
Midnight in Paris
監督:ウディ・アレン
出演:オーウェン・ウィルソン、マリオン・コティヤール
レイチェル・マクアダムス、キャシー・ベイツ
エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ
公式サイト:
http://midnightinparis.jp****あらすじ****
ハリウッドの売れっ子脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)。
脚本の仕事はお金にはなるが、マンネリな娯楽映画では満足感は
得られない。小説家に転身したいと、処女小説の執筆に悪戦苦闘中。
ノスタルジー・ショップで働く男が主人公の小説だが、まだ誰にも
見せたことがない。
婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)の父親の出張に便乗し
憧れの地、パリを訪れる。ああ、雨のパリも趣きがあっていい。
パリの全てが好きなギル。小説家になり、パリへの移住を夢見て
いるのだが。お嬢様育ちで現実主義者のイネズは、今の安定した
リッチな生活を譲らない。雨の中、濡れて歩くなんて、まっぴら。
パリ初日、イネズの男友達ポール(マイケル・シーン)とばったり。
ポールはガールフレンドとパリに来ていた。一緒にパリ観光を
することになったのだが。スノッブで何かと鼻につくポール。
ロダン美術館でも、ベルサイユ宮殿でも、ポールのうんちくが炸裂。
ソルボンヌ大学の客員教授のポールとギルでは、ギルに分が悪い。
せっかく憧れのパリに来ているのに。イネズと水入らず、かつての
文豪達や芸術家達が愛したパリを満喫しよう思っていたのに。
ポールと一緒では興が削がれる。ワインの試飲会に参加した後に
夜遊びの誘いを断り、ギルはひとり真夜中のパリを散歩するとに。
真夜中のパリを歩いていたギルは、ホテルへの帰りに迷ってしまう。
モンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ通りに迷い込でしまった。
午前0時の鐘が鳴り、旧式の黄色いプジョーがやって来た。
手招きされ、ギルは車に乗り込んだ。着いた先は、どこか古めかしい
社交クラブで開かれているパーティだった。
えっつ。まさか。そんな。本当に?ギルは夢をみているのだろうか。
スコット&ゼルダ・フィッツジェラルド夫妻に声をかけられた。
ピアノを弾いているのはコール・ポーターではないか。パーティーの
主催者はジャン・コクトーだという。ギルは憧れの1920年代の
パリに迷い込んだのだ。フィッツジェラルド夫妻と場所を移した
バールには、アーネスト・ヘミングウェイが。ギルは処女小説を
執筆中で是非読んで欲しいと頼むと、断られた。出来が悪ければ
酷評するが、よく書けていたら嫉妬するからだと。その代わりに
ガートルード・スタイン(キャシー・ベイツ)を紹介するという。
翌日、小説を持ってくるとヘミングウェイに約束した。
めくるめく夢のような世界。ところが。カフェを出た途端、辺りは
現代のパリ。狐につままれたようなギルだが。1920年代のパリへの
行き方を確信した。
パリ2日目。イネズとイネズの母親と一緒に、新居のインテリアを
探して回るのだが、気もそぞろなギル。アンティークショップで
コール・ポーターの古いレコードが。昨晩、生演奏を聴いた。
感慨にふけるギル。
2日目の晩も、ギルはイネズとは別行動。昨晩と同じ、あの場所へ。
午前0時に旧式の黄色いプジョーに、そそくさと乗り込むギル。
ヘミングウェイに連れられ、ガートルード・スタインのサロンを
訪れた。何と、小説に目を通してもらうことに。そこにはパブロ・
ピカソと彼の愛人アドリアナ(マリオン・コティヤール)が。
美しいアドリアナに一目ぼれのギル。アドリアなもギルの小説を
気に入ってくれた。互いに好意を抱く。
パリ3日目。セーヌ川沿いのブキニストで、古い本を買ったギル。
その本には、アドリアナが、ギルのことを好意的に書いていた。
ギルからイアリングをプレゼントされたとも。
アドリアナに贈るイアリングを買い、1920年代のパリの夜へ。
遊園地でのパーティーでアドリアナと再開したギル。真夜中のパリを
アドリアナと2人で散歩し、夢のようなひと時に浸る。ところが
セーヌ川に飛び込んで自殺を図ろうとしていたゼルダを助けた時に
婚約者がいることをうっかり喋ってしまったギル。口が滑った。
気まずい。アドリアナは去って行く。バールに独り残されたギル。
サルバドール・ダリ(エイドリアン・ブロディ)、ルイス・ブニュエル
マン・レイらと酒を酌み交わすことに。ギルはルイス・ブニュエルと
ダリに映画作りのアドバイスをする。「いつかきっと、こんな作品を
作るはずだよ」と。
夜な夜な、イネズとは別行動を取るギルを不振に思ったイネズの父。
探偵を雇い、ギルの素行調査を頼んだ。
4日目の晩も1920年代のパリに繰り出したギルは、がっかり。
アドリアナに惹かれていたのだが。ヘミングウェイとアフリカに
発ったという。ヘミングウェイには適わない。スタイン女史は
アドリアナにはアフリカは合わないので、すぐに戻るという。
探偵から、ギルが怪しい車に乗り込んだと聞いたイネズの父。
やはり。更に尾行を続けるように頼んだ。イネズの母は元々ギルを
よく思っていない。これは、もしや・・・。
そして、5日目の晩。アドリアナはパリに戻っていた。1890年代の
ベル・エポックに憧れるアドリアナと真夜中のパリを歩いていると。
そこに、クラッシックカーが。ギルは迷わず、アドリアナを誘って
車に乗り込んだ。そこは、1890年代のパリだった。ロートレックや
ゴーギャンと同じテーブルを囲み、興奮気味のアドリアナ。
「もう、私は1920年代のパリには戻らない」
アドリアナの決断は固かった。けれど、ギルはあることを悟った。
現代に不満を持つ誰もが昔の時代の方がいいと憧れるということを。
ベル・エポックの芸術家達は、ルネッサンス時代に憧れているはず。
翌日。ギルを尾行していた探偵は姿を消したと言う。イネズの父は
ギルの浮気を確信した。イネズもポールとの浮気をバラした。
これで、婚約は破談。イネズの母は、「やっぱりね」
前を見て、未来に向けて生きようと決めたギル。雨が降る昼間の
パリの街を歩いていると。コール・ポーターのレコードを扱う
アンティークショップの女性店員が。彼女もギルを覚えていた。
2人は雨の中、傘もささずにパリの街を歩いていった。
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パリの名所や街角を切り取った、何気ないパリの一瞬を連ねた1日。
冒頭の数分で、ノックアウト。パリはなんてステキな街なのだろう。
「あそこ、行ったことある!」と思いながら見ていた人が多いはず。
オーウェン・ウィルソンはウディ・アレンそのもの。本人が中に
入っているのではないかと思うほど、話し方や仕草など、そっくり。
途中で、頭の中でウディ・アレンの声に変換している自分に気付く。
ウディ・アレンが若ければ、ギル役を自ら演じていたはずだ。
ロダン美術館でのガイド役は、サルコジ元大統領夫人のカーラ・
ブルーニ。ファーストレディーだった時に撮影していたはずだ。
カメオ出演で、白いシャツとジーンズのシンプルな井出達なのに
着飾った他の出演者の誰よりも雰囲気がよく、お洒落で美しい。
さすが元スーパーモデル。生まれながらの富裕層は身のこなしが
どこか違う。
いつの時代にいても、「昔は良かった」と思うもの。
ノスタルジーに浸るのもいいが、今を生きようというメッセージ。
ただ、2010年代に憧れる人が出てくるのだろうか。
「あの時代だけは戻りたくない」と思われない世界になりますように。