『最強のふたり』

Intouchables
監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
出演:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、アンヌ・ル・ニ
オドレイ・フルーロ
公式サイト:
http://saikyo-2.gaga.ne.jp****あらすじ****
最愛の妻を病で亡くした上に、パラグライダーの事故で首から下が
麻痺した大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)。彼の新しい
介護人募集の面接に現れたのは、いささか場違いな雰囲気の青年
ドリス(オマール・シー)。受かるつもりなど、はなからない。
スラム街に暮らすドリスの目的は不採用の証明書なのだ。面接で
3回不採用になると、失業保険がもらえる。面接のついでに、美人
秘書のマガリー(オドレイ・フルーロ)の電話番号をもらえたら
ラッキー♪
受かる気など全くない、ふてぶてしい態度のドリスに興味を持った
フィリップは思いつきでドリスを採用してしまう。他人の同情に
うんざりしていたのだ。ドリスなら、違うかもしれない。ただ。
ドリスは介護の経験など全く無い。ちゃんと務まるだろうか。
実は、ドリスは窃盗罪で半年服役し、自宅に帰って来たばかり。
シングルマザーの母(といっても実は継母)から家を追い出された
翌日に、思いもよらずに採用された。
フィリップが住むパリの豪邸に住み込みで世話をすることになった。
ドリスにあてがわれた部屋は、キングサイズのふかふかのベッド
トイレと独立した、広々としたバスルーム。まるで、夢の世界。
今までの他の介護人達のように、ドリスも長く持たないだろうと
思われたのだが。障害者のフィリップに何の遠慮もなく、普通の
人と同じように、本音で接するドリスが気に入った。服装や好きな
音楽、趣味などどれもが全く正反対な二人だが、次第にお互いを
受け入れるようになった。フィリップに笑顔が増えた。
二人が外出する時は、介護用のミニバンではなく、スポーツカー。
パラグライダーをしたり、パリの夜の街を疾走して警察を騙したり。
毎日が楽しい。フィリップの趣味の絵画を見に行って触発された
ドリスが絵を描いた。なんと、1万1000ユーロで売れた。
フィリップには文通相手がいた。詩的なやり取りを楽しむだけの
文通相手に、電話をしようとけしかけるドリス。最初は戸惑った
フィリップだが、電話をするのが楽しくて仕方ない。ドリスのお陰だ。
文通相手がパリに来るという。写真を送って欲しいとリクエスト。
車椅子の生活を隠さないフィリップの写真を送ろうとするドリス。
フィリップは直前で昔の元気な頃の写真に差し替えてしまった。
結局、パリでは待ち合わせの時間に文通相手は現れなかった。
ある日、ドリスの弟アダマが訪ねてきた。悪い仲間と付き合って
いるのは知っていたが。何かやらかした。ドリスには世話をする
兄弟がいると知ったフィリップ。いつまでも介護人をしてもらう
訳にはいかない。
フィリップとの生活で得た知識が役立ったドリス。職に就けた。
一方のフィリップはというと。新しい介護人はどれも退屈。ああ
ドリスとの刺激的な毎日が懐かしい。
とうとう我慢できなくなり、ドリスを呼び出した。スポーツカーで
夜通し走って着いたのは、海辺のホテル。そう、あの文通相手の
住む町。予約した海辺のレストランのランチで、フィリップを残し
席を立つドリス。何とも心憎いサプライズ。不安を隠せない表情の
フィリップの前に表れたのは、あの文通相手の女性だった。
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バリアフリーとは、このことなのだと思わせる作品。
見終わった後も、まだまだずっと、この先の話を見てみたいと思う。
実話に基づいて作られたと聞くと驚く。最後のシーンで、実際の
フィリップと介護人のアブデル(映画での役名はドリス)が登場する。
お互いに刺激を受けて外の世界を知ることの喜び。人生、もっと
楽しまないと。前向きな気持ちにさせてくれる映画だった。
見てよかった。
ドリス役のオマール・シーの屈託のない笑顔と、澄んだ目が印象的。
まさに、ムードメーカー。この作品の良し悪しはオマール・シーに
掛かっているといった感じ。
ちなみに、ハリウッドでもリメイクが決まっている。フィリップ役は
コリン・ファースになるらしい。ドリス役は誰だろう。明るくて
楽しくて、ユーモアがあって、真っ直ぐに前を向く真面目な青年。
ダンスも上手くなければいけない。さあ、誰になるだろう。