
『ラスベガスをぶっつぶせ』
21
監督:ロバート・ルケティック
出演:ジム・スタージェス、ケイト・ボスワース
ケヴィン・スペイシー、ローレンス・フィッシュバーン
アーロン・ヨー、ライザ・ラピラ、ジェイコブ・ピッツ
公式サイト:
http://www.sonypictures.jp/movies/21****あらすじ****
ベン・キャンベル(ジム・スタージェス)は、MIT(マサチューセッツ
工科大学)に通う21歳の優秀な学生。親友2人とロボットコンテスト
2.09大会での優勝を目指している。夜は親友とバーで飲むが。常に
男3人でつるんでいる。体育会系サークルに入っている学生と違い
いわゆる、数学オタク系の学生だ。学内でも人気の美人学生ジル
(ケイト・ボスワース)を遠巻きに見るが。とても、近づけない。
そんなジムの夢は、医者になること。MIT卒業を前に、念願の
ハーバード大学医学部に合格した。ただ。大きな問題がひとつ。
学費と生活費に30万ドルが必要だ。父を亡くし、母子家庭のジム。
30万ドルは、ジムには手が届かない巨額な金額だ。母親にはとても
頼れない。奨学生の試験を受けたジム。成績はトップレベルで
文句の付けようがない。教授からの推薦もあるのだが。面接では
「皆、君のように優秀な学生ばかり。私を驚嘆させるような経験を
した学生でないと、奨学金は出せない」と言われた。
今まで、勉強しかしてこなかったジム。平凡な人生のどこにも人を
驚嘆させる経験などしたことがない。
紳士服店J.Pressでバイトをしているジム。最近、店長に認められ
アシスタントマネージャーに昇進したが。時給は、たったの8ドル。
ハーバード医学部への学費の貯金には、到底追いつかない。
ある日、ミッキー・ローザ教授(ケヴィン・スペイシー)がジムの
天才的な数学の才能と、感情に流されない冷静な性格に目を留めた。
ローザ教授は優秀な学生を集め、ある秘密の研究をしていた。
それは、ブラックジャックで勝つ方法、カード・カウンティング。
研究グループの学生フィッシャー(ジェイコブ・ピッツ)に無理矢理
研究室へ連れてこられたジム。メンバーは、フィーッシャーの他に
キアナ(ライザ・ラピラ)、チョイ(アーロン・ヨー)、そしてジルも。
チームを組んで勝負をするという。初めは断ったジムだったが。
憧れのジルが、ジムのバイト先まで誘いに来た。
学費のためと割り切り、研究チームに入ったジム。徹底的にカード・
カウンティングの知識を叩き込まれる。数字を文字に置き換える
暗号や、ジェスチャーでの合図等々も頭に叩き込んだ。天才的に
数学の才能があるジムは、すぐに習得した。
チャイナタウンの地下カジノで最終試験を受けることになったジム。
決まった合図で席に着き、トレーニングで得た勘と暗号を駆使して
見事、大成功。
週末を利用し、ラスベガスに乗り込んだチーム。高級ホテルの
スイートルームを拠点に、それぞれの役割でカジノに潜入した。
キアナとジル、チョイは見張り役、フィッシャーとジムが大金を
掛けてブラックジャックをすることに。次々と大金を稼ぎ出す。
最初の晩の稼ぎの山分けは、1人5000ドル。稼いだ金は、寮の
天井裏に隠すことに。
母親の元を訪れたジム。母から、ハーバード大学医学部への学費に
充てるようにと、6800ドルの小切手を渡された。母が長年働いて
少しずつ貯めたもの。ジムには、受け取ることはできなかった。
「奨学金制度に受かったから、学費の心配はない」と嘘をついた。
カジノで稼げは、学費が貯まる。30万ドル貯まったら、辞めよう。
チームでラスベガスへ何度も足を運び、ブラックジャックで得た
大金で贅沢な暮らしを謳歌する、研究チームの仲間達。
ボストンに戻ると、地味な学生に。そんな二重生活を送ることに
なったジム。憧れのジルとも親密な関係になった。
ただ。研究チームのことは、絶対に極秘。誰にも話せない。
次第と、オタク仲間との距離が広がってしまう。ロボット研究より
リッチで派手なラスベガスでの暮らしに楽しみを覚えてしまった。
ブラックジャックで得た金額が、31万5000ドルに達したジム。
もう、ハーバード大学医学部の学費と生活費は貯まったのだが。
辞められない。高級スーツを着こなして、ラスベガスに乗り込む
ジム。ホテルでは、スイートルームの常客として覚えられていた。
勝ち続ける研究チームに、カジノのルール違反者を取り締まる
コール(ローレンス・フィッシュバーン)が目を付けた。コール
自身も、昔はカード・カウンティングをして稼いでいた。
チームの手口を見抜き、カジノから追放しようと画策する。
ジムの才能と稼ぎと運の良さに嫉妬したフィッシャー。ある晩
カジノで乱闘騒ぎになった。実はこの時、コールがジムを追っていた
のだが。チームの仲間は、コールの存在に気が付かない。
ローザ教授から、チームを外されたフィッシャー。ジムがチームの
稼ぎ頭になった。
またまたラスベガスへ乗り込んだチーム。ただ。どうも、ツキが
回ってこない。引き上げるようにという仲間の合図を無視し、賭け
続けたジム。20万ドルを失ってしまった。ローザ教授は大激怒。
チームの解散を言い渡す。ジムに、今まで貯まった分から損失分
全額を返済するように言い残し、ホテルの部屋を出て行ってしまう。
残されたジム、ジル、キアナ、チョイ。困った。ジムは、教授が
いなくても、自分達だけで賭けを続けようと提案する。渋っていた
仲間達も、ジムとチームを組み、賭けをすることに。
調子よく勝ち続けていたが。コールがジムを見つけてしまった。
何やら様子が変だと察したキアナ。ジルと一緒に逃げるが。
ジムはコールやカジノ取締りに捕まえられてしまった。
拷問を受け、二度とラスベガスに足を踏み入れるなと言われる。
ボストンに戻ったジム。寮には、単位不足で卒業ができないとの
通達文が届けられていた。ローザ教授が、根回しをしてくれた
はずなのに。部屋に入ると、中は荒らされていた。天井裏に隠した
31万5000ドルも、ない。ローザ教授の仕業だと察したジム。
教授のクラスで、弟子の論理を盗んだ師匠の話をしてみるが。
「師匠を裏切った弟子が悪い。謝罪すれば許す場合もある」と。
パーティーに参加していた教授の元へ、謝罪に訪れたジム。
もう一度だけ、カジノでブラックジャックをしたいと持ちかける。
ただ。フィッシャーがいなくなった今、もう1人プレイヤーが
必要だ。いつも投資だけしている教授をゲームに誘うことに。
一度だけということで了承したローザ教授。再び、ラスベガスに
乗り込んだ・・・。
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10年ほど前に、
『ラスベガスをやっつけろ』という作品があった。
邦題が似ていたので、続編かと思ったが。違った。
テンポよく描かれていて、あっという間。ラストは驚きの展開に。
ハリウッド映画ならではのハッピー・エンディングとは少し違った
終わり方だが。面白かった。
細かいエピソードが伏線になっていて、よくできた脚本だと思う。
この作品のキーワードとなる、"Dazzling experience" 。
Dazzling は「輝かしく、まばゆいほどの」といった意味合いだが。
字幕では、「驚嘆させる」と訳されていた。字数制限のせいで
言葉の持つ雰囲気が十分に伝わらないのが残念だが、仕方ない。
ラスベガスでの派手な暮らしは、まさに Dazzling experience だ。
Dazzling の意味が理解できれば、ラストを予想できるだろう。
実話に基づく話だと知り、驚いた。
ブラックジャックは、カードの合計点が21点を超えることなく
できるだけ高い点数を得ることを競う。つまり、21点が出れば勝ち。
一見簡単そうに思えるが。一度嵌ってしまうと、恐ろしいことに
なりそうなゲームだ。