくジャスミンの
人生はこの先どうなってしまうのだろう。そう思った瞬間に幕引き。
突き放されて終わってしまった。

ハッピーエンドであれば嬉しいが、いっそのこと悲しいけれど自ら
終わりにしてしまう方が楽なのだろうと思ってしまえるエンディング。

ウディ・アレンの首都シリーズの中では一番見ごたえがある作品だ。

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2014年04月18日

『あなたを抱きしめる日まで』

philomena (2).jpg

Philomena
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ジュディ・ディンチ、スティーヴ・クーガン、
ソフィ・ケネディ・クラーク、アンナ・マックスウェル・マーティン

公式サイト:http://www.mother-son.jp

****あらすじ****

イギリスに住む敬虔な主婦フィロミナ(ジュディ・ディンチ)は
50年間隠し続けていた秘密を娘のジェーン(アンナ・マックスウェル・
マーティン)に打ち明けた。

1952年、アイルランド。18歳で未婚のまま妊娠したフィロミナ
(ソフィ・ケネディ・クラーク)はロスクレア修道院に入れられる。
同じ境遇の少女達のうち、出産で母子共に命を落とす者もいたが
フィロミナは男の子アンソニーを生んだ。保護と引き換えに労働を
強いられわが子に会えるのは1日1時間だけ。

修道院は3歳になったアンソニーを無理やり養子に出してしまう。
以来、引き離された息子のことを忘れたことはない。

ジェーンは元BBCのジャーナリストのマーティン(スティーヴ・
クーガン)にフィロミナの息子探しの話を持ちかけた。落ち目の
ジャーナリストではあるが、モスクワやワシントンで政治問題を
扱っていた元エリート。三面記事を書くのには抵抗があったのだが
フィロミナに会って話を聞くうちに、興味が湧いてきた。社会派の
記事になりそうだ。再起をかけて、引き受けることにした。

アンソニーの行方を探すため、フィロミナとマーティンはロスクレア
修道院に行くのだが。書類は火事で焼失してしまったのこと。
ただし、「生んだ赤ん坊を放棄し、所在を探さない」という誓約書は
無事で、保管されていた。近くのパブの主人から聞いた話によると
ロスクレア修道院は金銭目当てで米国人に養子縁組をしていた。

フィロミナは息子を探すため、マーティンと一緒にワシントンへ。
息子の名はアンソニーからマイケルに改名され、共和党で大統領の
顧問弁護士になっていたが、時すでに遅し。出世していた息子に
会うことは出来ない。マーティンは既に亡くなっていた。死因は
エイズ。マーティンはゲイだった。

一旦、帰国を考えたフィロミナだが、マーティンを知る人達に会い
直接話を聞きたくなった。パートナーに会って話を聞こうとしたが
取り次いでもらえない。直接家を訪ねてみると、思わぬ事実が。
死期が近いマーティンも母を探しに、ロスクレア修道院を訪れて
いたのだ…。

************

実話をもとにした作品。2009年に英国で出版された、実在する
アイルランド人の主婦フィロミナの物語 「The Lost Child of
Philomena Lee」(マーティン・シックススミス著)を読んだ
コメディアンで俳優のスティーヴ・クーガンが脚本を書き
ジュディ・デンチ とスティーヴン・フリアーズ監督が賛同し
映画化にこぎつけた。

邦題を見る限りでは、最後は50年ぶりに息子と涙の再会を期待
してしまうが。思わぬ展開に目が離せなくなる。

ジュディ・ディンチの名演。エリザベス1世役や007のM役からは
ガラリと変わり、一般市民の気の良い愛らしい隣のオバちゃんに。
純愛小説が大好きで、カバンの中には常に飴やお菓子がたくさん。
世間ズレしていないフィロミナとエリートで皮肉屋のマーティン。
共通点が全くない対照的なふたりの掛け合いが面白い。
英国からアイルランド、そしてアメリカへの旅の話でもある。

アメリカに着き、これから息子を探そうという時に急に今の息子の
姿が不安になったフィロミナのくだりが面白い。
「もし息子が麻薬常用者だったら?戦死していたり、肥満だったら?」
「だって、(食事の量が多い)アメリカ育ちよ!」

偶然にも以前、マーティンがホワイトハウスで息子に会っていたと
知った時のフィロミナの表情が素晴らしい。
「何を話したの?」
「『こんにちは』」
「『こんにちは』ね♡」
「『やあ』だったかも」
「すごいわ♡」
コメディーなシーンなのだが、画面いっぱいに映るフィロミナの
嬉しそうな笑顔を見ると、ジーンとしてしまう。

再び修道院に戻ったフィロミナの言動は聖人さながらで驚かされる。
許すのは苦痛を伴うこと。それでも、許す。中々できないことだ。
気のいい隣のオバちゃんだと思っていたフィロミナよりも修道女の
方が俗物的な考え方を持っているように思えてえてしまう。酷い
仕打ちは全て、やっかみや嫉妬心のせいではないか、と。

カソリック教会を真っ向から非難する、社会派の作品にもできた。
息子を思い続けたフィロミナをテーマに、涙を誘う作品にもできた。
そこを、折り合わなさそうな対照的なコンビのコメディの効いた
ロードムービーに仕上げるあたり、コメディアンのスティーヴ・
クーガンの脚本とスティーヴン・フリアーズ監督の手腕のたまもの。

見終わって直後よりも、時間が経ってからの方が印象深くなる
作品だった。


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2014年02月12日

『鑑定士と顔のない依頼人』をもう一度

昨年末に見た、『鑑定士と顔のない依頼人』。見に行きたいという
友達がいたので、もう一度見に行ってきた。

一度見ているので、今回はセリフや表情などじっくり観察して
見ることが出来た。絵画や装飾などの美術品を含め、インテリアの
美しいこと。うっとり。1本の映画で美術館のハシゴをした気分に
なれる。

2回見ても、やはり分からないものは分からない。
結末はどちらのシーンなのか、グルの偽善者は誰までなのか。
真のクレアはどこまで知っていたのか。はたして、皆グルなのか。
「贋作と同じように偽りの愛もある」のか、「贋作の中にも真実が
ある」のか。きっと、何度見ても分からない。

長年かけて収集したお気に入りを全て奪われてしまったヴァージル。
唯一残されたのは、甘い想い出。老後の楽しみは想い出の回想。
そう考えると、ある意味ハッピーエンドだったのだろうか。
できれば、あの後の続きの話があって、最後はハッピーエンドに
なって欲しいと願ってしまう。

これほどまでに後を引く映画は、そうそうない。

There's always something authentic concealed in every forgery.

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2013年12月21日

『鑑定士と顔のない依頼人』

thebestoffer.jpg

La Migliore Offerta
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:ジェフリー・ラッシュ、ドナルド・サザーランド
ジム・スタージェス、シルヴィア・ホークス

公式サイト:http://kanteishi.gaga.ne.jp

****あらすじ****

ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、世界中の
オークションで活躍する一流オークショニア。早くに親を亡くし
結婚もせず、友人もいない。人間嫌いで、常に手袋をはめるほど
極度な潔癖症。馴染みのレストランには専用の食器がある。
そんな彼の楽しみは、自宅の隠し部屋の壁全面にびっしり飾られた
女性の肖像画鑑賞。自分が仕切るオークションで名画を贋作と偽り
パートナーのビリー(ドナルド・サザーランド)が名画を格安で
落札するように仕向け、自分のコレクションに加えていたのだ。
ビリーは画家をめざしていたがヴァージルに酷評され、画家の道を
諦めた過去がある。

世界中から鑑定依頼が来る忙しいヴァージルのもとに、ある電話が。
クレア・イベットソン(シルヴィア・ホークス)と名乗る女性から
1年前に亡くなった両親が遺した家具や絵画を鑑定してほしいと
いう依頼だった。指示された屋敷に向かったものの、クレアは姿を
見せない。雨の中、待たされた。ちょうど向かいにあるカフェ。
だが、潔癖症のヴァージルは知らない店には入れない。

後日再訪すると、使用人のフレッド(フィリップ・ジャクソン)が
現れるが、クレアの姿はない。好きなように鑑定していいと伝言を
受けたという。ヴァージルとは顔を合さない依頼人。なぜだろう。

やむなく1人で屋敷の中を見て回ったヴァージルは、地下室の床に
転がっていた何かの部品に気付き、密かに持ち帰る。気になる。
修理屋のロバート(ジム・スタージェス)に調査を依頼する。

鑑定が進んでもクレアは一向に姿を見せない。フレッドによると
クレアは27歳だが、奇妙な病気を患っており、11年の勤務中に
一度も会ったことがないとのこと。

謎の部品が、18世紀に作られた絡繰り人形の一部である可能性が。
クレアの邸宅には期待していたほど高価な物はないが、もし万が一
絡繰り人形だったとしたら、歴史的な発見になる。相当な高額だ。
何でも直せるロバートに復元を依頼し、気になっているクレアの
ことを、「ある友人が…」と自分のことを三人称で打ち明けた。
遊び人のロバートはヴァージルに恋愛の手ほどきをするのだが
ヴァージルは、そんなつもりはない。ただ、気になる。

数日後、広場恐怖症と呼ばれる病気で、15歳から外へ出ていないと
告白したクレア。同情したヴァージルは、壁越しのやり取りに同意。
屋敷のカギを渡され、自由な出入りを許された。クレアが屋敷の
隠し部屋で暮らしていることに気付いたヴァージルは帰る振りをし
影に隠れてクレアの姿を目てしまった。美しいその素顔に、一瞬で
恋に落ちてしまう。

再び覗き見をしたときに、クレアに気付かれた。ただ、誰か別人が
屋敷の中に入ってきたのだと勘違いしてパニックに陥っている。
ヴァージルは全てを打ち明け、遂にクレアとの対面を果たす。
人嫌いで、どこか似たところがあるふたり。互いに心を許してゆく。

ヴァージルが集めてくる絡繰り人形の部品も大分揃い、骨組みが
見えてきた。それと共に、ヴァージルとクレアの関係も少しずつ
深まっていく。ロバートに「人形とクレア、どちらを選ぶか」と
聞かれた時に、迷ってしまうほどクレアに御執心だ。

クレアのために服やドレスや化粧品をプレゼントし、徐々に外に
連れ出そうとするヴァージルだが、クレアは外出に強い拒絶反応を
示していた。

ところがある日、クレアは忽然と姿を消す。外の世界でクレアは
パニックに陥っていないか。無事だろうか。ロバートにも頼んで
必死に探すが、見つからない。秘書からの連絡で、慌てた。
その日はオークションの日だった。ヨレヨレの格好で、いつもの
キレなど全くないヴァージル。会場がざわめいた。出品された物と
読み上げている詳細が別物。大失態を犯してしまった。

他に隠し部屋があるはずとのロバートの一言で、もう一度屋敷内の
中を探したら。クレアは屋根裏部屋の片隅にいた。

クレアは徐々にヴァージルを受け入れ、ヴァージルはクレアに夢中。
今までの天涯孤独な暮らしから、愛のある幸せな日々が始まった…。

************

いやいや。びっくり。騙された。まさか、こんな結末だったとは。
後半のあらすじは明かせないが、アッと驚くニール・ジョーダンの
『モナリザ』を超える衝撃。鑑賞後は大いに映画談議を楽しめる。
ひとりで見に行くと、映画館の入口に引き返し、また見たくなる。

インテリ屋や衣装、ちょっとした小物など、うっとりするような
素敵な世界が広がっている。特に、ヴィラと呼ばれている屋敷の
門構え。アイアンワークが素晴らしい。

一度見ただけでは消化不良なので、もう一度見に行って頭の中を
整理してから、改めて感想を書きたい。
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2013年10月20日

『大統領の料理人』

les saveurs du palais.jpg

Les Saveurs du Palais
監督:クリスチャン・ヴァンサン
出演:カトリーヌ・フロ、ジャン・ドルメッソン
イポリット・ジラルド、アルチュール・デュポン

公式サイト:http://daitouryo-chef.gaga.ne.jp

****あらすじ****
オーストラリアのテレビ番組取材班が南極のフランス観測基地で
女性隊員がいるのを目にした。オルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)
のあだ名は「大統領」。以前、エリゼ宮で大統領の専属料理人を
していたという。オルタンスに興味を持った取材班は取材を試みるが
過去を語りたくないオルスタンスはなぜか取材班を煙に巻く。

自然豊かな田園風景が広がるフランスの片田舎ペリゴール。
地産地消のレストランを経営しながら外国人向けにフランス料理を
教え、叔父の世話をしているオルタンスのもとへフランス政府の
公用車が迎えに来た。行先は知らされていないが、着いた所は
エリゼ宮殿だった。ミッテラン大統領(ジャン・ドルメッソン)からの
直々の指名で、大統領の専属料理人に抜擢されたのだ。推薦人は
ジョエル・ロビュション。

官邸は独特の儀礼や規律で成り立っていた。厨房もしかり。
料理を美味しく作ることは二の次。数々の細かい約束事で縛られ
厨房スタッフやシェフは男性ばかり。代々、男達だけで築かれた
ヒエラルキーの中に、紅一点のオルタンス。しかも、大統領自らが
選んだ専属料理人。シェフ達は嫉妬からオルスタンスを敵視する。

オルタンスの仕事場は厨房ではなく、専用のプライベートキッチン。
助手はまだ若いニコラ(アルチュール・デュポン)だけ。
大統領の専属給仕人(イポリット・ジラルド)から聞かされたのは
当日厨房入りしてから2時間15分後には昼食を出さねばならない。
配膳する人数は当日知らされ、提示したメニューの許可が下りて
初めて料理に取り掛かれる。2人だけで切り盛りするのは大変だ。

シンプルで美味しくて、おばあちゃんの味を目指すオルタンスは
シェフたちの嫌味や妬みに構わず、美味しい料理を作る事だけに
力を注いだ。大統領の食事中の様子を給仕人に観察してもらい
大統領の好みの料理を探し出していく。最初は協力的だったのは
助手のニコラだけだったが、次第に仕人達もオルスタンスの腕前に
刺激され、オルスタンスのペースに巻き込まれる。

決まった業者からのみ食材を仕入れていたが、オルスタンスは自ら
食材を調達し、大統領の皿は残り物がなくなった。

ある日、オルスタンスは大統領の部屋に呼ばれ、美食家の大統領と
料理の話が尽きず、意気投合。ほんの10分のはずの会話が、秘書や
スタッフ達は時間が押しているのにヤキモキ。

大統領の個人的なパーティーのメニューを任され、すっかり食への
信頼関係を築いたオルスタンスだったが。ある日、秘書から経費を
削減するようにとのお達しが。大統領の健康上の理由から、料理にも
大幅な変更を求められた。今後、ソースは一切なし。そんな…。

逆境に追い込まれ、思い悩むオルスタンスのキッチンに大統領が
やって来た。乗り越えてこその逆境とエールを送る大統領だったが。
オルスタンスは疲れていた。

10年後。ニュージーランドにトリュフの農場を作る資金稼ぎのために
南極調査隊員の職に就いたオルスタンス。任期終了の日に同僚達が
送別会を開いた。

************

『バベットの晩餐』や『パリのレストラン』に続く、見て美味しい
フランス料理が次々と登場する、お腹が空く作品。美食家で知られる
ミッテラン大統領ご指名の料理人の作る料理はどれも美味しそう。
サーモンとキャベツのミルフィーユ、キノコのオムレツ、サントノレ。
作りながら口にするレシピを書き留め、作ってみたいと思わせる。

男社会の中で奮闘し、してやったり!という結末を期待したのだが
残念ながら結果的にはそうではなかった。会社や組織の中などで
孤軍奮闘している人達が見ると、大いに共感する作品だろう。
できれば、その続きの、ニュージーランドでの話を見たくなった。

恰幅のいいミッテラン大統領を演じたのは俳優ではなく小説家で
見ていて違和感があった。ミッテラン元大統領を演じられる役者は
中々いないのだろう。

個性的な女優が多いフランスにおいて、カトリーヌ・フロは
どこにでもいそうな普通の女性の役が上手い。そして、彼女が
出ている作品は大抵外れはない。

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2013年01月17日

『レ・ミゼラブル』

『レ・ミゼラブル』

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Les Miseràbles
監督:トム・フーパー
出演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ
アマンダ・セルフライド、エディ・レッドメイン、サマンサ・バークス
ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエン

公式サイト:http://www.lesmiserables-movie.jp

****あらすじ****
1815年。1本のパンを盗んだ罪で投獄されたが何度も脱獄を計り
19年間をトゥーロンの監獄の中で生きた囚人番号24601のジャン・
バルジャン(ヒュー・ジャックマン)。やっと仮釈放の身になった。
看守のジャベール(ラッセル・クロウ)から渡された身分証には
「危険人物」と書かれていた。一生ついて回る過去の罪。
仕事をするにも、宿に泊まるにも身分証を要求される。
もはや、まっとうな人生は送れない。仮釈中は指示された場所に
支持された日時に出頭しないと、また監獄行きだ。逃亡を図った。

ある晩、教会の脇にいたバルジャンを司教が招き入れた。
食事と寝床を与えられたバルジャン。だが、翌朝には教会の銀食器を
盗んで出て行ってしまう。窃盗容疑で捕まったバルジャンに司祭は
「すべて彼にあげたものだ」と彼を擁護する。しかも、銀の燭台を
「よきことにつかいなさい」と差し出した。司祭の優しさに触れ
心を入れ替え正しく生きようと決意するバルジャン。
身分証を自ら破り捨て、人生の再出発を図る。

4年後。過去を捨てたバルジャンは、マドレーヌと名前を変え、工場を
営み成功し、モントルイユ=シュール=メール市長に上り詰めた。
そこへ、ジャべール警部(ラッセル・クロウ)が赴任の挨拶に来た。
焦るマドレーヌことバルジャン。正体はバレていないが怪しまれた。
法の番人のジャベールはマドレーヌ市長がバルジャンだと確信した。
逃亡犯ジャン・バルジャンを逮捕すべく、策を練った。

マドレーヌ市長の工場ではフォンティーヌ(アン・ハサウェイ)という
女工が働いていた。娘のコゼット(イザベル・アレン)をテナルディエ
夫婦(サーシャ・バロン・コーエン&ヘレナ・ボナム=カーター)に
預けていたのだが、養育費をせびられ借金が膨らんでいた。
他の工員といざこざを起こし、解雇されられてしまう。

娘の養育費のために自慢の長い髪を売り、歯を売り、果てには
売春婦になり身を売るフォンティーヌ。ジャベールに逮捕されそうに
なるところをマドレーヌ市長に助けられる。フォンティーヌがかつて
自分の工場の工員で解雇されたと知り、責任を感じたバルジャンは
フォンティーヌの娘コゼットを引き取り、立派に育てると約束する。

ジャベールから、仮釈放の身で逃亡したバルジャンが見つかり
裁判にかけられると報告をうけたマドレーヌ市長ことバルジャン。
だまっていれば、逃げ切れるが。無実の罪で自分の犠牲になる者が。
出頭すれば雇っている工員たちは路頭に迷う。結局、裁判の場に
現れ、自らの正体を明かして告白するが。逃亡を図る。

1823年のクリスマス。テナルディエ夫婦にこき使われ、独りで森に
水汲みに行かされていたコゼットを見つけたバルジャン。
安宿を営み、法外な値段を客に突き付けていたテナルディエ夫婦は
何かにつけて金をせびり取る。テナルディエの言い値でコゼットを
引き取り、パリへ向かう。

1832年。テナルディエ夫婦はパリで安宿を営み、悪事を働いていた。
娘のエポニーヌ(サマンサ・バークス)は、お坊ちゃん風な宿泊客
マリウス(エディ・レッドメイン)に片思い。だが、素直になれない。
一方のマリウスは美しく成長したコゼット(アマンダ・セルフライド)を
一目見て恋に落ちた。コゼットもマリウスに心を奪われる。マリウスは
アンジョルラス(アーロン・トヴェイト)をリーダーとする結社の一員で
ラマルク将軍を崇拝する労働者や学生たちと決起し、暴動を起こそうと
計画していた。仲間を取るか、恋を取るか。悩む。
ラマルク将軍が亡くなり、葬儀の列に加わったマリウス達。
バリケードを築いて暴動を起こす時が来た。

ジャベールがバリケードに忍び込んだのだが、ガヴローシュに正体を
明かされ、捉えられた。
マリウスからコゼットへのラブレターを言伝されたバルジャン。
ついに恐れていた時が来た。逃亡生活を送りながら、正体を明かさず
大切に育ててきたコゼット。恋人ができ、結婚すればバルジャンの
役目は果たされる。まだ手放したくない。マリウスがどんな男か
見ようと、バリケード内に入るバルジャン。思わぬ所でジャベールと
再会した。立場は逆だ。ジャベールは殺されるのを覚悟したのだが
バルジャンは空砲を撃ち、ジャベールを逃がした。

バリケードが襲撃された。バルジャンは傷を負ったマリウスを助け
下水管を通って逃げた先にはジャベールが。ただ、ジャベールは
バルジャンを撃つことも捉える事も出来なかった。
法の番人で、正義を貫き、悪事には容赦ないジャベールだが。
惑いが生じた。悪人だと思っていたバルジャンに助けられた。
悪人というより、むしろ聖人だ。やりきれなくなったジャベールは
セーヌ川に身を投じる。

マリウスからコゼットへの求婚の許しを与え、身を引いたバルジャン。
最期の時が近づいていた。そこへ、結婚式を終えたマリウスと
コゼットが駆け付けた。ウエディングドレス姿を見たバルジャンの
横には、天使フォンティーヌがいた。

************

全編、出演者による生歌と聞き、大いに期待して見に行った。
帝国劇場やロンドンのパレスシアターで見た時の感動を再びと思い
期待し過ぎた。ミュージカルとミュージカル映画は似て非なり。
現場の臨場感や緊張感を楽しめるミュージカルの方が断然良かった。

ギャガの予告編の方がミュージカルに近く、本編よりも良かった。
カメラワークやカット割りを凝らせば、映画ならではの素晴らしい
作品になったろうに。マリウスが仲間の死を悔やみ悲しむシーンは
本当にいただけない。あれはワンテイクの長回しで撮った方がいい。
アップのカットが多すぎるのも気になった。オペラグラスがあれば
ミュージカルでもアップは見られる。

♪Do you hear the people sing, singing a song of angry man?♪

この曲が『レ・ミゼラブル』の重要なテーマだと思っていたのだが。
映画ではラブストーリが大きく前面に出ていた。
フォンティーヌの歌の後に民衆の歌が来るのに、来なかったのが
違和感があった。1985年ロンドン録音のCDを聴き込んでいるので
曲順が違うだけで変な感じがしてしまう。

ヒュー・ジャックマンは上手い。数年前のアカデミー賞授賞式の司会を
務めていた彼がミュージカル映画に出演したいのに依頼が来ないと
嘆いていたのを思い出す。本作は代表作になるだろう。
冒頭のシーンでは痩せこけていて分かるまでに時間がかかった。

アン・ハサウェイも上手かったが、フォンティーヌのイメージとは
やや違っていたような。声が細く高過ぎる。最後の天使役は
とても美しく、感動を呼ぶ。

私の心に最も響いたのは、ジャン・バルジャンが最期を迎える時に
現れた、彼を助けた司祭の歌。知らないうちに涙腺が緩んだ。

ジャべール役のラッセル・クロウが意外にも甘い声。私のイメージは
もっと低くて太い声なのだが。映画の中では解釈が変わった。
暴動を起こす若者を青二才と呼ぶジャヴェールこそ、世の中をあまり
よく分かっていない青二才に思えた。正義と現実を受け入れられず
あのような結果になったのだろう。

サーシャ・バロン・コーエンとヘレナ・ボナム=カーターと演じる
テナルディエ夫婦は良かった。ヘレナ・ボナム=カーターはどんなに
エキセントリックで下品な役を演じても、いやらしく見えないのは
持って生まれた気品のせいなのだろうか。強烈な個性を放っていた。
サーシャ・バロン・コーエンも力が入りすぎるミュージカル映画の中で
いい感じに力が抜けていて、悪人を愛すべき人物に好演していた。

マリウスの仲間で、一声でミュージカル出身と分かる役者がいた。
声の質が全く違う。彼がマリウスの役だったら、ミュージカル映画と
して楽しめたかもしれない。

ガブローシュ役の少年もよかった。ガブローシュの歌を聴いて
いると、舞台はロンドンの下町かと勘違いしそうだ。余談だが
1987年に帝国劇場で見た時は、山本耕史がガブローシュ役を演じて
いた。ガヴローシュ役の少年は今後有名になるだろう。
教会で民衆の歌がラテン語で歌われているシーンは良かった。

ミュージカル映画が好きな人なら楽しめる作品ではあった。
ただ、ミュージカルの『レ・ミゼラブル』が好きな人にはどうだろう。
新しい解釈と思うだろうか、やはりミュージカルの方がいいと思うか。
私は残念ながら、後者の方だった。

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2012年11月04日

『わたしたちの宣戦布告』

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La Guerre est Déclarée
監督:ヴァレリー・ドンゼッリ
出演:ヴァレリー・ドンゼッリ、ジェレミー・エルカイム
ブリジット・シィ、エレーナ・レーヴェンソン

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/sensenfukoku

****あらすじ****

出会った瞬間から恋に落ちたロメオ(ジェレミー・エルカイム)と
ジュリエット(ヴァレリー・ドンゼッリ)。やがて、息子アダムが誕生し
家族3人の幸せな生活が約束されていたかに見えた。ところが。

1歳8か月になっても歩かないアダムの様子が普通の子とは違うと
感じたロメオ。ジュリエットを説得し、病院での診察を受けると
精密検査が必要だという。パリ在住だったが、ジュリエットは仕事の
都合でアダムを連れてマルセイユに行くことになっていた。現地の
病院で精密検査をした結果、アダムはラブドイド腫瘍という難病に
侵されていることが発覚する。回復する可能性は10パーセント。

思いもよらぬ困難に打ちのめされるふたり。マルセイユでは家族の
助けが得られない。専門の名医がいるパリの公立病院でアダムの
手術を受けることに。

ロメオの母は同性のパートナーと暮らし、ジュリエットの両親は
裕福な家庭。それまで会うことすらなかった彼らもアダムのために
共に祈った。

手術は成功。ただし、腫瘍は悪性だった。抗がん剤治療などで
少なくとも5歳までは生きられるという。ロメオとジュリエットの
長い長い闘いが始まった。

お互いに励まし、助け合いながら、息子の病魔と闘うふたり。
無菌室で強い化学療法を行うアダムに付き添うため、アパートを
売り払って病院併設の介護者用宿泊施設に移り住み、仕事を辞め
友達とも会わず、孤立していくロメオとジュリエット。ふたりは
闘うことを止めなかった。

そして、5年後…。

************

実話に基づいた話と聞いたが、予告を見るとフィクションのよう。
ともすれば、闘病・看病ものの、重くて息苦しいお涙頂戴な作品に
なるところを、スピード感溢れる切れのいい映像とセリフ代わりの
ドンピシャリなBGM。ポップなラブストーリー作品に仕上げている。

余計なセリフが少なく、BGMが状況と心情をうまく表現している。
ビバルディの四季がこんなにも胸を熱くする音楽だったとは。

ヴァレリー・ドンゼッリは監督・脚本・主演・スタイリストを兼ね
この話の当事者。乗り越えた辛い過去を演技とはいえ、もう一度
経験するのは、かなりの覚悟が要っただろう。

私の夫がパリの公立病院にお世話になったことがある。新婚旅行中
夫の体調不良で、パリの公立病院に日帰り入院をする羽目になった。
私立病院に駆け付けたがベッドが満床のため、やむなく行った病院。
パリのリュクサンブール公園にほど近い高級住宅街にほど近いが
公立病院内は落書きされた壁は一部剥げ、とてもさびれていた。
陰湿な雰囲気が漂っていたのを今でも覚えている。
きれいで豪華で、まるでホテルのような私立病院とは雲泥の差。
こんな所に1日入院したら、治る病気も治らないと思ってしまう。
強い気持ちを持って戦闘態勢に入らないと看病は続けられない。

看病を続けながらも、息抜きをしてオンオフが出来ていたので
長い闘いを続けられたのだろう。夫の精神的支えも大きかったはず。
それなのに、最後は別れてしまうというのが、いまにもフランス人。
一見、遊び人風のロメオだが。芯が強く、頭がいい。憧れる。

最後のシーンのみフィルム撮影なので、映像がどのように違うのか
気を付けて見たが。空気感が全く違う。美しいスローモーションで
息を飲む映像の美しさ。別世界ではないかと錯覚してしまうほど。

見る人の立場によって感想は違うのだろうが、健康優良児ではない
子供の親の立場から見ると、共感度が大きい。見てよかった。

ヴァレリー・ドンゼッリは女優としては知っていた。
ヴァレリー・ドンゼッリ監督。覚えておこう。

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2012年06月16日

『ミッドナイト・イン・パリ』

midnightinparis.jpg

Midnight in Paris
監督:ウディ・アレン
出演:オーウェン・ウィルソン、マリオン・コティヤール
レイチェル・マクアダムス、キャシー・ベイツ
エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ

公式サイト:http://midnightinparis.jp

****あらすじ****

ハリウッドの売れっ子脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)。
脚本の仕事はお金にはなるが、マンネリな娯楽映画では満足感は
得られない。小説家に転身したいと、処女小説の執筆に悪戦苦闘中。
ノスタルジー・ショップで働く男が主人公の小説だが、まだ誰にも
見せたことがない。

婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)の父親の出張に便乗し
憧れの地、パリを訪れる。ああ、雨のパリも趣きがあっていい。
パリの全てが好きなギル。小説家になり、パリへの移住を夢見て
いるのだが。お嬢様育ちで現実主義者のイネズは、今の安定した
リッチな生活を譲らない。雨の中、濡れて歩くなんて、まっぴら。

パリ初日、イネズの男友達ポール(マイケル・シーン)とばったり。
ポールはガールフレンドとパリに来ていた。一緒にパリ観光を
することになったのだが。スノッブで何かと鼻につくポール。
ロダン美術館でも、ベルサイユ宮殿でも、ポールのうんちくが炸裂。
ソルボンヌ大学の客員教授のポールとギルでは、ギルに分が悪い。

せっかく憧れのパリに来ているのに。イネズと水入らず、かつての
文豪達や芸術家達が愛したパリを満喫しよう思っていたのに。
ポールと一緒では興が削がれる。ワインの試飲会に参加した後に
夜遊びの誘いを断り、ギルはひとり真夜中のパリを散歩するとに。

真夜中のパリを歩いていたギルは、ホテルへの帰りに迷ってしまう。
モンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ通りに迷い込でしまった。
午前0時の鐘が鳴り、旧式の黄色いプジョーがやって来た。
手招きされ、ギルは車に乗り込んだ。着いた先は、どこか古めかしい
社交クラブで開かれているパーティだった。

えっつ。まさか。そんな。本当に?ギルは夢をみているのだろうか。
スコット&ゼルダ・フィッツジェラルド夫妻に声をかけられた。
ピアノを弾いているのはコール・ポーターではないか。パーティーの
主催者はジャン・コクトーだという。ギルは憧れの1920年代の
パリに迷い込んだのだ。フィッツジェラルド夫妻と場所を移した
バールには、アーネスト・ヘミングウェイが。ギルは処女小説を
執筆中で是非読んで欲しいと頼むと、断られた。出来が悪ければ
酷評するが、よく書けていたら嫉妬するからだと。その代わりに
ガートルード・スタイン(キャシー・ベイツ)を紹介するという。
翌日、小説を持ってくるとヘミングウェイに約束した。

めくるめく夢のような世界。ところが。カフェを出た途端、辺りは
現代のパリ。狐につままれたようなギルだが。1920年代のパリへの
行き方を確信した。

パリ2日目。イネズとイネズの母親と一緒に、新居のインテリアを
探して回るのだが、気もそぞろなギル。アンティークショップで
コール・ポーターの古いレコードが。昨晩、生演奏を聴いた。
感慨にふけるギル。

2日目の晩も、ギルはイネズとは別行動。昨晩と同じ、あの場所へ。
午前0時に旧式の黄色いプジョーに、そそくさと乗り込むギル。
ヘミングウェイに連れられ、ガートルード・スタインのサロンを
訪れた。何と、小説に目を通してもらうことに。そこにはパブロ・
ピカソと彼の愛人アドリアナ(マリオン・コティヤール)が。
美しいアドリアナに一目ぼれのギル。アドリアなもギルの小説を
気に入ってくれた。互いに好意を抱く。

パリ3日目。セーヌ川沿いのブキニストで、古い本を買ったギル。
その本には、アドリアナが、ギルのことを好意的に書いていた。
ギルからイアリングをプレゼントされたとも。

アドリアナに贈るイアリングを買い、1920年代のパリの夜へ。
遊園地でのパーティーでアドリアナと再開したギル。真夜中のパリを
アドリアナと2人で散歩し、夢のようなひと時に浸る。ところが
セーヌ川に飛び込んで自殺を図ろうとしていたゼルダを助けた時に
婚約者がいることをうっかり喋ってしまったギル。口が滑った。
気まずい。アドリアナは去って行く。バールに独り残されたギル。
サルバドール・ダリ(エイドリアン・ブロディ)、ルイス・ブニュエル
マン・レイらと酒を酌み交わすことに。ギルはルイス・ブニュエルと
ダリに映画作りのアドバイスをする。「いつかきっと、こんな作品を
作るはずだよ」と。

夜な夜な、イネズとは別行動を取るギルを不振に思ったイネズの父。
探偵を雇い、ギルの素行調査を頼んだ。

4日目の晩も1920年代のパリに繰り出したギルは、がっかり。
アドリアナに惹かれていたのだが。ヘミングウェイとアフリカに
発ったという。ヘミングウェイには適わない。スタイン女史は
アドリアナにはアフリカは合わないので、すぐに戻るという。

探偵から、ギルが怪しい車に乗り込んだと聞いたイネズの父。
やはり。更に尾行を続けるように頼んだ。イネズの母は元々ギルを
よく思っていない。これは、もしや・・・。

そして、5日目の晩。アドリアナはパリに戻っていた。1890年代の
ベル・エポックに憧れるアドリアナと真夜中のパリを歩いていると。
そこに、クラッシックカーが。ギルは迷わず、アドリアナを誘って
車に乗り込んだ。そこは、1890年代のパリだった。ロートレックや
ゴーギャンと同じテーブルを囲み、興奮気味のアドリアナ。

「もう、私は1920年代のパリには戻らない」
アドリアナの決断は固かった。けれど、ギルはあることを悟った。
現代に不満を持つ誰もが昔の時代の方がいいと憧れるということを。
ベル・エポックの芸術家達は、ルネッサンス時代に憧れているはず。

翌日。ギルを尾行していた探偵は姿を消したと言う。イネズの父は
ギルの浮気を確信した。イネズもポールとの浮気をバラした。
これで、婚約は破談。イネズの母は、「やっぱりね」

前を見て、未来に向けて生きようと決めたギル。雨が降る昼間の
パリの街を歩いていると。コール・ポーターのレコードを扱う
アンティークショップの女性店員が。彼女もギルを覚えていた。
2人は雨の中、傘もささずにパリの街を歩いていった。

************

パリの名所や街角を切り取った、何気ないパリの一瞬を連ねた1日。
冒頭の数分で、ノックアウト。パリはなんてステキな街なのだろう。
「あそこ、行ったことある!」と思いながら見ていた人が多いはず。

オーウェン・ウィルソンはウディ・アレンそのもの。本人が中に
入っているのではないかと思うほど、話し方や仕草など、そっくり。
途中で、頭の中でウディ・アレンの声に変換している自分に気付く。
ウディ・アレンが若ければ、ギル役を自ら演じていたはずだ。

ロダン美術館でのガイド役は、サルコジ元大統領夫人のカーラ・
ブルーニ。ファーストレディーだった時に撮影していたはずだ。
カメオ出演で、白いシャツとジーンズのシンプルな井出達なのに
着飾った他の出演者の誰よりも雰囲気がよく、お洒落で美しい。
さすが元スーパーモデル。生まれながらの富裕層は身のこなしが
どこか違う。

いつの時代にいても、「昔は良かった」と思うもの。
ノスタルジーに浸るのもいいが、今を生きようというメッセージ。
ただ、2010年代に憧れる人が出てくるのだろうか。
「あの時代だけは戻りたくない」と思われない世界になりますように。

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2012年05月17日

『ル・アーヴルの靴みがき』

lehavre.jpg

Le Havre
監督:アキ・カウリスマキ
出演:アンドレ・ウィレム、カティ・オウティネン
ブロンダン・ミゲル、ジャン=ピエール・ダルッサン、ライカ

公式サイト:http://www.lehavre-film.com

****あらすじ****

北フランス、ノルマンディー地方の港町ル・アーヴル。
かつてパリで詩を書き、ボヘミアン生活を送っていたマルセル
(アンドレ・ウィレム)。今はル・アーブルで靴磨きをしている。
駅で客待ちをしても、旅行客の足元は、スニーカーばかり。
わずかな稼ぎだが、羊飼いと靴磨きは神聖な仕事だと誇りを持って
仕事をしている。

小さな家で愛する妻アルレッティ(カティ・オウティネン)と愛犬
ライカ(ライカ)と暮らしている。彼女は溝に落ちたマルセルを
助けてくれた縁で結婚した。日々の少ない稼ぎを貯めた貯金から
「食前酒を飲んで来たら」とお小遣いを渡す、誰が見ても出来た妻。
つましく貧しいが、飲み仲間もいて満ち足りた生活を送っていた。

ある日、港にアフリカからの不法移民が乗ったコンテナが見つかる。
船の行き先はロンドンだったが、なぜかル・アーヴルに着いた。
少年(ブロンダン・ミゲル)が警察の検挙をすり抜け、逃げた。

ある日、アルレッティが倒れて入院してしまう。検査の結果
余命わずかだと医師から宣告される。治療で奇跡を期待しようと
言われ、「近所では奇跡は起こってないわ」マルセルには隠し通す。
「あなたを見ると心が乱れるから、治療する間は会いに来ないで」

漁港近くで昼食を取ろうとしたマルセルは、水の中に隠れていた
少年を見つける。「ここは、北フランス。ロンドンは遠いよ」
モネ警視(ジャン=ピエール・ダルッサン)に密入国者を見たかと
訊ねられたが。「誰も見ていない」思わず、少年をかばった。

マルセルは少年が隠れていた場所に戻り、サンドイッチと水と
10ユーロを置きいて帰る。

翌朝、ライカの小屋に行くと少年が。10ユーロを返しに来たのだ。
言葉遣いも丁寧で、礼儀正しい少年。誰かに見られては本国に
送り返されてしまう。家の中に入れ、少年をかくまうことにした。
すぐに友人に見つかってしまうが、ご近所ぐるみで少年の身を
かくまう。今までは店の前を通りかかるとツケの請求をされたり
店のシャッターを閉められていたのに、急に差し入れが増えた。

少年の名前はイドリッサ。移民キャンプを訪ねたり、移民局に
面会に行ったりして、イドリッサの母親の住所を探し当てた。
ぜひ、母親の住むロンドンに送り出してやりたい。友人が漁船で
公海近くまでイドリッサを運んでくれることになった。そこから
大型の船に乗り換える。密航費用は3000ユーロ。コンサートを
開いて費用を工面しようと奔走するマルセル。

コンサートは大盛況。密航費用も溜まった。これでイドリッサを
母親の元へ向かわせてやれると思っていた矢先。モネ警視が家に。
「今日は非番だから、友人として忠告する。荷物は早く捨てろ」
その直後に移民局のガサ入れが。イドリッサはその前に逃げて
青果店のワゴンで港の近くまで来ることに成功した。

いよいよ船が出ようとするその時。またもや警察が。モネ警視は
密入国者の少年を捕まえようとするが。目が合ってしまった・・・。

************

移民問題を取り上げた作品ながら、重すぎず、軽やかな雰囲気の
作品。いい人ばかりの、いいお話。気分よく映画館を後にした。
世知辛い昨今、こんな映画を待っていた。

アキ・カウリスマキ監督独特のカメラワークとカット割り。
どこか素人っぽいような、寸劇を見ているような。間がいい。
台詞も少なく、目が物を言わせる演技。カフェのファサードも
ト書きを兼ねていて、よく注意して見ると面白い。

それにしても。カウリスマキ監督の作品は、汽笛がよく似合う。
ラストは日本へのオマージュを込めているのだろう。

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2011年10月23日

『ゴーストライター』

theghostwriter.jpg

『ゴーストライター』
The Ghost Writer
監督:ロマン・ポランスキー
出演:ユアン・マクレガー、ピアース・ブロスナン、キム・キャトラル
オリヴィア・ウィリアムズ、ティモシー・ハットン

公式サイト:http://ghost-writer.jp

****あらすじ****

有能なゴーストライター(ユアン・マクレガー)は英国の元首相
アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を依頼された。
実は、その2週間前にラングの側近で彼の自叙伝を執筆していた
前任者が泥酔してフェリーから転落して溺死したために、新たな
ゴーストライターが必要だった。事故死とも自殺とも言われている。
あまり乗り気がしない。代理人(ティモシー・ハットン)に説得され
面接に行てみると。ラングが滞在しているアメリカ東海岸の孤島に
滞在し、前任者の草稿をもとに1ヶ月以内に原稿を仕上げる条件で
報酬は破格の25万ドル。

仕事を請けることになり、出発はその晩。面接から自宅に戻る途中
強盗に遭い、受取ったばかりの草稿を奪われてしまう。嫌な予感。
きっと、後をつけられていたのだ。やはり、乗り気になれない。

ヒースロー空港でのフライト待ちの間に、ニュース速報が流れた。
ラングが首相時代にイスラム過激派のテロ容疑者を不法に拉致し
CIAに引渡して不当な拷問に加担した疑いがあるという。
大変なことになった。もし事実なら、ラングは戦争犯罪者扱いされ
裁判で裁かれるだろう。そんな人間のゴーストライターになるとは。
急いで代理人に連絡すると、自叙伝が売れるチャンスだという。
そんな。嫌な予感。

ラングが滞在する東海岸の孤島へはフェリーで向かう。前任者が
泥酔して転落したフェリーだった。ラングの海辺の別荘は厳重な
警備が敷かれていた。専属秘書のアメリア(キム・キャトラル)から
自叙伝の草稿は持ち出し禁止で、データコピーも厳禁と聞かされ
守秘契約書にサインを求められた。初めから書き直すということだ。

前任者が書いた草稿を目にしたが。家族の家系から始まる自叙伝は
退屈極まりない。読んでいる途中で眠ってしまった。ラング本人に
インタビューをしながら草稿の手直しが必要だ。

学生時代はプレイボーイで政治に無関心だったラング。なぜ急に
政治の道を目指したのか気になった。選挙の参加を求めて部屋を
訪ねてきたルース(オリヴィア・ウィリアムス)に一目惚れしてから
政治に関心を持ったのだという。後に妻となったルースはラングに
あれこれと助言をし、ラングもルースの助言を聞き入れていた。
気の強いルースはどう見ても、女好きのラングには合わないような。
なぜ2人は結婚したのだろう。

始めのうちは島内のホテルに泊まり、ラングの別荘に通っていたが。
ある晩、ホテルのバーでラングに恨みを持つ英国人と話した直後に
部屋を荒らされた。誰の仕業なのか。あの英国人が怪しい。
ラングに抗議するデモ集団から身を守るために、ホテルを出て
ラングの別荘で過ごすことに。依頼主の家には泊まらないことに
しているのだが。今回は致し方ない。

前任者が使っていた部屋を片付けていると。引き出しからラングの
学生時代の写真が出てきた。そこには劇団に参加していた若き日の
ラング。裏にはポール・エメットという名と電話番号らしき番号が
手書きで書かれていた。電話をしてみると。出たのはライカールト。
ラングの極秘情報を漏らした閣僚だ。気になる。

前任者の事故現場を確かめに行ってみると。近所に長く住む老人は
潮の流れの関係で、絶対に浜辺には死体は上がらないという。
しかも、事故の前夜に浜辺で懐中電灯の灯りを見たトなり人は警察に
事情を話したすぐ後に事故で昏睡状態に陥っているという。怪しい。

何か陰謀らしきものを感じた。前任者が使っていた車に乗り
カーナビの指示通りに車を走らせると。フェリーに乗り、島を出て
着いたのは、ポール・エメット(トム・ウィルキンソン)の邸宅だった。
ラングとは面識がないというエメットだが。部屋には、ラングと一緒に
撮った写真が飾られている。

帰ろうとすると、車が尾行してくる。ギリギリのタイミングで島への
フェリーに乗ると、追ってきた車もごり押しでフェリーに乗ってきた。
車をフェリーに置いたまま、慌ててフェリーから降り、危機一髪。
身の危険を感じた。フェリー乗り場近くのホテルにチェックインし
すぐにエメットのことを調べると。彼はCIAの国際人材担当だった。
ラインカールトに電話をした。迎えが来るまで待つようにと。

迎えの車に乗り込むと。ラインカールトがいた。実は、前任者は
ラインカールトの指示で、ラングの過去を探っていたのだった。
ラングと激しい口論をした直後に、真相は自叙伝の冒頭部分に
書いたとラインカールトに言い残し、翌日事故死した前任者。

冒頭部分は、ラング家のことと大学時代のこと。ラングの秘密など
書かれていなかった。まさか。ラングは大学時代にエメットからの
誘いで政治の道に入るべく労働党員になり、CIAの後ろ盾で首相に
なれたのか。

前任者と同じく、車だけをフェリーに残したゴーストライターを
心配したラング。ワシントンから帰る途中の自家用機で迎えに行くと
秘書アメリアから連絡があった。真相を知ってしまったので怖い。
同乗したくないが。断るのも怪しがられて、危険だ。

機内で真相究明をされたラングは激しく怒り出した。孤島に到着し
自家用機から降りる時に、銃殺されてしまった。犯人はイラク戦争で
息子を亡くしたというデモの中にいた英国人。ホテルのバーにいた
あの英国人だ。殺したのは彼だが。タイミングが良過ぎるような。
裏には、もっと大きな何かが存在しているはずだ。

ラングの自叙伝発売のパーティーにゴーストライターも招待された。
普通なら、ありえないことなのだが。アメリアの計らいだった。
「自叙伝の冒頭に何か秘密があるらしいの」というアメリア。
まさか。もう一度、前任者の草稿を読み返してみると。
最初の数ページの冒頭の文字を繋ぎ合わせると、大変な事実が
暴かれていた。

************

大好きなユアン・マクレガー主演の作品。打ち切り間際に見られて
よかった。ヒッチコックのサイコサスペンスを見ているような感じ。
衝撃的なシーンはほとんどないのだが、不安を掻き立てるような
BGMも相まって、どんどんと不安と疑心が増してくる。

ゴーストライターは名前がなく、パートナーも子供もなく、特に
政治にも興味はなく、始めのうちは前任者の死亡原因にもあまり
興味はなかったのだが。徐々に真相を掴もうと、のめり込んでいく。
見ている方も、次第にゴーストライターに感情移入していく。

心理的に怖い映画だったが。ちょっとしたところや台詞にシニカルな
ユーモアもあった。特に、知的なルースとの会話が面白い。

英国の諜報員007を演じていたピアース・ブロスナンがCIAとは
トニー・ブレアのそっくりさんを当てるよりも配役が粋だ。
ゴーストライターがロンドンからニューヨークへ向かう便は
Virgin Atlanticだった。確か、離陸前に機内で流れる案内の
アニメショーンVTRではユアン・マクレガーが若い客室乗務員の
声を担当していた。

最後の数分で、その先が分かってしまう瞬間があった。見ていた
誰もがきっと、「あっ!」と思った瞬間。絶妙な撮り方だ。上手い。
よく見てよく読んでいれば、前半で答えが分かっていたはず。
分かった後でも、もう一度、最初から見てみたくなる映画だった。

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2011年04月25日

『英国王のスピーチ』

thekingsspeach.jpg


『英国王のスピーチ』
The King’s speech
監督:トム・フーバー
出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ
ヘレナ・ボナム=カーター、ガイ・ピアース

公式サイト:http://kingsspeech.gaga.ne.jp

****あらすじ****

英国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)の次男、ジョージ6世
(コリン・ファース)は幼い頃から吃音というコンプレックスを抱え
人前に出ることが苦手な内気な性格で、自分に自信が持てない。
厳格な国王は、遊び人の長男のエドワード8世(ガイ・ピアース)より
ジョージ6世の方が国王にふさわしいと思っていた。様々な式典で
スピーチを命じるが、緊張すると益々酷くなるジョージ6世の吃音。
妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)に付き添われ、何人もの
言語聴覚士を訪ねて様々な治療法を試みるも、一向に改善しない。

ある日、エリザベスは言語聴覚専門のオーストラリア人ライオネル
(ジェフリー・ラッシュ)を訪ねる。診察はライオネルの診察所で
行なうという。患者が皇太子でも、同じこと。診察所では誰もが
平等だと主張し、ジョージ6世のことを家族だけが呼ぶ、嫌いな愛称
バーティーと呼び、禁煙を促す。

大音量の音楽が流れるヘッドホンをつけ、シェイクスピアを朗読し
レコードに録音するという奇妙な治療法。短気なジョージ6世には
今回も今まで同様に馬鹿げた治療に思え、足早に診療所を去った。
帰り際に、録音レコードを渡された。

ジョージ6世の吃音は相変わらず酷いものだった。毎年恒例の国王に
よるクリスマスのスピーチ。録音の後で、国王の前でスピーチ原稿を
読むように言われるのだが。またしても、大失敗。

レコードを聴きながら気分転換をしようとしたジョージ6世。
ふと、ライオネルから渡された朗読の録音レコードを聞いてみた。
驚くことに、ヘッドホンから流れる大音量のせいで聞こえなかった
自分の声は一度も詰まることなく、滑らかに朗読しているではないか。
エリザベスも驚きと喜びを隠せない。

再びライオネルの診療所を訪ねたジョージ6世。ライオネルの何とも
風変わりな治療法が始まった。まずは、体の筋肉をリラックス。

ジョージ6世の吃音は緊張からなるものだと感じたライオネル。
幼少時代に左利きやX脚を無理やり矯正され、乳母からの虐待や
厳しい国王の父などのトラウマが精神的ストレスとなり、吃音に
なったと見抜いた。国民から信頼される国王になる素質があるのに
自信だけが足りないジョージ6世の背中を押そうとするのだが。
ジョージ6世を怒らせてしまった。治療は、中止。

1936年、ジョージ5世が亡くなり、長男のエドワード8世が即位した。
離婚暦のあるアメリカ人のウォリス・シンプソン夫人と交際していた
エドワード8世。英国国教会の長でもある国王が離婚暦のある女性と
結婚など許されるはずがない。王位か恋かの選択を迫られた。
恋を選び、王位を捨てたエドワード8世。ということは、次の国王は
弟のジョージ6世。避けようとしていた事態が、本当にやってきた。

王位継承評議会のスピーチでも、大失敗。そこで、仲違いしていた
ライオネルの助けを再び借り、戴冠式のスピーチは成功に終わる。
しかし、これからが大変。時代は折りしも、ヒトラー率いるナチス
ドイツが台頭し、英国も参戦せざるを得ない状況。しかも、首相は
戴冠式の前に辞職してしまう。

ナチスドイツとの開戦直前。不安な情勢に揺れる国民は王の言葉を
待ち望んでいた。王は国民の団結心を高めるスピーチをしなければ。
9分にも及ぶ長いスピーチ。録音室には、ライオネルと二人だけ。
「私に話しかけるようにスピーチすればいい」というライオネル。
ジョージ6世の必死のスピーチは、果たして国民の心を掴むことが
できるのだろうか・・・。

************

続編というよりも、この続きが見たくなる映画だった。

ジョージ6世役のコリン・ファースも、ライオネル役のジェフリー・
ラッシュも、妻エリザベス役のヘレナ・ボナム=カーターも誰もが
いい演技。特に、ヘレナ・ボナム=カーターは佇まいもエリザベス
皇太后によく似ている。上流階級出身ならではの物腰だろう。

おそらく、男性には分からないかもしれないが。一見、地味目な
コリン・ファースには不思議な魅力がある。ものすごく好きでは
ないかもしれないが、かなり好きな俳優だと思う女性は多いはず。
映画を見終わると、とっても素敵な男性に見えてしまうのだ。
抑え気味の演技が何とも言えない。

映画館を出た時に、後ろから聞こえてきた言葉に同感。
「日本の首相も、あんな統率力のあるスピーチできないもんかねぇ」

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2010年12月02日

『ハリー・ポッターと死の秘宝Part1』

harrypotterandthedeathlyhallowspart1.jpg

『ハリー・ポッターと死の秘宝』
Harry Potter and the Deathly Hallows Part1
監督:デビッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン
ヘレナ・ボナム=カーター、レイフ・ファインズ、アラン・リックマン

公式サイト:http://harrypotter.warnerbros.co.jp/hp7a

****あらすじ****

ホグワーツ魔法学校の最終学年に進学を諦め、ヴォルデモート
(レイフ・ファインズ)を倒すべく分霊箱を探し出す旅に出ると
決心したハリー(ダニエル・ラドクリフ)。親友のロン(ルパート・
グリント)とハーマイオニー(エマ・ワトソン)もハリーと共に旅に出る
準備をしていた。

ハリーを倒すためには別の杖が必要だと考えたヴォルデモートは
マルフォイの父の杖を奪う。もう、杖同士が共鳴することは無い。

ロンの兄ビルとフラーの結婚式に出席するため、ハリーは不死鳥の
騎士団の手を借りてダーズリー家から脱出する。魔法界の成人年齢
17歳に達していないハリーを安全にロンの家に届けるべく、ロン
ハーマイオニー、フラー、フレッド、ジョージ、マンガンダスらを
ポリジュース薬でハリーに変身させ、ハリーが7人に。それぞれを
トンクス、キングスリー、ビル、アーサー、ルーピン、マッド・アイが
本物のハリーはハグリッドを護衛につけ、別々に隠れ家へ移動する
作戦を実行した。ところが、情報は筒抜けだった。出発した途端に
死喰い人に襲われる。ヘドウィグは殺され、ジョージは片耳を失い
マンダンガスはパニックになり逃走、マッド・アイは殺されてしまう。
ハリーはヴォルデモートに襲われるが、無意識のうちに杖が反応し
ヴォルデモートの攻撃から身を守ることが出来た。

ハリーはヴォルデモートの心をまた読んでいた。ヴォルデモートが
杖店主のオリバンダーを問い詰めている。杖を変えたのに、なぜ
ヴォルデモートはハリーを倒せなかったのかと。

スクリムジョール魔法省首相(ビル・ナイ)が直々にダンブルドアの
遺品を渡しに、ロンの家を訪れた。ロンには「灯消しライター」を
ハーマイオニーには魔法使いの童話の本を、ハリーには彼が最初の
試合で捕ったスニッチを渡した。グリフィンドールの剣も遺品として
ハリーに渡すことになっていたが、貴重な物なので渡せないと。
剣の所在も教えてもらえない。

ビルの結婚式で、ダンブルドアに弟と妹がいることを知ったハリー。
しかも、ダンブルドアの父は魔法使いでない人間を3人殺害した罪で
アズカバンに投獄されていたとは。ショックを受けるハリー。
披露宴の最中に、パトローナスが現れ、伝言を告げた。
「魔法省がヴォルデモートの手に落ちた、死喰い人が来る」

ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人はハリーがシリウスから受け
継いだグリモールド・プレイスの家に身を隠す。ここで、R.A.Bが
シリウスの弟レギュラス・ブラックだと判明した。だが、本物の
ロケットはアンブリッジ(イメルダ・スタウント)の手に渡っていた。
本物のロケットを取り返すべく、魔法省に忍び込む3人。ロケットの
奪取に成功したものの、死喰い人にグリモールド・プレイスのことが
バレてしまい、戻れない。テント生活をしながら分霊箱を捜す旅に。
ハーマイオニーがグリフィンドールの剣が分霊箱を破壊する数少ない
武器だと気付いた。

分霊箱のロケットに影響され、身に付けるとネガティブな気分になる。
3人交代で身に付けることにした。ハリーの無計画さに嫌気がさし
ハリーとハーマイオニーの仲を勘違いしたロン。ロケットを投げ捨て
2人の元を去ってしまう。

ハリーとハーマイオニーはゴドリックの谷へ向かった。ハリーの
両親が殺され、ダンブルドアもかつて住んでいた場所。両親の墓の
近くに、ハーマイオニーの童話の本に随所に描かれていた印と同じ
ものが彫られていた墓があった。何を意味する印なのだろう。

墓のそばで、ダンブルドアの友人バチルダ・バグショットがハリーを
手招きしていた。彼女の家には、青年の写真が。彼は誰なのだろう。
すると。バチルダから蛇のナギニが現れた。ナギニに襲われ、逃げる
途中でハーマイオニーの呪文が跳ね返り、ハリーの杖は2つに割れて
壊れてしまった。

2人が逃げた先は、クィディッチワールドカップの時に行った森。
ハリーは銀色の雌鹿のパトローナスを見つけ、ついて行くと。氷が
張った池の底にグリフィンドールの剣が。潜って剣を取ろうとするが。
身に付けたロケットがハリーの首を絞め、ハリーは気を失いかける。
そこへ、ロンが現れ、ハリーを助ける。ロンは劣等感から来る幻想に
苦しまれながらも、グリフィンドールの剣でロケットを破壊した。

童話の本と、ゴドリックの谷の墓に描かれていた印が気になる3人。
同デザインのペンダントをビルの結婚式で身に着けていたルーナの
父親を訪ねた。マークはハーマイオニーが受け取った童話の中の
『吟遊詩人ビードルの物語』にあった『三人兄弟の物語』に登場する
「死の秘宝」の探求者である印だと知った。

『三人兄弟の物語』とは、「死」から逃れた聡明な三人弟が「死」
から受け取った「死の秘宝」を巡る物語。長男は持ち主を殺した者が
新しい持ち主になる最も強力な杖「エルダーワンド」を受け取るが
杖を盗まれ、やがて死亡し、「死」の元へ。次男は死者を不完全だが
生き返らせる石「リザレクションストーン」を受け取り、亡き妻を
生き返らせたが妻は現世に合わず、次男は自殺して「死」の元へ。
三男は姿を永遠にくらますことのできる「透明マント」を受け取り
長い間「死」から姿を追われることなく人生を全うし、自らの意思で
「透明マント」を脱いで息子に譲り、喜んで「死」の元へ。

娘のルーナを人質に取られていたルーナの父は、ハリー達が家に
来たことを密告した。3人は逃げ切ったがハリーがヴォルデモートの
名を言ったことで探知され、マルフォイ家に連行されてしまう。

またしても、ハリーはヴォルデモートの心を読んでしまった。
ヴォルデモートがある男と問い詰めているが、男はひるまない。
「最強の杖は、既に埋葬されている」

ハリーはヴォルデモートの妻ベラトリックス(ヘレナ・ボナム=
カーター)に殺されかけるが、ドビーが助けに来て、危機を逃れた。
ドビーは捕まっていたルーナ、ディーン、オリバンダー、ゴブリンの
グリップフックも助け、ビルとフラーの住む海辺の家へ逃げるが。
ハリーとロン、ハーマイオニーを助ける際にベラトリクスが投げた
剣が刺さり、ドビーは殺されてしまう。

ホグワーツ魔法学校の敷地内にある湖のほとりにヴォルデモートが
やって来た。ダンブルドアが眠る墓を掘り起こし、杖を奪った。
ダンブルドアの杖は、三人兄弟の長男の「エルダーワンド」だった。

************

話が端折り過ぎで、原作とはかけ離れた感があった荒削りな前作
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』と同じ監督の作品なので
あまり期待せずに見たが。最終編は2部に別れているので、より
細かく描かれていて分かりやすかった。

『三人兄弟』の影絵のシーンが美しかった。今後の展開に欠かせない
重要な伏線をより強く印象付けることに成功した。

冒頭の、ハーマイオニーが両親の記憶を消すシーン。原作では
ハリーと共に旅に出る決心をする理由として、さらりと事後報告を
するだけだが、このシーンは切なくていい。

ハリー・ポッターシリーズが映画化される度に新しく登場する人物の
配役が気になるが、今回も上手く決まっている。
魔法省の首相スクリムジョール役のビル・ナイを見た時には、何か
可笑しなことを言ってくれそうな気がしてしまった。
ルーナの父役がリス・エヴァンスだと気付くまでは時間がかかった。
彼がもう少し若ければ、フレッドとジョージ役の一人二役がぴったり。

以前にも出演したアンブリッジ役のイメルダ・スタウントンの演技も
出演場面は少ないが、さすがに上手い。誰よりも際立ったのが
ベラトリクス役のヘレナ・ボナム=カーター。エキセントリックな
役柄が嵌り、強烈な印象を残した。

残念なのが、ロンの妹ジニー。落ち着きのある物静かな子ではなく
ウィットに富んでいて活発で明るい人気者の印象なのだが。
映画を見ただけでは、なぜハリーがジニーを好きなのか分かり難い。

Part2の公開は、来年の7月。あの淡く切ないシーンがモノクロで
描かれているだろうか。まだまだ先だが、今から楽しみだ。




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2010年06月07日

『アリス・イン・ワンダーランド』

aliceinwonderland.jpg

『アリス・イン・ワンダーランド』
Alice in Wonderland
監督:ディム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ミア・ワシコウスカ
ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイ
クリスピン・グローヴァー
声の出演:アラン・リックマン、スティーヴン・フライ

公式サイト:http://www.disney.co.jp/movies/alice

***あらすじ****

19世紀後半の英国。アリス・キングスレーは19歳。幼い頃に父を
亡くしていた。ある日のガーデンパティーで、チョッキを着た
白いウサギを見かけたアリス。パーティーの参加者全員の前で
好きでもない相手からの突然のプロポーズに困っていると。
チョッキを着た白いウサギが。ウサギを追いかけ、プロポーズの
場から逃げ出してしまった。

ウサギを追っている途中、アリスは誤ってウサギ穴に落ちてしまう。
ウサギ穴が繋がっていたのは、かつてアリスが6歳の時に迷い込み
アリスがワンダーランドと呼んでいた、アンダーランド。

ワンダーランドは夢の中の出来事だと思っていた。それなのに。
アンダーランドの不思議な生き物達はアリスが戻ってくるのを
心待ちにしていた。ただ、アリスは皆が待っていたアリスなのか
訝しげ。青虫のアブソレム(声・アラン・リックマン)によると
アリスは皆が待ち望んでいたアリスでは、ほとんどなさそうだ。
アンダーランドは今や赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)の
独裁下で暗黒の世界になっていた。

白の国の預言書の絵暦によると、アリスが敵を倒し、白の女王
(アン・ハサウェイ)が復権するのだとか。そんな事を言われても。
困惑するアリス。夢なら早く覚めて欲しいのに。腕をつねっても
何も変化が無い。それどころ、赤の国のトランプ部隊に襲われる。
アリスは腕に傷を負いながらも逃げ切ったが、白ウサギや双子の
トウィードルダムとトウィードルディーなどは捕らわれてしまう。

アリスが路頭に迷っていると。突然、チェシャ猫(声:スティーブン・
フライ)が急に現れた。アリスをハッター(ジョニー・デップ)の所に
連れて来た。かつて、白の女王のお抱え帽子職人だったハッター。
狂気を装い、生き延びていた。いつの日かアンダーランドの救世主
アリスが現れて敵を倒し、白の女王が復権するのを待ちわびていた。

ハッターはアリスを連れ、白の女王が住むの城に出掛けるが。
またもや、途中で赤のトランプ部隊が。アリスを助けるために
ハッターは捕らわれ、赤の女王が住む城に匿われてしまう。

ハッターを助けに、赤の女王の城に行こうとするアリス。
だが、決戦の日が近いからダメだと止められてしまう。
自分の夢の中の出来語のはずなのに、他人からあれこれ指示され
アリスには主導権が無い。そんなのは、おかしい。自分の意思で
動きたい。反対されながらも、アリスはハッターを助けるために
赤の女王の城に忍び込んだ。

頭部が異常に大きい赤の女王の取り巻きは、巨大な耳の持ち主や
鼻が大き過ぎる人や、お腹が以上に太い人など。体のある部分に
コンプレックスを持つ人がお気に入りの様子。実は、彼らは皆
赤の女王に取り入るため変装していたのだが、女王は気付かない。
アリスは大きくなるケーキを食べて巨大化し、赤の女王の目に
留まり、お気に入りのひとりとなった。アムと名取り、アリスだと
いうことは隠したまま。

赤の女王はスペードのナイト(クリスピン・クローヴァー)に夢中。
だが、彼はアリスに一目惚れ。アリスに言い寄る様子を見かけた
赤の女王の取り巻きが、女王に密告した。ついでに、アリスの
正体もバレてしまう。危機一髪。決戦の日も近づいてきた・・・。

************

アリスというよりも。途中から、ジャンヌ・ダルクを思わせる。
ストーリー展開はさておき、色使いなどの映像がきれいだった。
3Dは酔うかと思ったが。大丈夫だった。ただ、字幕まで飛び出して
見えるのは少々余計で邪魔に感じた。随所で韻を踏んでいる台詞は
どうのように訳にしていたのか日本語吹き替え版も気になったが。
やはり、声は本人が演じるに限ると思っている。

青虫アブソレムの声がアラン・リックマン、チェシャ猫の声は
スティーヴン・フライ。この2人のお陰で作品全体が大分締まった。
スペードのナイト役のクリスピン・クローヴァーを見るといつも
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマクフライ役がちらつく。
棒読みっぽい台詞の言い回しは彼の持ち味なのだろうか。
アリス役のミア・ワシコウスカの持つ、色を意識させない透明感。
新人ならではの存在感だ。

4頭身の息子を見慣れているせいか。ヘレナ・ボナム=カーターが
演じる赤の女王が愛らしくさえ見えた。なぜか、愛着が沸く役。
アン・ハサウェイ演じる白の女王の方が偽善者っぽく見える。
アン・ハサウェイはアメリカの正統派美人顔。小さな顔なのに
目も鼻も口も眉も、デフォルメされたように人一倍大きい。

ティム・バートン監督は赤の女王の方が気に入っているように
感じたのは、演じたのが監督の妻だったからだけではないだろう。
今回はティム・バートン監督作には珍しく、フリークスと呼ばれる
人達に優しくない作品だった。

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2008年07月20日

『ぼくの大切なともだち』

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『ぼくの大切なともだち』
Mon Meiller Ami
監督:パトリス・ルコント
出演:ダニエル・オートゥイユ、ダニー・ブーン、ジュリー・ガイエ

公式サイト:http://www.wisepolicy.com/mon_meilleur_ami

****あらすじ****

美術商のフランソワ(ダニエル・オートゥイユ)は、オークションで
紀元前5世紀の古代ギリシャの壷に魅了されてしまう。亡き友人を
想い、涙を溜めるために作られたという壷。フランソワの専門は
ギリシャ美術ではないのだが。手に入れたくて仕方がない。
当日は、お目当ての美術品を競り落とす予定だったにも関わらず。
共同経営者のカトリーヌ(ジュリー・ガイエ)の反対を押し切り
テレビ局のプロデューサーと競り合った末、20万ユーロで壷を落札。
プロデューサーに言い値で買いたいと持ちかけられても、頑として
断るフランソワ。壷はフランソワの自宅に送ってもらうことにした。
ただ、関税手続きで配送が遅れるとのこと。

オークションの前に、顧客の葬式に参列したフランソワ。その日の
夜に開かれた自分の誕生日パーティーに、遅れて駆けつけた。
親族を含めた参列者がわずか7名の寂しい葬儀だったと話すと。
パーティーの出席者が口を揃えて、フランソワの葬式には誰も
来ないと言うのだ。なぜなら、フランソワには友達がいないから。
誕生パーティーに出席したのは、仕事上の付き合いがあるからで
フランソワを友達だとは思っていないと言われる始末。ショックを
受けるフランソワ。

皆から親友がいないと断言され、反発するフランソワ。ついつい
カトリーヌの挑発に乗り、10日以内に親友を連れてくるという賭けに
応じてしまう。もし出来なければ、20万ユーロで落札したばかりの
古代ギリシャの壷を手放す事態に。でも、後には引けない。

早速、自分が親友だと思う人達のリストを作り、彼らを訪ねて回る
フランソワ。しかし。自己中心的な性格が災いして、結局誰からも
相手にされない。友達だと思っていたのは、自分だけだった。
仕事仲間としか思われず、幼少時代の同級生からは、「嫌いだった」
衝撃の事実を突きつけられる。途方に暮れるフランソワ。
離婚した妻が引き取り、大学進学のためにパリにやって来た娘にも
パパは相変わらず思いやりがなく、人と接するのが下手だと言われ
大ショック。自分が感じ悪いなどとは、今まで思ってもみなかった。

このままでは、古代ギリシャの壷がカトリーヌの手に渡ってしまう。

ふとしたきっかけで出会ったタクシー運転手のブリュノ(ダニー・
ブーン)。物知りなブリュノは、うんちく好き。けれど、誰とでも
気軽に話しができる。どうすれば友達が作れるのか、ブリュノに
教えを請うフランソワ。人と接する時に大切なのは、3つのこと。
感じ良く、いつも笑顔で、誠実に。
ブリュノと一緒にタクシーに乗り、感じのいい会話の手本を見習う
ことに。果たして、わずか10日間でフランソワは親友を作ることが
できるのだろうか。

ブリュノは子供の頃からクイズ番組に出演するのが夢だった。
新聞や雑誌を切り抜いて問題作りをし、細部に亘って記憶している
のだが。実は、極度の上がり症。面接ではいつも緊張してしまい
まともに答えることができない。生放送のテレビ番組向けではない
と判断され、いつも落とされる。

フランソワとカトリーヌの店は資金繰りに難航していた。銀行から
これ以上の融資はできないと言われ、窮地に陥る。フランソワは
自分の持ち株を処分して補填し、今後の経営はカトリーヌに任せる
ことで難を逃れた。

ブリュノとサッカー観戦をした帰りに、夕食に誘うと。断られた。
週末はいつも実家で夕食をするのだ。フランソワも一緒にどうかと
誘われた。浮き足立つフランソワ。両親との夕食に誘われたという
ことは。ブリュノこそ、フランソワの友達だ。そう、親友だ。
ブリュノを出迎えた両親に、「ぼくの友達」と言ってフランソワを
紹介してくれた。おお、嬉しい。つい、笑顔になるフランソワ。

カトリーヌに親友ができたと連絡したフランソワ。親友の定義とは
自らの命の危険を顧みずに助けることができる人だと言われ、その
証拠を見せて欲しいと言われてしまう。

ブリュノに、店の資金繰りに困っているので古代ギリシャの壷を
盗んで欲しいと頼んだフランソワ。フランソワのために、強盗に
入ることを承諾したブリュノは決しの思いで犯行に及ぶが。
ブリュノが本当にフランソワの親友かどうか試すための芝居だった。
フランソワを信用していたのに。傷ついたブリュノ。犯行のために
用意したハンマーで、古代ギリシャの壷を割ってしまった。

壷を割られて大ショックのフランソワ。実は、本物ではなかった。
カトリーヌが銀行の差し押さえを逃れるために作らせたレプリカ
だったのだ。そんなことは知るよしもないブリュノ。フランソワが
誤ろうとしても、避けられてしまう。

酷いことをしたと後悔するフランソワ。ブリュノへの償いのため
壷を手放すことにした。買値でテレビ局のプロデューサーに壷を
譲る代わりに、ブリュノをクイズ番組に出演させて欲しいと頼む。

「クイズ ミリオネア」の生放送に出演することになったブリュノ。
緊張でパニック状態に陥るものの、トントン拍子で最終問題に進む。
最後の1問を正解すれば、100万ユーロが手に入る。まだ、誰の
助けも借りていない。ライフラインを3つ残したまま。

最終問題は、美術の問題。答えに迷い、50/50やオーディエンスを
使うが。答えは似通っていた。司会者に、テレフォンを使うかと
訊かれたのだが。電話する友達がいない。あ、でも、ひとりいる。
しかも、美術に通じた人。フランソワ。彼なら答えを知っている。
ただ。仲違いしたままなので、電話をしにくい。どうしよう。
自宅でテレビを見ていたフランソワに、ブリュノからの電話が・・・。

************

サン=テクジュペリの「星の王子様」の一説が主題となった作品。
「君にとって、僕は沢山いるキツネの1匹。
でも、互いになじめば、大切な存在となる。
僕は君の、たった1人の人。僕は君の、たった1匹のキツネ」

友達はいいものだと実感すると同時に、真の友情とは何なのかと
真剣に考えさせられる。哲学好きなフランス人ならではの発想だ。
コメディ風のバディ映画。ハリウッド映画とは、ひねりが違う。

友情の捉え方は、人それぞれ。
近所に住んでいる友達、付き合いの長い友達、同じ趣味を持つ友達
美味しいものを食べに行く友達、旅行友達、愚痴を言い合える友達
共にライバルとして意識しあえる友達。
友達と親友の違いは何なのだろう。考えたことなど、なかった。

クイズ番組の場面では、自分も視聴者になったような気分で見た。
全問正解で100万ユーロとは、かなりの額だ。今の為替レートなら
日本のクイズ$ミリオネアに比べると、16〜17倍。すごい。

ダニエル・オートゥイユはかなり恰幅がよくなったのには驚いた。
ジェラール・ドパルデューが小さくなったのかと思ったほど。
ブリュノ役のダニー・ブーンは、表情の移り変わりが顕著。
ラストの場面での、余裕ある表情がいい。

日中は暑さのあまり、出かけにくくなった。気になっていた映画は
ほぼ全部見た。名古屋での映画鑑賞は、おそらく、この作品が最後。
締めに見る作品としては、とてもいい作品だったので満足だ。
次に映画館に足を運ぶのは、いつになるだろう・・・。
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2008年07月12日

『奇跡のシンフォニー』

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『奇跡のシンフォニー』
August Rush
監督:カーステン・シェリダン
出演:フレディ・ハイモア、ケリー・ラッセル
ジョナサン・リス=マイヤーズ、テレンス・ハワード
ロビン・ウィリアムズ、ウィリアム・サンドラー

公式サイト:http://kiseki-symphony.com

****あらすじ****

エヴァン・テイラー(フレディ・ハイモア)は両親を知らない。
1995年12月17日に生まれてから、NYの養護施設に預けられた。
生まれつき類い希な音感を持つエヴァン。風の音や麦の音など
耳にする全ての音をメロディとして感じる才能があった。
いつか、音楽を通じて、顔も名前もしらない知ら両親と出逢えると
信じていた。そのせいで、養護施設の年長者から変人扱いされ
いじめを受ける。

児童福祉局の職員リチャード(テレンス・ハワード)がエヴァンの
面接をすると。家族はいるから、どこの家にも行きたくないと言う。
生まれてから11年と16日。毎日毎日、両親と会えるまでの日を
数えていた。そんなエヴァンを気にかけたリチャード。エヴァンに
名刺を渡す。

11年前の春のこと。NYでの公演を終えたチェロ奏者のライラ
(ケリー・ラッセル)は、友達と夜遊びに繰り出した。クラブで
人酔いをしたライラは、ビルの屋上へ。ワシントン広場が目の前に。
1人たたずんでいると、ロックミュージシャンのルイス(ジョナサン・
リス・マイヤーズ)が声をかけた。ストリートミュージシャンが
奏でるギターを聴きならが、いい雰囲気に。二人は朝まで一緒に
過ごした。翌朝、「10時にワシントン広場の門の前で会おう」と
約束するのだが。ステージパパのライラの父は許すわけがない。

ライラとルイスは幾度となくワシントン広場の門の前でお互いを
待つのだが。いつも、タイミングが合わない。二人は再会すること
なく、日々が過ぎていった。ライラはルイスの子を妊娠した。父の
猛反対に逆らい、シングルマザーとして子供を生み育てる決意を
していたのだが。臨月に交通事故に遭い、死産したと知らせれた。
傷心のライラはチェロ奏者としての情熱を失ってしまった。
子供に音楽を教えるが、自ら舞台に出ることを拒んでいた。
NYフィルハーモニーとの共演の話が来ても、断るライラ。

ルイスも、たった一晩会っただけのライラを忘れることができず
バンド活動に身が入らない。バンド仲間の兄と衝突し、バンドを
脱退。地元サンフランシスコの金融業界で働くビジネスマンに
なっていた。

エヴァンが生まれてから、11年と16日が経った日の夜。
電線を伝う音に導かれ、エヴァンはマンハッタンにやってきた。
青果店の店主に頼み、リチャードに電話をしてもらうが。初めての
都会の音。全ての音が珍しい。音を追って、ワシントン広場に来た。
エヴァンと同じくらいの年頃の少年アーサー(レオン・トマス3世)が
ギターを手に歌っていた。初めて耳にするギターの音。泊まる所が
ないエヴァンは、アーサーに付いて行くと。古い劇場跡。何人もの
少年少女たちが寝泊りをしていた。元ストリートミュージシャンの
ウィザード(ロビン・ウィリアムズ)が元締めとして、少年達を
纏めていた。

まだ皆が寝静まっている頃。ギターを初めて手にし、叩くように
弦を弾き始めたエヴァン。ウィザードはエヴァンの音楽の才能を
見抜き、ストリートミュージシャンとして育てることに。
オーガスト・ラッシュという芸名をつけてもらったエヴァン。
路上でギターを弾くと、大勢の人垣ができた。いつか、どこかで
両親が聴いてくれるはずだと信じるエヴァンは、懸命に演奏する。

児童福祉局は、行方不明になったエヴァンを探していた。とうとう
エヴァン達が寝泊りする劇場にも、手入れが。逃げる際、絶対に
本名を名乗ってはいけないとウィザードから釘を刺されたエヴァン。
養護施設に連れ戻されたくないエヴァン。オーガスト・ラッシュと
名乗ることに決めた。職員に追われたエヴァンは大慌てで地下鉄に
乗り、何とか逃げ切ることができた。

ゴスペルの歌声に誘われて、教会に来たエヴァン。そこで出会った
聖歌隊の少女ホープに楽譜の読み方を教わった。思い付いた音楽を
楽譜に表したエヴァン。ピアノの弾き方を教わったこともないのに
教会のパイプオルガンも弾きこなしたエヴァン。彼が音楽の天才だ
と気付いた教会の牧師は、ジュリアード音楽院に推薦した。入学を
許されたエヴァンは、正式に音楽を学ぶことに。

その頃。死の床にある父に、死産ではなかったと知らされたライラ。
男の子が生まれたが、ライラに黙って養子に出していたのだ。
子供を捜すために、NYへやって来た。児童福祉局でリチャードを
説得し、協力を得たライラ。直感で、行方不明になっている少年
エヴァンが自分の息子だと分かった。自分の音楽がエヴァンに届く
ことを願い、NYフィルハーモニーとの共演を引き受けることに。

久しぶりに再会した昔のバンド仲間の家に遊びに行ったルイス。
ライラへの想いが断ち切れないでいることに気付いた。ライラの
居場所も探し出したが。ライラはいなかった。同居している友人の
ことと間違われ、新婚旅行中だと聞き、落胆したルイス。
サンフランシスコに帰る代わりに、NYへ。ライラへの想いを歌い
バンド活動を再開することにした。

ジュリアード音楽院で学ぶエヴァン。授業中に頭に浮かんだ音を
書いたエヴァンの曲が、NYフィルハーモニーの野外コンサートで
披露されることになった。指揮者として楽団と練習するエヴァン。
練習中に、ウィザードが現れた。本名をバラすと脅されたエヴァンは
仕方なくウィザードの元に戻ることに・・・。

************

あらゆる音を、素晴らしい音楽に変える才能のある少年の話。
それゆえ、音楽がよかった。クラシック、ロック、ゴスペル。
映画を見に行くと、いつも胎動があるが。この作品を見ていた間は
特に激しく動いていた。どうやら、チェロの音がお気に入りらしい。

冒頭場面は、『パフューム ある人殺しの物語』の冒頭を髣髴させる。
五感を元に、形ある物として表現することにおいては、似ている。

エヴァン役のフレディ・ハイモアの無垢な演技がいい。
普通の少年っぽい子役は、あまりいないような気がする。
ギターを弾いている時の表情が、楽しそうで生き生きしている。

物語は、ラストがあまりにも出来過ぎているのだが。音楽が新鮮で
良かったので、まあ、いいとしよう。
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2008年06月19日

『JUNO/ジュノ』

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『JUNO/ジュノ』
JUNO
監督:ジェイソン・ライトマン
出演:エレン・ペイジ、マイケル・セラ、ジェニファー・ガーナー
ジェイソン・ベイトマン、オリヴィア・サールビー、J・K・シモンズ
アリソン・ジャネイ

公式サイト:http://movies.foxjapan.com/juno

****あらすじ****

アメリカ中西部に住むジュノ(エレン・ペイジ)は16歳の高校生。
メイクや流行のファッションには全く興味がなく、1977年のパンク
ロックとB級ホラー映画が好きな、ちょっと変わった女の子。
バンド仲間だった同級生の友達ポーリー(マイケル・セラ)と
興味本位でセックスをしたのだが。初めての、たった1度の
セックスで、妊娠してしまった。
親友のリア(オリヴィア・サールビー)に早速、電話で報告。
ポーリーには妊娠したことを告げるが。両親には内緒で中絶を決意。
両親の同意がなくても中絶手術を受けられるクリニックに予約を
したものの。クリニックの前で中絶反対のデモをする同級生から
「胎児には爪もある」と聞き、ジュノの気持ちが揺らぐ。

結局、中絶を諦めることにした。でも、ジュノはまだ高校生。
自分で子供を育てることなど、できる訳がない。養子に出そう。
リアから、赤ちゃんが欲しいと広告を出している人がいると聞き
赤ちゃんを産んでから養子縁組に出すことにしたジュノ。
リアと共に、タウン誌を熟読しながら里親探しを始めた。

雑誌の広告に載っていた、ヴァネッサ(ジェニファー・ガーナー)と
マーク(ジェイソン・ベイトマン)。ジュノには、二人は完璧な
カップルに見えた。早速連絡を取り、養子縁組の手配をした。
両親に妊娠していることを告げ、出産後は養子に出すと話した。
ジュノの父親マック(J.K.シモンズ)も継母のブレン(アリソン・
ジャネイ)も、協力的。娘から2人に告白することがあると聞き
ドラッグや交通事故を起こしたのかと心配していたのだが。
まさか、妊娠とは。受け入れるしかない。

養子縁組の契約を交わすため、父親と共にヴァネッサとマークの
家を訪ねたジュノ。郊外にある高級住宅地に住み、高そうな家具に
囲まれた暮らし。5年間も不妊治療を受けたが、不運にも子供には
恵まれなかったヴァネッサ。どうしても子供が欲しかった。
マークも父親になる心意気がある。裕福な暮らしぶりの彼らになら
生まれてくる子供を安心して託せると確信したジュノ。
弁護士には、養子に出した子供の成長過程は知らせて欲しくないと
断った。

マークの部屋で、ギブソンのギターを見つけたジュノ。音楽好きと
いうことで、意気投合したマークとジュノ。

健診の後に、ヴァネッサに超音波検査の写真を見せようと、車を
走らせて彼らの家に行くと。マークがいた。自宅でCMの作曲を
しているマーク。ジュノと同じく、ホラー映画のファンだった。
2人で映画を見たり、音楽を聴いたり。楽しい時間を過ごすのだが。
継母ブレンからは、結婚している男性と2人だけで会うべきでは
ないと説教される。ジュノは、そんなつもりではないのに。

日に日にお腹が大きくなり、学校でも皆から大きなお腹をジーッと
見られてしまう。でも、ポーリーだけは違う。ジュノと話す時は
お腹ではなく、ちゃんと顔を見てくれる。ただの友達だと思って
いたけれど、やっぱり好きかも。

いつものように、ヴァネッサの家を訪ねたジュノ。マークから
「ヴァネッサと離婚する。君も願っていたことだろ」と言われ
ショックを受けるジュノ。マークとヴァネッサは、ジュノにとって
理想のカップルだったのに。永遠の愛とは何だろうと自問自答
するジュノ。父親マックは、「親の、子に対する愛は永遠だ」と
勇気付けられる。

臨月を向かえ、いよいよ出産の時期が迫ったジュノ。ポーリーに
自分の気持ちを正直に告白した。ジュノにずっと想いを寄せていた
ポーリーは喜ぶ。妊娠から始まった恋だけれど。ちょっと変わった
ジュノとポーリーには、そんな始まりもアリかもしれない。

陣痛を感じ、大騒ぎで家族と共に病院へ向かうジュノ。
無事に生まれた赤ちゃんは、男の子だった。そして、新生児室の
前には・・・。

************

10代の高校生の、望まない妊娠。話題としては、タブーなのだが。
ウィットが効いた台詞で、明るく生き生きと描かれていた。
J.K.シモンズが演じたジュノの父親のキャラクターが良かった。
養子縁組の契約に同行した際の、初対面の里親希望者への挨拶は
"Thank you for inviting me and my irresponsible daughter."
(=私と、無責任な娘をお招きいただき、ありがとうございます)
真面目な顔で、ひょうひょうとしたことを言うこの父親にして
ジュノの性格あり。ジュノの母親がなぜ離婚してしまったのか
何となく分かるような気もする。

両親と友達の理解あるサポートを得られたのは、一風変わっている
ものの、しっかり者で芯が強いジュノだからこそ。妊娠を機会に
家族の深い愛情や友情などの強い絆を感じる、心温まる作品だ。

ブロガー出身のディアブロ・コディが、初めて手がけた脚本。
言葉遣いが、今風。アカデミー賞脚本賞を受賞したのは納得が行く。
主人公ジュノと親友リアの話す英語が分からなかった。
何と言っているのか聞き取れるのだが。意味がさっぱり分からない。
今時の高校生が使う言葉が大人には理解できないのは、世界共通の
ことらしい。

ジュノ役を演じたエレン・ペイジ。しぐさや雰囲気は子供っぽいが
等身大の高校生の揺れる気持ちと、大人顔負けの強い一面を見事に
演じ分けていた。今後の活躍が楽しみな女優だ。

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2008年06月18日

『ラスベガスをぶっつぶせ』

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『ラスベガスをぶっつぶせ』
21
監督:ロバート・ルケティック
出演:ジム・スタージェス、ケイト・ボスワース
ケヴィン・スペイシー、ローレンス・フィッシュバーン
アーロン・ヨー、ライザ・ラピラ、ジェイコブ・ピッツ

公式サイト:http://www.sonypictures.jp/movies/21

****あらすじ****

ベン・キャンベル(ジム・スタージェス)は、MIT(マサチューセッツ
工科大学)に通う21歳の優秀な学生。親友2人とロボットコンテスト
2.09大会での優勝を目指している。夜は親友とバーで飲むが。常に
男3人でつるんでいる。体育会系サークルに入っている学生と違い
いわゆる、数学オタク系の学生だ。学内でも人気の美人学生ジル
(ケイト・ボスワース)を遠巻きに見るが。とても、近づけない。

そんなジムの夢は、医者になること。MIT卒業を前に、念願の
ハーバード大学医学部に合格した。ただ。大きな問題がひとつ。
学費と生活費に30万ドルが必要だ。父を亡くし、母子家庭のジム。
30万ドルは、ジムには手が届かない巨額な金額だ。母親にはとても
頼れない。奨学生の試験を受けたジム。成績はトップレベルで
文句の付けようがない。教授からの推薦もあるのだが。面接では
「皆、君のように優秀な学生ばかり。私を驚嘆させるような経験を
した学生でないと、奨学金は出せない」と言われた。
今まで、勉強しかしてこなかったジム。平凡な人生のどこにも人を
驚嘆させる経験などしたことがない。
紳士服店J.Pressでバイトをしているジム。最近、店長に認められ
アシスタントマネージャーに昇進したが。時給は、たったの8ドル。
ハーバード医学部への学費の貯金には、到底追いつかない。

ある日、ミッキー・ローザ教授(ケヴィン・スペイシー)がジムの
天才的な数学の才能と、感情に流されない冷静な性格に目を留めた。
ローザ教授は優秀な学生を集め、ある秘密の研究をしていた。
それは、ブラックジャックで勝つ方法、カード・カウンティング。
研究グループの学生フィッシャー(ジェイコブ・ピッツ)に無理矢理
研究室へ連れてこられたジム。メンバーは、フィーッシャーの他に
キアナ(ライザ・ラピラ)、チョイ(アーロン・ヨー)、そしてジルも。
チームを組んで勝負をするという。初めは断ったジムだったが。
憧れのジルが、ジムのバイト先まで誘いに来た。

学費のためと割り切り、研究チームに入ったジム。徹底的にカード・
カウンティングの知識を叩き込まれる。数字を文字に置き換える
暗号や、ジェスチャーでの合図等々も頭に叩き込んだ。天才的に
数学の才能があるジムは、すぐに習得した。
チャイナタウンの地下カジノで最終試験を受けることになったジム。
決まった合図で席に着き、トレーニングで得た勘と暗号を駆使して
見事、大成功。

週末を利用し、ラスベガスに乗り込んだチーム。高級ホテルの
スイートルームを拠点に、それぞれの役割でカジノに潜入した。
キアナとジル、チョイは見張り役、フィッシャーとジムが大金を
掛けてブラックジャックをすることに。次々と大金を稼ぎ出す。
最初の晩の稼ぎの山分けは、1人5000ドル。稼いだ金は、寮の
天井裏に隠すことに。

母親の元を訪れたジム。母から、ハーバード大学医学部への学費に
充てるようにと、6800ドルの小切手を渡された。母が長年働いて
少しずつ貯めたもの。ジムには、受け取ることはできなかった。
「奨学金制度に受かったから、学費の心配はない」と嘘をついた。
カジノで稼げは、学費が貯まる。30万ドル貯まったら、辞めよう。

チームでラスベガスへ何度も足を運び、ブラックジャックで得た
大金で贅沢な暮らしを謳歌する、研究チームの仲間達。
ボストンに戻ると、地味な学生に。そんな二重生活を送ることに
なったジム。憧れのジルとも親密な関係になった。
ただ。研究チームのことは、絶対に極秘。誰にも話せない。
次第と、オタク仲間との距離が広がってしまう。ロボット研究より
リッチで派手なラスベガスでの暮らしに楽しみを覚えてしまった。

ブラックジャックで得た金額が、31万5000ドルに達したジム。
もう、ハーバード大学医学部の学費と生活費は貯まったのだが。
辞められない。高級スーツを着こなして、ラスベガスに乗り込む
ジム。ホテルでは、スイートルームの常客として覚えられていた。

勝ち続ける研究チームに、カジノのルール違反者を取り締まる
コール(ローレンス・フィッシュバーン)が目を付けた。コール
自身も、昔はカード・カウンティングをして稼いでいた。
チームの手口を見抜き、カジノから追放しようと画策する。

ジムの才能と稼ぎと運の良さに嫉妬したフィッシャー。ある晩
カジノで乱闘騒ぎになった。実はこの時、コールがジムを追っていた
のだが。チームの仲間は、コールの存在に気が付かない。
ローザ教授から、チームを外されたフィッシャー。ジムがチームの
稼ぎ頭になった。

またまたラスベガスへ乗り込んだチーム。ただ。どうも、ツキが
回ってこない。引き上げるようにという仲間の合図を無視し、賭け
続けたジム。20万ドルを失ってしまった。ローザ教授は大激怒。
チームの解散を言い渡す。ジムに、今まで貯まった分から損失分
全額を返済するように言い残し、ホテルの部屋を出て行ってしまう。

残されたジム、ジル、キアナ、チョイ。困った。ジムは、教授が
いなくても、自分達だけで賭けを続けようと提案する。渋っていた
仲間達も、ジムとチームを組み、賭けをすることに。

調子よく勝ち続けていたが。コールがジムを見つけてしまった。
何やら様子が変だと察したキアナ。ジルと一緒に逃げるが。
ジムはコールやカジノ取締りに捕まえられてしまった。
拷問を受け、二度とラスベガスに足を踏み入れるなと言われる。

ボストンに戻ったジム。寮には、単位不足で卒業ができないとの
通達文が届けられていた。ローザ教授が、根回しをしてくれた
はずなのに。部屋に入ると、中は荒らされていた。天井裏に隠した
31万5000ドルも、ない。ローザ教授の仕業だと察したジム。
教授のクラスで、弟子の論理を盗んだ師匠の話をしてみるが。
「師匠を裏切った弟子が悪い。謝罪すれば許す場合もある」と。

パーティーに参加していた教授の元へ、謝罪に訪れたジム。
もう一度だけ、カジノでブラックジャックをしたいと持ちかける。
ただ。フィッシャーがいなくなった今、もう1人プレイヤーが
必要だ。いつも投資だけしている教授をゲームに誘うことに。
一度だけということで了承したローザ教授。再び、ラスベガスに
乗り込んだ・・・。

************

10年ほど前に、 『ラスベガスをやっつけろ』という作品があった。
邦題が似ていたので、続編かと思ったが。違った。

テンポよく描かれていて、あっという間。ラストは驚きの展開に。
ハリウッド映画ならではのハッピー・エンディングとは少し違った
終わり方だが。面白かった。

細かいエピソードが伏線になっていて、よくできた脚本だと思う。
この作品のキーワードとなる、"Dazzling experience" 。
Dazzling は「輝かしく、まばゆいほどの」といった意味合いだが。
字幕では、「驚嘆させる」と訳されていた。字数制限のせいで
言葉の持つ雰囲気が十分に伝わらないのが残念だが、仕方ない。
ラスベガスでの派手な暮らしは、まさに Dazzling experience だ。
Dazzling の意味が理解できれば、ラストを予想できるだろう。

実話に基づく話だと知り、驚いた。
ブラックジャックは、カードの合計点が21点を超えることなく
できるだけ高い点数を得ることを競う。つまり、21点が出れば勝ち。
一見簡単そうに思えるが。一度嵌ってしまうと、恐ろしいことに
なりそうなゲームだ。
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