
Le Havre
監督:アキ・カウリスマキ
出演:アンドレ・ウィレム、カティ・オウティネン
ブロンダン・ミゲル、ジャン=ピエール・ダルッサン、ライカ
公式サイト:
http://www.lehavre-film.com****あらすじ****
北フランス、ノルマンディー地方の港町ル・アーヴル。
かつてパリで詩を書き、ボヘミアン生活を送っていたマルセル
(アンドレ・ウィレム)。今はル・アーブルで靴磨きをしている。
駅で客待ちをしても、旅行客の足元は、スニーカーばかり。
わずかな稼ぎだが、羊飼いと靴磨きは神聖な仕事だと誇りを持って
仕事をしている。
小さな家で愛する妻アルレッティ(カティ・オウティネン)と愛犬
ライカ(ライカ)と暮らしている。彼女は溝に落ちたマルセルを
助けてくれた縁で結婚した。日々の少ない稼ぎを貯めた貯金から
「食前酒を飲んで来たら」とお小遣いを渡す、誰が見ても出来た妻。
つましく貧しいが、飲み仲間もいて満ち足りた生活を送っていた。
ある日、港にアフリカからの不法移民が乗ったコンテナが見つかる。
船の行き先はロンドンだったが、なぜかル・アーヴルに着いた。
少年(ブロンダン・ミゲル)が警察の検挙をすり抜け、逃げた。
ある日、アルレッティが倒れて入院してしまう。検査の結果
余命わずかだと医師から宣告される。治療で奇跡を期待しようと
言われ、「近所では奇跡は起こってないわ」マルセルには隠し通す。
「あなたを見ると心が乱れるから、治療する間は会いに来ないで」
漁港近くで昼食を取ろうとしたマルセルは、水の中に隠れていた
少年を見つける。「ここは、北フランス。ロンドンは遠いよ」
モネ警視(ジャン=ピエール・ダルッサン)に密入国者を見たかと
訊ねられたが。「誰も見ていない」思わず、少年をかばった。
マルセルは少年が隠れていた場所に戻り、サンドイッチと水と
10ユーロを置きいて帰る。
翌朝、ライカの小屋に行くと少年が。10ユーロを返しに来たのだ。
言葉遣いも丁寧で、礼儀正しい少年。誰かに見られては本国に
送り返されてしまう。家の中に入れ、少年をかくまうことにした。
すぐに友人に見つかってしまうが、ご近所ぐるみで少年の身を
かくまう。今までは店の前を通りかかるとツケの請求をされたり
店のシャッターを閉められていたのに、急に差し入れが増えた。
少年の名前はイドリッサ。移民キャンプを訪ねたり、移民局に
面会に行ったりして、イドリッサの母親の住所を探し当てた。
ぜひ、母親の住むロンドンに送り出してやりたい。友人が漁船で
公海近くまでイドリッサを運んでくれることになった。そこから
大型の船に乗り換える。密航費用は3000ユーロ。コンサートを
開いて費用を工面しようと奔走するマルセル。
コンサートは大盛況。密航費用も溜まった。これでイドリッサを
母親の元へ向かわせてやれると思っていた矢先。モネ警視が家に。
「今日は非番だから、友人として忠告する。荷物は早く捨てろ」
その直後に移民局のガサ入れが。イドリッサはその前に逃げて
青果店のワゴンで港の近くまで来ることに成功した。
いよいよ船が出ようとするその時。またもや警察が。モネ警視は
密入国者の少年を捕まえようとするが。目が合ってしまった・・・。
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移民問題を取り上げた作品ながら、重すぎず、軽やかな雰囲気の
作品。いい人ばかりの、いいお話。気分よく映画館を後にした。
世知辛い昨今、こんな映画を待っていた。
アキ・カウリスマキ監督独特のカメラワークとカット割り。
どこか素人っぽいような、寸劇を見ているような。間がいい。
台詞も少なく、目が物を言わせる演技。カフェのファサードも
ト書きを兼ねていて、よく注意して見ると面白い。
それにしても。カウリスマキ監督の作品は、汽笛がよく似合う。
ラストは日本へのオマージュを込めているのだろう。