
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
My Blueberry Nights
監督:ウォン・カーウァイ
出演:ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、デヴィッド・ストラザーン
レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン
公式サイト:
http://www.blueberry-movie.com/main.html****あらすじ****
NYの、とあるカフェ。エリザベス(ノラ・ジョーンズ)の元恋人の
行きつけのカフェ。元恋人にアパートの鍵を返そうと、オーナーの
ジェレミー(ジュード・ロウ)に託す。エリザベスから、なぜ恋が
上手くいかないのかと理由を聞かれたジェレミー。毎晩、丸ごと
売れ残ってしまうブルーベリー・パイと同じだと答えた。パイは
悪くない。ただ、お客からデザートに選ばれなかっただけのこと。
ブルーベリー・パイを捨てようとするジェレミー。エリザベスは
一切れ食べたいと。甘酸っぱくて、美味しい。
元恋人への未練でカフェを訪れていたエリザベスだったが。
その晩も、次の夜も、その次の夜も。エリザベスの元恋人は
現れない。でも、ジェレミーのブルーベリー・パイを食べると
少しだけ癒される。いつしか、閉店後のカフェでブルーベリー
パイを食べるのがエリザベスの日課になっていた。ジェレミーも
エリザベスのために、ブルーベリー・パイを取っておいた。
別れた恋人のことを忘れるため、宛のない旅に出たエリザベス。
旅の途中から、その日の出来事や些細なことを葉書にしたため
ジェレミーに送った。ジェレミーになら、何でも気軽に話せる。
失恋から、57日目。エリザベスはメンフィスにいた。車を買うため
昼間はダイナーのウェイトレス、夜はバーで働いた。毎晩バーに
来るお客で警官のアーニー(デヴィッド・ストラザーン)は、旅に
出る前のエリザベスに似ていた。アーニーには元妻スー・リン
(レイチェル・ワイズ)がいたが。男を作って逃げられた。
それでもまだ、妻への想いを断ち切れないアーニー。毎晩バーで
飲んだくれ、アルコール中毒になっていた。
ある晩、バーでスー・リンの恋人とひと悶着を起こしたアーニー。
次の日に自動車事故を起こし、亡くなった。事故現場はアーニーが
スー・リンと初めて出会った場所。事故ではなく、自殺だった。
失恋から、251日。ポーカーで生業を立てるレスリー(ナタリー・
ポートマン)とラスベガスへやってきたエリザベス。旅の途中に
カジノで働いていた時に、レスリーに出資したエリザベス。勝てば
出資金2,200ドルと、儲けの30パーセントを受け取る契約だった。
レスリーが負ければ、彼女の愛車ジャガーをもらえる。
ジャガーを手にしたエリザベス。レスリーを乗せ、ラスベガスへと
向かった。ラスベガスには、レスリーの父がいる。でも、頼らない。
まだ幼いレスリーにポーカーを教えた父。父を愛しているものの
なぜか反発してしまうレスリー。途中、レスリーの父が危篤だと
いう連絡を受けるが。レスリーは信じない。病院に着いてみると。
時、既に遅し。
レスリーは、車をエリザベスにあげられないという。なぜなら
父からもらった車だったから。そんな。人を信じたエリザベスが
いけなかったのか。ところが。ポーカーに負けたはずのレスリー。
実は、大勝していた。念願の自分の車を買ったエリザベス。
次に向かうのは・・・。
エリザベスが旅を続ける間、ジェレミーはエリザベスを探していた。
葉書の住所がある街の店に片っ端から電話をかけ、問い合わせた。
しかし。エリザベスは見つからない。
電話ではなく、葉書を出すことにしたジェレミー。出す葉書は全部
宛先不明で戻ってくる。エリザベスはどうしているのだろう。
想いを馳せるジェレミー。
そして。旅を終えたエリザベスがジェレミーのカフェに戻ってきた。
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ゆったりとした、雰囲気のいい映画。ロード・ムービーのような
恋愛映画のような。旅の途中で出会った人と自分とを重ね合わせ
自己を振り返り、成長していく。何となく、アジアっぽい作品。
おそらく、アメリカ人からすれば、まどろっこしいと思うだろう。
普通のアメリカ映画なら、彼女からの便りを楽しみに待ちはしない。
車でアメリカ横断し、追いかけることだろう。時間をかけて待つ
ことをロマンティックだと捉えることができるアメリカ人男性は
少ないかもしれないが。そこがいいのだ。
時折、ピントのぼやけたNYのネオンが、香港の街を彷彿させる。
エリザベスを演じたノラ・ジョーンズ。今回が映画初出演。
セリフは少ないが、中々良かった。横顔がレイチェル・ワイズに
どことなく似ている。デヴィッド・ストラザーン演じるアーニーが
エリザベスを贔屓にするのが分かる。
スー・リン役のレイチェル・ワイズ。いつもは気品があり芯の強い
女性を演じているが。今回は、ガラリと違う役どころ。スレた役も
上手いが。はやり、上品な雰囲気がどこかに漂ってしまう。
レスリー役のナタリー・ポートマン。相変わらず、美しい。
ふとした瞬間に見せる、刺すような視線は健在。
ジェレミー役のジュード・ロウ。相変わらず、笑顔が素敵。
おそらく、設定はアイルランド人だろうか。いつもとの発音とは
少し違っていた。