2007年12月27日

『その名にちなんで』

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『その名にちなんで』
The Namesake
監督:ミーラー・ナーイル
出演:カル・ペン、イルファン・カーン、タブー
ジャシンダ・バレット、ズレイカ・ロビンソン

公式サイト:http://movies.foxjapan.com/sononani-chinande

****あらすじ****

1974年。アショケ・ガングリー(イルファン・カーン)はインドの
コルカタに住む学生。遠方に住む祖父を訪ね、列車で旅に出た。
列車内で、ニコライ・ゴーゴリの「外套」を読んでいるアショケに
向かいの座席に座る老人が話しかけてきた。若い頃に2年間英国に
いたという老人。「若いうちに海外に出て世界で経験を積むべきだ」
と勧める。「本を読めば、居ながらにして世界中へ旅ができる」
祖父の教えを信じていたアショケ。その直後、列車が転覆した。
大惨事の中。怪我を負ったものの、奇跡的に助かったアショケ。
握り締めていたゴーゴリの著書の数ページが目印となったのだ。
怪我の治療中、列車内で会った老人の言葉が気にかかる。

3年後の1977年。アメリカの大学で高額を学んでいたアショケは
故郷のコルカタで親の勧める相手と見合いをする。相手のアシマ
(タブー)は美しく、英語と料理と歌が得意。アシマはアショケが
履いてきた米国製の革靴が気に入った。「文化も違うNYで独りでも
大丈夫か?」というアショケの父の質問に、「でも、独りじゃなくて
二人でしょう」と答えたアシマに、アショケは恋をした。
インド式の盛大な結婚式を挙げ、二人はアメリカへと旅立った。

冬の寒いNYでの暮らし。インドとは何もかもが違う日々。最初は
戸惑い、寂しい思いをしていたアシマだが。次第に慣れてきた。
やがて。男の子が生まれた。産院側は退院前に出生証明書が必要
なので、早く名前を決めるようにと言われた。名前は祖母が付けて
くれることになっていたが。手紙が届くのは、1週間後。産院は
それまで待ってくれない。インドでは、正式な名前が決まるまで
愛称で呼ぶ習慣があった。二人は息子に、ゴーゴリという名前を
つける。小学校に上がる頃に、正式な名前に変えればいい。

子供をインドで育てたいアシマ。頼る人のいない異国での子育ては
不安でたまらない。しかし。アメリカで育つ方が子供の将来の
ためになると信じる夫の考えに従った。

ゴーゴリに妹ができた。娘のソニアが誕生し、一家は郊外にある
一軒家に移り住んだ。ゴーゴリが小学校に上がる前に、正式な
名前を、ニキルに決めたが。本人はニキルよりもゴーゴリがいいと。
アショケは息子の主張を受け入れ、名前を変えずにいた。

高校生になった頃には。ゴーゴリ(カル・ペン)は自分の名前を
嫌っていた。クラスメイトからも名前のことでからかわれる。
よりによって、奇人変人のロシア人作家と同じ名前とは。自分の
名前に不満爆発。ゴーゴリは、父が好きな作家の名前だから命名
したのだと思っていた。名づけた理由をまだ話していないアショケ。

高校卒業後の夏休みに、インドへ帰省したガングリー一家。
タージ・ハマルを訪れ、あまりの美しさに息を呑んだ。ゴーゴリは
イエール大学に進学が決まっていたゴーゴリは、建築を専攻する
ことに決めた。大学進学を機に、名前をニキルに変更した。これで
愛称はニッキーになる。アメリカ人っぽい。

数年後。建築家として働くニキルことゴーゴリ。アメリカ人の恋人
マキシーン(ジャシンダ・バレット)の両親にも家族同然に受け入れ
られ、実家へは寄り付かない。図書館で働くようになったアシマは
アメリカ人を産んでしまったのかと嘆く。故郷を離れ、実家に帰り
たくても帰れなかったアシマ。今度は、待てども息子が帰らない。

オハイオ大学で教えることになったアショケ。アシマは、今度は
付いていかない。単身赴任することになったアショケ。アシマは
すっかり家に寄り付かなくなった息子を呼び寄せた。
恋人と一緒に実家に帰ったゴーゴリ。4人で食卓を囲んだ後に。
忘れ物をしたと買い物に出るアショケは、ゴーゴリを誘った。
車を道端に寄せたアショケは、ゴーゴリの名前の由来となった
列車事故の話を初めて打ち明けた。ゴーゴリとは、奇跡を起こして
くれた名前。命が助かった奇跡。命を授かった奇跡。
ゴーゴリという名前の重みが初めて分かった。

胃の調子が悪いと病院からアシマに電話をしたアショケ。帰宅後に
また連絡すると言ったまま。音信が途絶えた。心配するアシマ。
病院に電話し、何度もたらい回しにされたうえに。信じられない
知らせが。アショケが心臓発作を起こし、亡くなったというのだ。

恋人の家族の別荘で過ごしていたゴーゴリの元に、訃報が。
ゴーゴリの実家での、インド式葬儀に参列したマキシーン。
頭を剃り、白い衣装に身を包んだゴーゴリ。気分転換に旅行に誘う
マキシーンを理解できず、突き放す。やはり、自分はインド人。
アメリカ人の感覚ではないと悟るゴーゴリ。
1ヶ月の休暇を取ったゴーゴリ。インドへ赴き、ガンジス川で父の
遺灰を撒き、しばらく実家で過ごすことに。

マキシーンと別れたと知ったアシマは、ゴーゴリに見合いの話を
持ちかける。以前、会ったことがある相手。嫌味なことを言われ
すっかり話す気が失せた記憶が蘇る。見合い話に気が進まない
ゴーゴリだったが。実際に会ってみると、美人な才女になっていた。
ベンガル人同士。NYのホテルで、インド式の結婚式を行った。
幸せに見えたゴーゴリの結婚生活。ところが。

妻が友人達に、ゴーゴリからニキルに改名したと話すのを見て
ゴーゴリは激怒する。個人的なことを気安く話されたくない。
亡き父の、運命を背負った名前。ベンガル人同士だからといえ。
解り合えないこともある。

アシマは家を売り、コルカタに帰ることにした。
インド人仲間との送別会の日に。ゴーゴリは部屋の隅に置かれた
箱の中から、1冊の本を見つけた。ニコライ・ゴーゴリの本。
父アショケからの高校卒業祝いの本だった。中にはメッセージが。

************

名前を巡る物語と、遠く故郷を想い焦がれる物語。いい映画だった。
運命は名前によって左右されるかもしれない。ゴーゴリの場合は
運命が名前を決めた。小学生の息子が、ゴーゴリのままでいいと
言ったのを聞いた時の、嬉しそうな父親の顔。ゴーゴリを見る度
奇跡の生還以降のすべての日々を思い出すという。

アシュケ役のイルファン・カーンの、たたずまい。落ち着いていて
何か悟った人のような。アシマを見つめる眼差しが優しい。

アシマ役のタブー。故郷に帰りたくて、帰りたくて。
便利な国に住みながら、不便でも家族や親戚が多いインドへの
強い望郷が、遠くを見るような目で表現されていた。

インドでは赤やオレンジなどの明るい色に囲まれていた。
極寒の雪景色のNYは、白黒映画のよう。アシマの気分が色で
表現されていた。インドでは、白は悲しい色のようだ。
服装や小物などの色使いがそれぞれに意味を持つ。

アショケの靴。お見合いに履いてきた米国製のウィングチップの
革靴を履き、にっこりするアシマ。急死した父のアパートに
置かれていた父の靴を履いてみる息子のゴーゴリ。靴を履いて
何を確かめたのだろう。履いてみないと、分からない。

日本では、子供が生まれる前から子供の名前を考える。
両親や祖父母の名前から1文字貰って、付けた名前。
大活躍したスポーツ選手や偉人から取って、付けた名前。
姓名判断や画数占いで良い字画を選び考え抜いて、付けた名前。
海外に出ても発音しやすいように、付けた名前。

フランスでは、生まれた日の聖人から取った名前を付ける親も。
6月生まれの私の友人の母親は、カレンダーに並んだ文字を見て
ひらめいた。7月から11月までの頭文字を取って付けたそうな。

私の場合は、子供の頃から自分の名前が気に入っている。
難しい読み方の旧姓は地名で、キリスト教の救世主にも似た発音。
ひらがなの名前はその、旧国名。祖父はひらがなの私の名前を
漢字で書いていた。もはや、氏名ではなく、漢文のよう。
苗字や名前のせいで、からかわれたこともあったが。珍しい苗字で
得をしたことの方が多かった。




posted by zooom at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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