
『輝ける女たち』
Le Héros de la famille
監督:ティエリー・クリファ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、ミュウ=ミュウ
ジェラルディン・ぺラス、ジェラール・ランヴァン、ミヒャエル・コーエン
クロード・ブラッスール
公式サイト:http://www.kagayakeru-movie.com
****あらすじ****
ニース。キャバレー「青いオウム」を経営するガブリエル(クロード・
ブラッスール)はアルジェリア出身のユダヤ人。かつては有名な
マジシャンだった。店では女装姿でリップシンキングのショーをする
人気のディーヴァ。しかし。店の財務状況は破綻寸前だった。
叔父ガブリエルを父のように慕うニッキー(ジェラール・ランヴァン)は
15歳の時に彼に弟子入りした。一時は彼らのマジックショーが
テレビの人気番組だった。今では、かつての勢いはないが。
「青いオウム」でマジックを披露している。
ある晩、ガブリエルが海に身を投げて自殺した。葬儀で久しぶりに
顔を合わせたガブリエルの家族。そっけない。ぎこちない。
ガブリエルの遺言の内容は、誰もが期待していないものだった。
ニッキーには男性用の衣装、後妻のシモーヌ(ミュウ=ミュウ)には
女性用の衣装一式。それ以外の物は全て、彼の子供であるニノ
(ミヒャエル・コーエン)とマリアンヌ(ジェラルディン・ぺラス)に
託された。一同、「そんな…困る」ニノもマリアンヌも、パリでの
仕事や生活がある。
自分が店を任されるものだと思っていたニッキー。ガブリエルに
裏切られたような気分だ。以来、ニッキーはガブリエルの亡霊と
対話するように。
実は、ニノもマリアンヌも、ガブリエルの本当の子供ではない。
彼らの父親はニッキー。ニノはニッキーと先妻アリス(カトリーヌ・
ドヌーヴ)との息子、マリアンヌは後妻ニッキーとシモーヌの娘。
シモーヌは、ガブリエルとニッキーのマジックの助手だった。
ニッキーとシモーヌは幼馴染み。一緒にアルジェリアからニースへ
やって来た。ニッキーとアリスは以前、夫婦だった。ガブリエルは
ニッキーを愛していた。彼らの家族関係は非常に複雑なのだ。
ニノは会計士。大学生のボーイフレンドがいる。父親ニッキーに
似ないように努力してきた。父の人気番組も見たことがなかった。
マリアンヌは雑誌の編集長。夫とは別居中だが。養子が欲しい。
その訳は、彼女の両親。子供は欲しいが、血筋を断ちたいのだ。
相続税を払うため、相続したキャバレーと邸宅を売却しようと
決めた兄妹だが。「青いオウム」に関わっていくうちに、様々な
過去のわだかまりが少しずつ解けていく。
そして。アリスの人知れぬ過去が明らかに。キャバレーの
宣伝担当だったというが。実は…。
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この作品で、何度も出てくる台詞がある。
「サメは眠っている間も泳ぎ続けないと、死んでしまう」
秘密を抱えていても、わだかまりがあっても、思いを秘めていても。
言いたいことが言えなくても。人は常に前を向いて生きなければ。
いつか、誤解が解けるかもしれない。
豪華スターが勢ぞろいな上に、人間関係が非常に複雑だ。
頭の中に相関図を描きながら見ないと、途中で訳が分からなくなる。
波が低いニースの海に入って自殺とは。あまり、ありえない話だが。
それは、さて置き。南仏好きな人にとって、ロケーションが魅力的。
一瞬映っただけで、すぐにオッ!と気がつく場所が満載だ。
ガブリエルの豪邸や墓は、ニースの旧市街や港を臨むフェラ岬に。
カトリーヌ・ドヌーヴ演じるアリスが滞在したのはニース屈指の
超高級ホテル、ネグレスコ。エマニュエル・ベアールが演じたレアは
ヴィル・フランシュのホテル・ウェルカムに滞在していた。
傷心のニッキーが訪れたのは、モナコの水族館。
最後にガブリエルが現れる場所は、天使の湾。
予告編を見て、ヴァレリー・ルメルシエが演じたキャバレーの
振り付け師が気になった。彼女も絡んで来るのかと思っていたが。
意外と出番が少なく、残念だった。いやいや、だが、しかし。
実際は、相関図に関係してくる人物なのかもしれない。