『イン・ザ・スープ』に続き、80回目は、
『フォー・ウェディング』
Four Weddings and a Funeral
監督:マイク・ニューウェル
出演:ヒュー・グラント、アンディ・マクダウェル、サイモン・カーロウ
ジェームズ・フリート、クリスティン・スコット=トーマス
ジョン・ハナー、アンナ・チャンセラー、ローワン・アトキンソン
****あらすじ****
チャールズ(ヒュー・グラント)は32歳の独身男性。ハンサムで
リッチで、女性にもモテるが。いざ、結婚となると、常に逃げ腰。
隣にいる女性が本当に生涯を共にする相手か。確信が持てない。
ある日、友人アンガスとローラの結婚式に招かれたチャールズは
披露宴で、アメリカ人女性キャリー(アンディ・マクドウェル)と
出会う。才色兼美でチャーミングで、率直な物言いのキャリーに
ひと目で恋に落ちる。友人トム(ジェームズ・フリート)の豪邸に
泊まるのを断り、キャリーの宿へ向かったチャールズ。幸運にも
キャリーとベッドを共にしたものの。翌朝、彼女はアメリカに帰国。
友人バーナードとリディアの結婚式に招待されたチャールズ。
キャリーと再会した。喜びも束の間、彼女から婚約者を紹介される。
お相手は、かなり年の離れたスコットランド人の大富豪。
愕然とするチャールズに、更なる追い討ちが。披露宴の席次を見て
青ざめる。過去に付き合った女性が、同じテーブルに勢ぞろい。
過去の悪事が暴かれ、針のむしろ。居心地が悪い。
トムの妹フィオナから、秘めていた想いを告白されたチャールズ。
今まで気付かなかったことに後ろめたさを感じるが。こればかりは
どうしようもない。ごめん、フィオナ。
独りで落ち着こうと逃げ込んだ部屋に、新婚の二人が入ってきた。
いちゃつくのを目にする破目に。何とか逃げ切ると、結婚を迫られ
別れたばかりの元恋人ヘンリエッタ(アンナ・チャンセラー)に泣き
つかれる始末。もう、最悪。早く逃げ出したい。
キャリーの誘いで披露パーティーを抜け出したチャールズは、再び
彼女と夜を共にする。相性はいいのに、タイミングが合わない二人。
しばらく後。ロンドンで偶然、キャリーに再会したチャールズ。
キャリーの彼女のウェディングドレス選びに付き合わされる。
お互いの恋愛観を語り、別れ際に初めて彼女に愛を告白するが。
時、既に遅し。ああ、何でもっと早く言わなかったのだろう。
スコットランドで行われたキャリーの結婚式の当日。年長の友人
ガレス(サイモン・カーロウ)がダンスの後に突如倒れ、そのまま
帰らぬ人となった。
葬式の席で、同性愛の恋人マシュー(ジョン・ハンナ)の弔辞が響く。マシューの愛の告白ともいえる弔辞を聞き、思い悩むチャールズ。
結婚とは何だろう。愛する人であれば、異性でなくても人生を共に
幸せに過ごす人がいれば。幸せの形とは、人それぞれ違うのでは。
結婚生活だけが幸せの形とは限らないのではないか。
思わず友人トムに、「一緒に住もうか」と誘ってみるが。まだ人生を
諦めきれないトムは、困惑する。
とうとう、チャールズの結婚式の日がやって来た。
お相手は、ヘンリエッタ。ところが。式の当日5分前にキャリーが
現れた。離婚したのだという。自分の結婚式が目前に迫っていると
いうのに、激しく心が惑わされるチャールズ。ああ、どうしよう。
このままでは、結婚の誓いに、「イエス」と言えない。
土壇場で往生際の悪い様子を見せるチャールズ。
いよいよ、結婚式が始まってしまった。すると・・・。
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とても英国的なコメディ。何度見ても、飽きることなく楽しめる。
原題を直訳すると、『4つの結婚式と、1つのお葬式』。
恋愛モノとして捉えてしまうようなポスターや邦題が残念だ。
リチャード・カーティスの脚本には、必ず欠かせない特徴がある。
結婚式、葬式、山場となる告白のシーン。そして、surreal という
普段は耳慣れない言葉。
主役のチャールズを演じたヒュー・グラント。もはや演技ではなく
地のままを演じていたように思える。優柔不断なモテ男。
アヒル顔こと、ヘンリエッタ。なぜ、こんな男を選んでしまうか。
チャールズを取り巻く友人のキャラクターと、エピソードが面白い。
それぞれの結婚式で素敵な出会いがあり、幸せな結末を迎えるのを
見るのは、喜ばしい。Mr.ビーンこと、ローワン・アトキンソンの
新米神父が執り行う迷える結婚式も笑える。
この映画では、結婚式以上に、お葬式が重要な意味を持つ。
ガレスの葬儀の際の、マシューが弔辞として選んだ詩。一語一語が
胸にしみ、心に残る。雨の中、亡き人を送る姿にジーンとくる。
ちなみに。結婚式に登場するのは、英国の中産階級のエキストラ。
派手な帽子や服装などファッションの他、パーティーの場での
立ち居振る舞いが参考になる。
次回は、「ぐ」または、「く」から。