
La Guerre est Déclarée
監督:ヴァレリー・ドンゼッリ
出演:ヴァレリー・ドンゼッリ、ジェレミー・エルカイム
ブリジット・シィ、エレーナ・レーヴェンソン
公式サイト:
http://www.uplink.co.jp/sensenfukoku****あらすじ****
出会った瞬間から恋に落ちたロメオ(ジェレミー・エルカイム)と
ジュリエット(ヴァレリー・ドンゼッリ)。やがて、息子アダムが誕生し
家族3人の幸せな生活が約束されていたかに見えた。ところが。
1歳8か月になっても歩かないアダムの様子が普通の子とは違うと
感じたロメオ。ジュリエットを説得し、病院での診察を受けると
精密検査が必要だという。パリ在住だったが、ジュリエットは仕事の
都合でアダムを連れてマルセイユに行くことになっていた。現地の
病院で精密検査をした結果、アダムはラブドイド腫瘍という難病に
侵されていることが発覚する。回復する可能性は10パーセント。
思いもよらぬ困難に打ちのめされるふたり。マルセイユでは家族の
助けが得られない。専門の名医がいるパリの公立病院でアダムの
手術を受けることに。
ロメオの母は同性のパートナーと暮らし、ジュリエットの両親は
裕福な家庭。それまで会うことすらなかった彼らもアダムのために
共に祈った。
手術は成功。ただし、腫瘍は悪性だった。抗がん剤治療などで
少なくとも5歳までは生きられるという。ロメオとジュリエットの
長い長い闘いが始まった。
お互いに励まし、助け合いながら、息子の病魔と闘うふたり。
無菌室で強い化学療法を行うアダムに付き添うため、アパートを
売り払って病院併設の介護者用宿泊施設に移り住み、仕事を辞め
友達とも会わず、孤立していくロメオとジュリエット。ふたりは
闘うことを止めなかった。
そして、5年後…。
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実話に基づいた話と聞いたが、予告を見るとフィクションのよう。
ともすれば、闘病・看病ものの、重くて息苦しいお涙頂戴な作品に
なるところを、スピード感溢れる切れのいい映像とセリフ代わりの
ドンピシャリなBGM。ポップなラブストーリー作品に仕上げている。
余計なセリフが少なく、BGMが状況と心情をうまく表現している。
ビバルディの四季がこんなにも胸を熱くする音楽だったとは。
ヴァレリー・ドンゼッリは監督・脚本・主演・スタイリストを兼ね
この話の当事者。乗り越えた辛い過去を演技とはいえ、もう一度
経験するのは、かなりの覚悟が要っただろう。
私の夫がパリの公立病院にお世話になったことがある。新婚旅行中
夫の体調不良で、パリの公立病院に日帰り入院をする羽目になった。
私立病院に駆け付けたがベッドが満床のため、やむなく行った病院。
パリのリュクサンブール公園にほど近い高級住宅街にほど近いが
公立病院内は落書きされた壁は一部剥げ、とてもさびれていた。
陰湿な雰囲気が漂っていたのを今でも覚えている。
きれいで豪華で、まるでホテルのような私立病院とは雲泥の差。
こんな所に1日入院したら、治る病気も治らないと思ってしまう。
強い気持ちを持って戦闘態勢に入らないと看病は続けられない。
看病を続けながらも、息抜きをしてオンオフが出来ていたので
長い闘いを続けられたのだろう。夫の精神的支えも大きかったはず。
それなのに、最後は別れてしまうというのが、いまにもフランス人。
一見、遊び人風のロメオだが。芯が強く、頭がいい。憧れる。
最後のシーンのみフィルム撮影なので、映像がどのように違うのか
気を付けて見たが。空気感が全く違う。美しいスローモーションで
息を飲む映像の美しさ。別世界ではないかと錯覚してしまうほど。
見る人の立場によって感想は違うのだろうが、健康優良児ではない
子供の親の立場から見ると、共感度が大きい。見てよかった。
ヴァレリー・ドンゼッリは女優としては知っていた。
ヴァレリー・ドンゼッリ監督。覚えておこう。